AKB48 小栗有以、武藤十夢……俳優面で躍進するメンバーが急増 “ポスト川栄李奈”は生まれるか?
AKB48はアイドルグループでありながら、一方で俳優として活躍するメンバーを数多く輩出している“俳優育成集団”でもある。
AKB48は人気アイドルとあってメディア露出も多いことから、一般だけではなく業界内からの認知度や注目度も高く、映画、ドラマ、舞台へのフックアップもほかのアイドルグループより優位に運ぶことがあるかもしれない。
しかし、これだけ大人数のメンバーをかかえ、オーディションも随時開催されて新旧交代も激しくおこなわれるなか、グループに加入したり研究生から昇格するだけでも大変なことであり、さらにそこから大きな人気を得るには数多くいるメンバーのなかでも上位層へ食いこまなければならない。その熾烈な過程は、私たちが想像する以上に過酷なはず。表舞台に立ち、広く知られる存在となれるのはグループのなかでもほんの一握り。そこを勝ち抜いてきたメンバーが俳優として活躍し、評価されるのはどこか頷ける部分がある。
OGの前田敦子、大島優子、川栄李奈は俳優としても高評価
たとえば前田敦子、大島優子、川栄李奈はAKB48在籍時から俳優として存在感をみせてきたが、そもそも彼女たちは当時の厳しい“グループ内の生存競争”を経て傑出していった面々でもある。切磋琢磨し、俳優としても一線級でやっていけるだけの力を蓄え、磨きあげていった。当時のAKB48のライブは異常なまでにドラマチックでもあったが、それは彼女たちの表現力が長けていたからこそである。ドキュメンタリー映画『DOCUMENTARY of AKB48 show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る』(2012年)で、メンバーが円陣を組もうとするなか、前田が満身創痍でフラフラになりながら遅れて登場して輪に加わる場面は強烈な主役感が漂っており、まさに“映画”のようであった。そういった見え方は、意図してないとはいえ日頃からの自己表現力や自己演出力が高いからこそ。結果、鬼気迫る画として映っていた。
OGのなかでは近年、川栄の勢いがすさまじい。NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)の好演は記憶に新しく、10月からはドラマ『親愛なる僕へ殺意をこめて』(フジテレビ系)への出演も控えている。振り返ればAKB48在籍時にも宮藤官九郎脚本のドラマ『ごめんね青春!』(TBS系)で思春期特有の感情の浮き沈みを瑞々しく演じた。さらに同作で、同世代の俳優たちから刺激を受けて芝居の道へと進むことを決意。以降も『夕凪の街 桜の国2018』、『青天を衝け』(共にNHK総合)などで印象的な力演をみせた。