あいみょん、無人の日比谷野音に響かせた歌声 “最初で最後”の弾き語り配信ライブを観て

あいみょん、無人の日比谷野音に響かせた歌声

 あいみょんの弾き語りライブ『AIMYON 弾き語りTOUR 2020 ”風とリボン” supported by 淡麗グリーンラベル』が、7月5日に自身初の無観客生配信ライブとして開催された。4~5月に開催予定だった同名の弾き語りツアーの延期を受け、急遽計画され6月29日に発表されると大きな話題に。アーカイブが残されないという告知もあり、ライブ開始の10分前には1万人近くが待機。直前には6万人に上り、チャットも追えないほどのスピードとなり、最終的には同時接続数13万人、合計視聴者数57万人を記録する盛況となった。

あいみょん

 会場は当日知らされたのだが、弾き語りツアーの東京公演が行われるはずだった日比谷野外大音楽堂。寄りのアングルに映し出されたあいみょんは白地にボタニカル柄のシャツにレモンイエローのフレアパンツといういでたちで新曲「風とリボン」を淡々と歌うのだが、「恋は私の体の一部だから 傷と悪魔と一緒に恋ができたら リボンで結んで可愛くできるのにな」という歌詞から、ツアーに合わせて作られたのだと察知する。様々なアングルのカメラの中でも、背後のクレーンが空っぽの客席と空を彼女込みで映し出した時、今、この時刻に一人きりで恋の歌を歌う彼女の心情はいかに? と想像してしまった。すかさず「ハルノヒ」を歌い出したが、途中で歌詞を間違え、しかしすぐ立て直す。その後のMCで「緊張してないつもりだったのに、急に心臓がバクバクしてきて間違えちゃった」と、普段とは違うシチュエーションは少なからず影響している様子だった。

 続いて最新シングル『裸の心』のカップリングで、弱さも強かさも含んだ「ユラユラ」。達観と葛藤を含んだ曲だが、まだ幾多の大会場で堂々とファンの想いを背負い、抱きしめてきたあいみょんは見えてこない。オーディエンスと向き合っていても、やはり現実に表情も見えなければ温度も感じられないとなると、自ずと歌は自分と向き合うことになる。自分のタイミングと沸き起こるヴァイブスをちょっと待つ感じで、後ろ拍のカッティングで自らの体を使ってスイッチを入れた「真夏の夜の匂いがする」。〈「そんなことできたらなぁ」〉のセリフで少し凄んで、サビの〈簡単じゃないからハマっていくんだろう〉で、いよいよ本領発揮しているように映った。

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