androp、ステージを幻想的な空間に染め上げた祝祭の夜 リベンジも果たした5年ぶり日比谷野外大音楽堂公演

androp、5年ぶり野音公演レポ

 ピアノの音色がやさしく響き渡る中、「誰の代わりもない、あなた自身を大切にしてあげてください」と内澤の胸打つ言葉からスタートした「Iro」では、ステージ上から何色ものカラフルな光を照射。その美しさに惚恍とした様子で、観客は色彩豊かな音世界に没入していく。続いて投下した「Tokio Stranger」では、ジャジーな音色とアグレッシブなドラミングの対比が強烈な臨場感を放つ。マッピング映像を駆使し、ステージ後方がさまざまな書体や言語の歌詞でびっしり埋めつくされる中、内澤のラップから放たれる一言一言が小気味よく舞い踊る。土曜日の夜を祝した「Saturday Night Apollo」でオーディエンスをダンスフロアに誘った後、息つく暇もなく「MirrorDance」、「Yeah! Yeah! Yeah!」とライブアンセムをフルスロットルで投下。ライブ終盤を颯爽と駆け抜けていく様は、蝉の鳴き声が止み、秋香る9月へとバトンを受け渡す今の季節感に呼応しているかのようだった。

 本編最後には、ブラスサウンドが華々しい「SuperCar」を披露。内澤とJuny-aが向き合って楽しそうにプレイするシーンも見られる中、客席全体に響き渡るハンドクラップのグルーヴは合唱のようで、“肉声の要らないシンガロング”が実現していた。

 アンコールでは、9月7日に新曲「September」をデジタルリリースすることを発表。「9月の金星をモチーフにしつつも真っすぐな純粋な気持ちを歌った曲」という本楽曲は、夜が深まってより幻想的なムードに満ちた場内を純真さで染め上げた。アンコール最後は「辿り着いた今日5年ぶりの野音!」と歌詞にアレンジを加えて観客と喜びを分かち合った「SOS!」で締め、2時間強のライブは終幕した。

 アンコール終了後、内澤がステージ上で放った「また、音楽でお会いしましょう」という言葉が、ライブから数日経った今でも頭に残っている。andropの音楽は、今後も鳴りやむことなく私たちの生活に寄り添い、そして時には傷心を癒す特効薬として、希望の光を指し示すコンパスで在り続けるのだろう。

 なお同時配信された本公演のアーカイブ映像は9月11日23時59分まで購入可能だ。

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