あいみょん、2年ぶりアルバムがチャート好調 バラエティに富んだサウンドで遊び心あふれる一枚に

 ほか、「神秘の領域へ」なども含めて、本作にはファンクやサイケのエッセンスの入ったロックサウンドがあいみょんのソングライティングと抜群の相性を聴かせる楽曲が多い。なかでも、パーカッションとアコギを軸にしたシンプルながら厚みのあるアレンジの「インタビュー」は、語りと歌のあいだをふわふわと揺れ動きながら生々しい言葉を紡ぐあいみょんのボーカルとあわせて強いインパクトを残す。テキストになった肉声と、歌声と、語る声そのものが交差しながら、その奥に〈声にならない声〉や〈歌にできない歌〉を透かし見せる歌詞は本作の白眉だと思う。

 一方、関口シンゴがプロデュースに入った「強くなっちゃったんだ、ブルー」は余白の多い端正な16ビートで綴られる、淡くもエモーショナルなトラックが素晴らしい。余白の多さは起伏を抑えて点を並べていくような平歌のニュアンスをいっそう豊かにしているし、サビでレイヤーが厚くなりリバーブが深まる展開も、サビの〈ブルー〉な色彩をぐっと鮮やかに演出している。アプローチとしては「君のこゝろ」や「ペルソナの記憶」とは対照的だけれど、どちらも捨てがたく魅力的だ。

あいみょん - 瞳へ落ちるよレコード【very short teaser】

 タイアップに映えるやさしくまっすぐなメロディをかませるのもあいみょんの魅力だろうけれど、平易さのなかにいろんな陰影が感じられるのもまた魅力だ。『瞳へ落ちるよレコード』はそんなことを再確認できるアルバムだった。

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