Midnight Grand Orchestra、生演奏で届けた1stライブ『Overture』 バーチャルワールドに出現した惑星のステージ

Midnight Grand Orchestra、1stライブレポ

 8月20日、VTuber/シンガーの星街すいせいとサウンドプロデューサー・TAKU INOUEによる音楽プロジェクト・Midnight Grand Orchestra(以下、ミドグラ)の1stライブ『Overture』が開催された。TAKU INOUEのメジャーデビューをかざった1曲である「3時12分」や、星街すいせいの1stアルバムのリード曲となった「Stellar Stellar」で互いにコラボレーションを重ね、その名コンビぶりを披露してきたふたりは、7月27日に本ライブと同名のデビューミニアルバムをリリースしたばかり。同作は「オーケストラ」の名にふさわしいストリングスを大々的にフィーチャーした贅沢なアレンジと、TAKU INOUEのトレードマークといえる奥行きが豊かでありながらメリハリの効いたサウンドメイク、そして星街すいせいの存在感あるボーカルが噛み合う濃密な一作だった。

 今回のライブは、「SOS」のMVなどにみられるサイバーパンクな要素をふんだんに盛り込み、ミドグラの世界観をすみずみまで表現したバーチャルワールドから届けられた。リアルな空間にとらわれない華やかな演出が光る一方、TAKU INOUE&星街すいせいのふたりに加え、ツインドラムのバンド編成+ストリングカルテットの総勢10名による生演奏という豪華なサウンドも素晴らしい効果を生んでいた。

 光の舞う暗闇のなか星街すいせいがひとり歌う「Never Ending Midnights」から幕を開け、楽曲がボルテージを増すごとにバーチャルスタジオの全貌が明らかになる。あらためて、ミドグラの世界にいざなう役割を果たすこの曲の吸引力を感じるオープニングだ。続いて、一気にテンポが上がって「SOS」。ストリングスの激しいパッセージが印象的なこの曲を生バンドで聴けることが率直にうれしい。

 MCを挟んで、3曲目は「Allegro」。爽やかなリフとドラムンベースのビートが疾走感をつくりだすこの曲では、まばゆい光がスタジオに溢れる。あふれんばかりの厚みある豊かなサウンドと、リズムの緩急や音の抜き差しがつくりだすドラマチックな展開は、生演奏でも失われない、というかいっそうそのダイナミックさが増していたように思う。一転、「Rat A Tat」ではうねるようなベースラインが印象的なファンキーなサウンドへ。スタジオも頭上にドラゴンが飛び、宇宙人が踊る奇妙なダンスフロアに様変わりした。星街すいせいの歌声が持つ「渋さ」が存分にいかされたこの曲もとてもライブ映えする。

 ステージを見下ろすデッキに場所を変え、ミドグラのふたりによるMCタイム。出会いやミドグラ結成までの経緯を振り返りつつ、バンドメンバーを紹介。ミドグラの楽曲もふくめ、すっかりおなじみのタッグとなったふたりだが、「3時12分」から考えてもまだ1、2年ということに少し驚く。

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