brainchild’s 菊地英昭&渡會将士、4年ぶりアルバム完成に至るまで コロナ禍での思いが反映された“記録”の一枚

brainchild’s、アルバム完成まで

アルバムタイトル『coordinate SIX』に込めた意味

ーー大人の正論ですね。「FIX ALL」「WASTED」はEMMAさんが詞曲を手がけ、ボーカルも取っていますね。ワッチさんに詞と歌を任せる曲との振り分けはどのように?

菊地:バランスみたいなのももちろん考えますけど、曲を作った時に、自分で詞を書きたいなと思う曲は書くようにしてますし、前作では自分で書いてワッチに歌ってもらった曲もある。曲によって導かれるものがあります。自分で歌うかどうかは、作っていく過程で決めます。

ーーEMMAさんが歌う2曲を始め、配信で発表したもの以外の4曲は、どの段階で制作されたんでしょう。

菊地:「WASTED」は前からあって、プリプロみたいな感じで皆で合わせたりしてました。「クチナシの花」もあったっけ? 最後が「FIX ALL」。アルバムの曲のバランスを見て、自分のリフとか曲のストックから引っ張り出して(笑)。こういう抜け感のある曲がないから入れとかないと、って。

ーー「FIX ALL」の最後に、誰かの声で「いいんじゃないか?」と入っています。

渡會:(笑)。僕が時々、平泉成さんのモノマネをするんですよ。別に似てるとか何でもなく、急に変なおじさんの声がすると、「どうした?どうした?」みたいな感じで場が和むので、時々やるんですよ。このレコーディングの時に、何回か歌って、「そろそろいいんじゃないかな」と思って。絶対カットしてくれるだろうなと思って「いいんじゃないか?」って言ったら、そのまま使われた(笑)。

菊地:これはコーラスをみんなにやってもらって。

渡會:The Beatlesとかの時代みたいに、全員で1本マイクで歌って、それが楽しくて、気分が良くなってた(笑)。

ーー「Big statue ver.2」は、「ver.1」もあるのかと。

菊地:ありました。演奏を録り直してるし、歌詞も全然違う。ワッチが書き直してくれて、データを「ver.2」ってくれたので、それでいいじゃんと。コロナ禍だし海外では大変なことも起こってるし、そういうネタを織り交ぜつつだったので、その時の流れがタイトルに反映されてもいいなって。

渡會:ロシアとウクライナの紛争が始まったぐらいに歌詞を書いていたんです。コロナ禍のことを歌詞に入れようと思ってやってきた制作の中で、最後の自分の締めみたいな感じで歌詞を書かなきゃと思ってたら紛争が始まっちゃって。それについて辛辣に書いたら、スタッフから「ちょっと表現が剣呑な気がします」って。「ですよねー」って表現をマイルドにして、口当たりの良くなったのが「ver.2」です。

菊地:1回考え直してくれたことによって視野が広がった感じもするし、捉え方も広がってる。ちょっとユーモアのセンスも増えてるし、こっちはこっちで好きですね。演奏は「ver.2」の方がいいです。前に録ったのは楽器隊がもっと顔を出そうとして普通のハードロックみたいになっちゃったんで、これは違うなと思って。

brainchid's「Big statue ver.2」Music Video

ーーこの曲はお二人でボーカルを取ってますよね。

菊地:そうです。ちょっとK-POPにハマってるところがあって、そういう感じを出したくて。1回名古屋のライブでやったんですよ。

ーー「クチナシの花」は落ち着いて聴ける曲です。別れと再会の歌でしょうか。

菊地:いいですよね、何回でも聴ける。個人的には、すごくコロナ禍を感じる。コロナ禍を経てきて、未来や、未来の自分に対して語ってるところが、物悲しくもあり、でもちゃんと前を見てるし、いいなあと。

渡會:コロナで予定がぶっ飛びまくったので、次の予定がないっていう日々が結構あったんですけど、brainchild’sが「この日押さえておいてね」っていうスケジュールをくれると、それだけで「生き返る!」と思って。先の予定が立っていくとか人との約束を作っていくことで、回復していく自分もいたので、未来の自分に対しての約束でもいいし、誰かとの約束でもいいし、そういうのにすごく助けられたなって気持ちです。

ーー全10曲で約40分。アナログ盤も出るので、それを考えてのトータルタイムなのかなと思いましたが。

菊地:アナログは後からアイデアをいただいたんですけど、曲順はアナログを意識したところがあって。A面B面の差がない方が音質が偏らないから、できるだけ平等な長さにしたいと思って考えました。あと、自分はアナログ世代だったので、A面が終わってからB面に針を落として入る時の曲が非常に大切なので、B面の1曲目はすごく考えました。これしかないだろうと思ってたんですけど。

ーーそれが「クチナシの花」ですね。

菊地:はい。A面で賑やかして、B面に針を落とした時に、ピアノが鳴って。俺も昔の海外のアーティストにいろいろ感じてたことを再現したいなっていうのもありました。

ーー最後になりましたが、タイトル『coordinate SIX』は、いわゆる洋服のコーディネートではない意味だとか。

菊地:「coordinate」は「座標」という意味で、「SIX」は6枚目なので。このコロナ禍で、「第7期。」のメンバーが6枚目のアルバムに向かって歩んでいた道のり的なものを意味したくて。アルバムを座標に見立てて、そこへの道のりということでこのタイトルにしたんです。さっきも言ったように、結果論だけど、コロナ禍がもたらしたもの、そこに無理やりテーマを立てて作ったというより、時系列というか、写真のアルバムみたいな記録としてのアルバムだと思います。

ーーツアーも決まりましたね。

菊地:名古屋を皮切りに全国7カ所。この5人になってからのツアーは初めてで、表現の仕方が今までと違うので、それを存分に活かしたアレンジだったり曲順だったりにしていきたい。brainchild’sとして初のホールツアーなので、見せ方も違ってくると思います。ライブハウスにはライブハウスという空間の力があるじゃないですか。それとは違う空間のホールでは、アーティストの素が見えるというか、アーティストがやりたいことが伝わると思う。それは試練でもあるけど、出せたらすごく嬉しい。

渡會:これまでbrainchild’sでは、コール&レスポンスに力を入れて活動してきたんです。歴代ボーカリストが素晴らしい人たちなので、何がしか抜きん出たいというのがあって、笑える感じでずっとやってきたんですけど。コロナ禍でそれが封じられてしまったので、どうしようかなあと思いつつ、ホールなので会場の大きさとかも含めて新しいアプローチを自分も考えている最中です。あとは新メンバーというか出戻りメンバーのMALとは初ツアーなので、各地で彼をいろんなところに連れて行きたいな。

ーーEMMAさん、brainchild’sとして14年の間にいろいろな形で活動してきましたが、ご自分の足跡を振り返っていかがですか。

菊地:本当に好き勝手やってるなあと思います(笑)。brainchild’sという言葉自体が思いつきという意味で、思いつきを具現化できるように始めたものなんですが、本当にそれだけでよくやってこれたなと思いますね。思いつきが尽きなかったのが良かったな。それだけはちょっと自信というか。あとは、ずっと好きなものって昔から変わらないんですけど、いろいろ手を出しやすいタイプで音楽もいろいろなものを聴いたりするので、思いつきが尽きないのはそこも関係してるかも。名前をbrainchild’sにしといて良かったなと。それを言えば、他のメンバーもそうだよねって思ってくれると思うんで。こういう感じが欲しいんだけど、とか変なことを言っても、そっかーって。思いつきなら仕方ないかって思ってくれる(笑)。

■リリース情報
6thアルバム『coordinate SIX』
2022年8月24日(水)リリース
CD購入はこちら
配信サイトはこちら

・完全生産限定盤A(CD+DVD)
¥5,500(税込)
※購入者応募特典 応募ハガキ封入
<CD収録内容>
1 Brave new world(Album Version)
2 Heaven come down
3 Brainy
4 WASTED
5 Black hole eyed lady(Album Version)
6 クチナシの花
7 Big statue ver.2
8 FIX ALL
9 Set you a/n
10 Kite & Swallow
<DVD収録内容>
1 Big statue ver.2(MUSIC VIDEO)
2 Brave new world(LYRIC VIDEO)
3 Set you a/n(MUSIC VIDEO)
4 アーティスト写真撮影メイキング映像
5 MV撮影メイキング映像
6 Brainy(COMES ALIVE at TOKYO)
7 Kite & Swallow(NEW ALIVE at AICHI)
8 Black hole eyed lady(NEW ALIVE at AICHI)

・完全生産限定盤B(アナログ盤)
¥4,070(税込)
<SIDE A収録内容>
1 Brave new world(Album Version)
2 Heaven come down
3 Brainy
4 WASTED
5 Black hole eyed lady(Album Version)
<SIDE B収録内容>
1 クチナシの花
2 Big statue ver.2
3 FIX ALL
4 Set you a/n
5 Kite & Swallow

■ライブ情報
『brainchild’s tour 2022 “sail to the coordinate SIX”』
2022年10月4日(火) 愛知・名古屋市公会堂
2022年10月7日(金) 宮城・日立システムズホール仙台シアターホール
2022年10月14日(金)大阪・NHK大阪ホール
2022年10月21日(金)福岡・ももちパレス
2022年10月29日(土)北海道・札幌共済ホール
2022年11月2日(水) 東京・中野サンプラザホール
2022年11月13日(日)新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場
チケット購入およびコンサート来場時の注意事項はこちら

brainchild’s 公式サイト

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