高野寛×櫻坂46 小池美波、世代を跨いだ“YMO&高橋幸宏”対談 時代を超えて愛される音楽の魅力

高野寛×小池美波、高橋幸宏対談 

 今年で音楽活動50周年を迎える高橋幸宏の、1980年代前半ソロワークに光を当てるリイシューシリーズ「ユキヒロ×幸宏 EARLY 80s」第4弾となるボックスセット『IT’S GONNA WORK OUT ~LIVE 82-84~』がリリースされる。Disc1&2にはソロ4枚目のアルバム『WHAT, ME WORRY?』のリリースに合わせ行われた初の全国ソロツアー『YUKIHIRO TAKAHASHI 1982 WHAT, ME WORRY?』の、新宿厚生年金会館で行われたライブ音源を収録。Disc 3には1983年のLIVEアルバム 『tIME and pLACE』 の最新デジタルリマスター版、Disc 4には1982年のLIVE 映像作品『BOYS WILL BE BOYS』と、1983年の映像作品『新青年』からセレクトしたライブ映像を収録。ソロ活動をスタートしたばかりの高橋の、フレッシュなプレイが存分に楽しめる内容となっている。

 そこで今回リアルサウンドでは、1988年に高橋のプロデュース作『See You Again』でデビューを果たした高野寛と、YMOの大ファンを公言する櫻坂46の小池美波による対談を実施。世代の違う二人にYMOと高橋幸宏の魅力をじっくりと語り合ってもらった。(黒田隆憲)

「ほぼ初恋が高橋幸宏さんだったんじゃないかな?」(小池)

高野寛×小池美波

ーー小池さんは、どんなきっかけでYMOを好きになったのですか?

小池美波(以下、小池):父がYMOさんのことを好きで毎日聴いていたんですけど、私にとって音楽は必ず歌詞があるものだったので「いつまで経っても歌詞が出てこないなあ」と思いながら聴いていたら、気づいたら1曲終っちゃって(笑)。でも、歌詞がないのに満足感があったのがすごく不思議だなと思ったのがきっかけとなって、YMOさんのいろんな楽曲を聴くようになりました。それが小学校3年生の時です。

高野寛(以下、高野):ちなみにお父さん、おいくつですか?

小池:今、56歳です。

高野:ああ、分かります(笑)。僕の二つ下なので、まさにYMOに夢中になっていた世代だったと思いますね。

小池:はい。毎日聴いて過ごしていたみたいで、私も小さい頃からずっとYMOさんを聴かせてもらっていました。なので、それが昔の曲だなんて知らなくて。「今、流行っている音楽なんだな」と思っていました。

高野:一時期YMOは、本当に社会現象のようになっていました。例えば幼稚園のお遊戯のBGMに、「ライディーン」が使われていたという話もよく耳にしていましたし、彼らはお笑いも好きなので『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)などにも出演していましたから。

小池:へぇー!

高野:僕が高校生だった頃を思い出してみても、クラスで「YMO、いいよね」と言って盛り上がれるのは2、3人くらいしかいなかった記憶があります。それがちょっとした特権意識みたいなものをくすぐられて(笑)、ファン同士の絆が深まっていくことはあったように思いますね。

ーー特に好きなアルバムや楽曲というと?

小池:「コズミック・サーフィン」が一番好きです。高橋幸宏さんがドラムを叩く姿を初めて見たのがこの曲のライブ映像で、それで一目惚れしてしまったんです(笑)。ほぼ初恋が高橋幸宏さんだったんじゃないかな? というくらい大好きでした。演奏している姿はクールでカッコいいし、歌声にも惹かれました。

高野:渋いですね(笑)。僕は高校に入る前の春休みに、自分で『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』を買って聴いたんですよ。やっぱりそれが原体験としてとても強くて。いまだにそれが強く残っています。

小池:私も好きなアルバムです。

高野:テイ・トウワくんともよく話していたんだけど、このアルバムはそれぞれの楽曲の完成度がものすごく高くて、捨て曲が一切ないベストアルバムみたいなんですよね。

ーー高野さんはデビュー時から幸宏さんと交流が深いと思いますが、実際どんな人なのでしょうか。

高野:僕が最初にお会いした時は、幸宏さんが36歳くらいだったのかな。今は30代でも若々しい人がたくさんいますが、当時の幸宏さんは同世代の中でもすでに大人っぽくて、まさに「ダンディ」という印象でした。それは今もずっと変わっていないですね。15歳くらいでプロの道に入って、20歳そこそこでサディスティック・ミカ・バンドのメンバーとしてロンドンで活躍していたから、人生経験の幅が全然違う。

ーー前回のインタビュー(※1)で高野さんは、「幸宏さんと緊張せずに話せるようになったのは、多分10年、15年経ってから」とおっしゃっていました。

高野:本当にリラックスしてしゃべれるようになったのは、30年くらい経ってからかもしれない(笑)。それだけ憧れも強かったし、いつまでも超えられない「凄み」がありましたね。だんだん自分もキャリアを重ねていき、同じアーティスト同士という気持ちで話せるようになり、それでようやくという感じでした。大ファンの先輩と出会えて仕事もできて嬉しかったのだけど、やっぱりファンって本当はウキウキしていたいじゃないですか。

小池:はい(笑)。

高野:でも、そんな浮ついた気持ちじゃいられないし、その揺れ動く不思議な感覚で最初の10年くらいは過ごしていました。決して怖かったわけじゃないんですよ。後輩に対しても本当に優しく接してくれる方なのですが、やっぱりオーラがすごくて(笑)。そして、ドラムですよね。もう侍みたいな斬れ味というか……。しかも幸宏さんのドラムって、意外なことに結構音がデカいんですよ。動きは小さめでタイトに叩いている印象ですが、おそらくスピードが速いのでしょうね。

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