浅沼晋太郎、『CROSS A LINE』で越えていく今までのヒプノシスマイク MAD TRIGGER CREWの変化も語る

浅沼晋太郎、ヒプノシスマイクのこれから

300人くらいのライブハウスでディビジョンごとにツアーができたらきっと楽しい

――そんなMAD TRIGGER CREWですが、この5年で変わったと感じるところはありますか?

浅沼:最初の頃は、イケブクロが赤い炎だとしたらヨコハマは青い炎、静かな怒り、みたいなイメージだったんですけど。「DEATH RESPECT」(2018年『MAD TRIGGER CREW VS 麻天狼』収録曲)くらいからジワジワと赤い炎になっていって、「Reason to FIGHT」(2021年『Fling Posse VS MAD TRIGGER CREW』収録曲)の時なんかはもう、まるで爆炎のように凄まじいものになった。ですから最近では、「静にも動にもなれるチーム」なんじゃないかと思うようになってきました。オオサカとナゴヤが入ってきたことで、チームとしての立ち位置が若干変わってきたというのはおそらくどこのディビジョンにもあると思いますけど、一人ひとりの目的が違うのに、決して馴れ合いではない手の取り合い方をしている部分は、未だに変わらないですね。かといって、「俺は俺でお前らはお前らで」という風にもならないのがヨコハマ。憎まれ口を叩き合いながらも、お互いのことを支え合っているというのが、とても好きです。

――メンバー同士の距離感が絶妙なんでしょうね。

浅沼:そうですね。あとは、ファンの方からのお手紙によく書いてあるんですけど、こんなにも治安の悪いディビジョンで、一番近寄りがたい凶暴なグループのはずなのに、なんか「可愛い」んだそうです(笑)。まあその可愛さの大きな要因は、理鶯の存在だと思いますけどね。理鶯のゲテモノ料理を中心にしたエピソードになると、うっかり可愛くなっちゃうのかなって。

――左馬刻も何だかんだ言いながら、ゲテモノ料理をちゃんと食べてあげるのが優しいですよね。

浅沼:「食べないと理鶯が大暴れするから」という理由だったらまだ理解しやすいんですけど、「理鶯が悲しい顔をするのを見たくないから」食べてあげるという…そこは確かに可愛い理由だなってちょっと思います(笑)。

――また、左馬刻はヒプノシスマイクを握るとスタンドマイクになって、後ろにドクロのスピーカーが出てくるという演出も派手です。

浅沼:僕らも、アニメになった時に初めて知ることのできた部分ですね。こんなスケール感なんだとか、バトルってこういう感じに展開するんだとか、漠然と抱いていたイメージを越えてくる描写で、驚かされました。アニメの時はいなかったオオサカ、ナゴヤのスピーカーが出るところも、いつか観てみたいです。

――Disc2にはレアトラックが多数収録されていますが、印象的な曲はありますか?

浅沼:コミックスの特典に付いていた曲がいくつかあって。それが1枚にまとめられているのは、ファンにとっては「待ってました!」なんじゃないかなと思ってます。特に今回収録されている、銃兎と理鶯が歌う「Private Time」は個人的に好きな曲なので、僕自身も嬉しいです。

――Disc3にはドラマトラックが収録されています。メンバーがシャッフルされて、オオサカの天谷奴零(CV:黒田崇矢)、シンジュクの観音坂独歩(CV:伊東健人)と行動を共にするストーリーでした。

浅沼:これまでのドラマトラックは全員で収録していましたけど、コロナ禍になってからは、3人とか4人ずつの入れ替え制で録っていて。この3人で一緒に録ることができたのは幸いでしたね。ヒプノシスマイクも5年やってきましたけど、それでもまだ左馬刻があまり絡んだことのないキャラクターがまあまあいて、そのうちの2人でもあったので、会話を交わせたことが純粋に嬉しかったです。ただ、独歩かわいそうって思いましたけど(笑)。よりによって左馬刻と零と同じチームになってしまうんですから。とはいえ、ひとたび暴走してしまえば攻撃力は誰よりもあるんですけど。今回は会話だけだったので、いつかこの3人の楽曲が聴いてみたいなと思いました。きっと面白い曲になるんじゃないでしょうか。

――ヒプノシスマイクが始まって5年、今でこそ誰もが知っている国民的なコンテンツとなっていますが、最初に関わった時はどういう印象でしたか?

浅沼:僕はずっと、アニメ/ゲームコンテンツとヒップホップは、食い合わせが悪いと思っていました。僕は世代的に、一般的なヒットソングとしてスチャダラパーさんやDragon Ashさんなどを聴いてきましたが、アニメやゲームというカテゴリーにおいては、ロックだったりV系だったりの親和性はすでに示されていながら、アニメの主題歌としてヒットしたヒップホップ/ラップの曲はあまり思い当たらないというのがあって、親和性が低いというイメージを持っていたんです。

 ヒプノシスマイクに関しては当初、「長い目で見て、3年とか5年かけて、徐々に広げていければいいという思いで作っています」と聞いていたんですね。ところが、最初にYouTubeに上がった動画がいきなりドーンと反響があって、作り手も僕らも本当にびっくりして。ただ、そういう状況を推測できる材料は揃っていたんじゃないかと。当時のインタビューでも答えてるんですけど、『HiGH&LOW』や『フリースタイルダンジョン』がブレイクして、アニメやゲームが好きな層にも刺さったタイミングと重なっていたんです。そういう部分で、とてもベストなタイミングだったということが、ヒットの要因としてあったのかなぁと。運も味方してくれたのかもしれませんね。

――ヒプノシスマイクを通じてラップというものに関わってきて、浅沼さんご自身への影響はありましたか?

浅沼:僕は学生時代からストリート系の洋服が好きだったんです。今でもそういったテイストのお店で衣装としての服を買うことがあるんですけど、領収書をもらう時に、但し書きを「衣装代」と書いてもらうんですね?そうすると時々「何かされている方なんですか?」って聞かれることもあって。「いや、実はちょっとライブがありまして……」と答えると「えっ!『ヒプマイ』の方なんですか!?」って、驚かれたりするんです。腕中タトゥーだらけのお店の店員さんが、ヒプノシスマイクのことを知っているってことにこっちも驚いて(笑)。やっぱり他のコンテンツとは少し違う広がり方をしているんだなと、実感する瞬間でしたね。

――ヒプノシスマイクは初期からライブを熱心に重ねてきましたが、ライブについて今はどんなことを感じていますか?

浅沼:エンタメのコンテンツはどこもそうだと思いますけど、コロナ禍に入ってから、中止や延期になったり、お客さんを会場に入れられなかったり、入れられても、客席数を減らさなくてはならないといった状況があって。それでもライブを開催できているのは、言い方を選ばずに言うなら、あの手この手を使ってなんとかお客さんに届けようとしてくれているスタッフさんのおかげだと思っています。6月25日にABEMAで配信された『ヒプノシスマイク NO TICKET LIVE 3時間生放送!CROSS A LINE SP』なんて、3時間のライブを無料で提供しちゃうわけですからね。多くの表現者が歯がゆい想いをしている中、どんな形であれ皆さんに届けられているということは、とても幸せなことだと思っています。

――今後は野外ロックフェスで見てみたいですね。

浅沼:多くのアーティストさんが集まる夏フェスなどの音楽フェスに、18人全員で出られたらうれしいです。あと、これを言うとキングレコードさんが焦りそうですけど、300人くらいのライブハウスで、ディビジョンごとに東名阪だけじゃないツアーができたらすごく楽しいんじゃないかなって。もちろんチケットは取りづらくなるけど、その代わり1年以上の間、何十公演もやっているからどこかは必ず参加できる、みたいな。そういうことができたら面白いと思いますね。

――そんな日が来るのを楽しみにしています。では最後に、『CROSS A LINE』には「越えていく」という意味があるので、浅沼さんが越えたいものを教えてください。

浅沼:コロナ禍の前は年に1回か2回、中国や韓国、台湾などのイベントに呼んでいただいていたので、今ちょっと寂しくて。ですから、もちろんお仕事でもいいし、プライベートの旅行でも、国境を越えられるようになったらいいなと思っています。逆に越えたくないもの、ですか? うーん…年齢が年齢なので、体調面を脅かす様々な数値は低いままでいたいですね(笑)。

■リリース情報
『CROSS A LINE』
発売:2022年6月15日(水)
初回限定盤(CD3枚組):¥6,380(税込)
通常盤:¥3,300(税込)
収録内容:
初回限定盤・通常盤Disc1
M1.CROSS A LINE / Division All Stars
作詞・作曲・編曲:invisible manners(平山大介・福山 整)
M2. ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- + / Division All Stars
作詞・作曲・編曲:invisible manners(平山大介・福山 整)
M3. IKEBUKURO WEST BLOCK PARTY / Buster Bros!!!
作詞:焚巻 作曲・編曲:DJ U-ICHI
M4. Scarface / MAD TRIGGER CREW
作詞:D&H(PURPLE NIGHT)・SUNNY BOY for TinyVoice,Production 
作曲:SUNNY BOY 編曲:SUNNY BOY・ko
M5. とりま Get on the floor / Fling Posse
作詞:弥之助(from AFRO PARKER) 作曲:tofubeats・弥之助(from AFRO PARKER) 編曲:tofubeats
M6. シンクロ・シティ / 麻天狼
作詞 : ザ・おめでたズ 作曲・編曲 : DJ HASEBE
M7. 縁 -ENISHI- / どついたれ本舗
作詞:CHEHON・NATURAL WEAPON 作曲・編曲:Seiji “JUNIOR”Kawabata
M8. でらすげぇ宴 / Bad Ass Temple
作詞:HIROMI 作曲:T-SK・HIROMI 編曲:T-SK
M9. ヒプノシスマイク -Division Battle Anthem- + / Division All Stars
作詞・作曲・編曲:invisible manners(平山大介・福山 整)
M10. ヒプノシスマイク -Glory or Dust- / Division All Stars
作詞・作曲・編曲:invisible manners(平山大介・福山 整)
M11. Hoodstar + / Division All Stars
作詞・作曲・編曲: invisible manners(平山大介・福山 整)
M12. SUMMIT OF DIVISIONS / Division All Stars
作詞・作曲:M.KOSHIMA, Y.MATSUMOTO, S.MATSUMOTO, ぎぎぎのでにろう 
Produced by スチャダラパー

初回限定盤Disc2
M1:Survival of the Illest +/Division All Stars
作詞:Amon Hayashi  作曲:DirtyOrange, Amon Hayashi  編曲:DirtyOrange
M2:Nausa de Zuiqu/山田一郎・碧棺左馬刻
作詞・作曲・編曲:CHI-MEY
M3:BB’s City/山田二郎・山田三郎
作詞:maeshima soshi・月蝕會議 作曲・編曲:月蝕會議
M4:Wrap&Rap ~3分バイブスクッキング~/伊弉冉一二三・観音坂独歩
作詞・作曲・編曲:CHI-MEY
M5:LESSON/飴村乱数・神宮寺寂雷
作詞:peko 作曲・編曲:Cosaqu
M6:Private Time/入間銃兎・毒島メイソン理鶯
作詞:マチーデフ 作曲:マチーデフ・KO-ney 編曲:KO-ney
M7:Once Upon a Time in Shibuya/夢野幻太郎・有栖川帝統
作詞・作曲・編曲:ALI-KICK
M8:なにわ☆パラダイ酒/どついたれ本舗
作詞:梅田サイファー(KZ, KBD, KOPERU) 作曲・編曲:Cosaqu
M9:R.I.P./Bad Ass Temple
作詞:SEAMO 作曲:T-SK・HIROMI 編曲:T-SK
M10:Hang out!/Division All Stars
作詞・作曲・編曲:invisible manners(平山大介・福山 整)

初回限定盤Disc3
Drama Track 「Mixed Up」
※初回限定盤のみ描き下ろしイラスト使用ポスター、限定ステッカー封入
※初回製造分のみオンラインくじ用シリアルコード封入

■ライブ情報
『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 8th LIVE ≪CONNECT THE LINE≫』
【ヨコハマ・ディビジョン公演】
・公演名
『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 8th LIVE ≪CONNECT THE LINE≫ to MAD TRIGGER CREW』
・日時:
2022年9月3日(土)開場/開演 18:00/19:00
2022年9月4日(日)開場/開演 15:30/16:30
・会場(両日):片柳アリーナ
・出演:MAD TRIGGER CREW(浅沼晋太郎、駒田航、神尾晋一郎)
    GUEST:ICE BAHN(9月3日)/サイプレス上野とロベルト吉野(9月4日)
詳細は以下より
https://hypnosismic.com/special/hmcyl220625/

ヒプノシスマイク オフィシャルサイト
https://hypnosismic.com/

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