森七菜、まっすぐに歌声響かせる堂々とした姿 観客とコミュニケーション交わした待望の初ワンマン

森七菜、初のワンマン東京公演レポ

 佐藤千亜妃が作曲、福岡晃子が作詞を手掛けたロックナンバー「かたつむり」では、激しいロックサウンドの中を自由に泳ぐような伸びやかな歌声を披露してみせた。また、会場の中を所狭しと広がっていく晴れやかなメロディが美しい響きを放っており、同曲が描き出すファンシーな世界観にグッと引き込まれた。初のワンマンライブにして、すでにボーカリストとしての堂々たるオーラを放ち始めていて、これから先の音楽活動がますます楽しみになる。

 終盤のMCで森は、ファンとの間に確かに感じ取ることができる信頼関係について語りながら、「いろんなものを飛び越えて会いに来てくれてありがとう」と胸の内の想いを丁寧に伝えた。しんみりとしたムードになってしまいそうなフロアの様子を察して、そうならないように、すかさず元気いっぱいなモードに切り替えてポジティブなムードを保とうとする姿も彼女らしかったし、何より、目の前の観客に少しでも元気になってもらいたいという誠意がしっかり伝わってきた。そして、一人ひとりの観客と目を合わせながら「全員友達!!!!!」と叫ぶ彼女の笑顔が眩しかった。

 新しい名刺代わりの1曲となった「愛のしるし」(PUFFYのカバー)を通して、改めて一人ひとりのファンとの信頼関係を確かめ合った後、本編のラストに披露されたのは、森山直太朗による提供曲「bye-bye myself」だった。サビにおいて、観客と一緒に精一杯タオルを回す姿がとてもキュートで、全てのエネルギーを出し切るようにジャンプしながら全力の笑顔とともに届けた元気はつらつな歌声は、会場を突き抜けるかのように力強く、まっすぐに響いていた。

 アンコール1曲目で披露したのは、家族と車の中でよく聴いていたという思い出の楽曲「猪名川」(植村花菜のカバー)だ。〈きっとまだ夢の途中さ〉という言葉が、彼女自身の上京後の物語と重なって、グッと胸を締めつけられた。最後のMCパートでは、自身が描き下ろしたイラストが載ったグッズを一つずつ紹介していく一幕も。締切に追われながら、一生懸命イラストを描き上げていったエピソードが明かされ、今回のワンマンライブに込めた彼女の強い想いが伝わってきた。「これいいじゃん! って思ったらでいいので、絶対買ってください(笑)」と話す無邪気な笑顔もとても可愛らしかった。

 「また絶対に会えるように、私も頑張るんで」と観客に投げかけた後に披露されたアンコール2曲目は「ロマンスの神様」(広瀬香美のカバー)だ。ダイナミックなメロディを、エモーショナルな歌声で乗りこなしていく堂々たる姿に痺れる。そして、この日のライブを締め括ったのは、2度目の披露となった「スマイル」。アコースティックギターの音色をフィーチャーしたアレンジに変わっていて、観客のハンドクラップを受けながら歌う森の瞳には、じんわりと涙が浮かんでいるように見えた。そして、最後の最後までファンと直接コミュニケーションできることの“よろこび”を全身で噛み締める姿に、強く心を動かされた。

 「がむしゃらでも、のんびりでも、幸せな日々を過ごしてくれたら嬉しいです」「またスマイルで再会できることを祈っています」。森が最後に残した言葉は、まるで長年の友人へ向けたメッセージのような親密さを放っていた。今回は小規模の会場だったからこそ、その言葉がよりダイレクトに胸に沁みわたった。あの日、あの会場に集まった人たちにとって、そして何より森自身にとって、決して忘れられない一夜になったと思う。

 1stフルアルバム『アルバム』のリリース、および今回のワンマンライブが、森の音楽活動の第1章の締め括りだとして、彼女の歌手としての歩みはまだまだ始まったばかりだ。これからも彼女は俳優業を含め多くの経験を重ね、たくさんの人と出会いながら、また新しい歌声を届けてくれるはず。そして、これから始まる第2章の活動で、今以上にもっと多くのリスナーと出会っていくのだと思う。そうした数々のかけがえのない出会いを経て、この先彼女がどんな歌手に進化していくのか。今回のライブを観て、この先の未来がますます楽しみになった。

■グッズ情報
SMA公式オンラインショップ「ROCKET-EXPRESS」にて受注販売も決定!
https://www.rocket-exp.com/morinana/

受注販売期間:9月28日(水)12:00~10月5日(水)23:59
商品のお届け:10月末より順次お届け

※「もし、森七菜が絵本を描いたらマスクケース&ストラップ」は受注期間内でも上限数に達した場合は受付を終了。

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