80’s~90’sカルチャーリバイバルはなぜ進むのか コンピ盤『FM STATION 8090』から感じ取る“あの頃”の音楽と“今”の相性

80‘s~90’sカルチャーリバイバルはなぜ進むのか

 7月20日に発売されるコンピ盤『FM STATION 8090 ~CITYPOP & J-POP~ by Kamasami Kong』もまた、“あの頃”の音楽と“今”の雰囲気の相性の良さを背景にした作品だ。

 基本となるコンセプトは、 “FM誌『FM STATION』が、架空のFM局「FM STATION 8090」として復活!”という設定。架空のFM局の番組『FM STATION 8090 ~CITYPOP & J-POP~ by Kamasami Kong』がCDとカセットの2形態でリリースされる……というわけだ。『FM STATION』とは1981年から1998年まで発行されていたFMラジオの情報誌。ラジオの番組表や番組の内容、新譜紹介、アーティストのインタビュー、オーディオ記事などで構成されていたFM情報誌は、インターネットがない時代において、音楽ファンの貴重な情報源だった。雑誌でFMの番組を調べ、エアチェック(ラジオ放送をカセットテープに録音する)し、自分で曲名やアーティスト名を書き込む。本コンピ盤を聴けば、そんな時代の空気を追体験できるはずだ。ジャケットはもちろん、『FM STATION』のカバーを手がけていたイラストレーター・鈴木英人。架空のラジオFM局から流れる番組という設定のため、DJを務めるカミサマ・コングの喋りと楽曲が混ざるミックスも“あの頃”らしくて楽しい。

 南国リゾートの風が吹いてくるような高中正義のギターインスト曲「BLUE LAGOON」から始まる本作。「君は1000%」(1986 OMEGA TRIBE)、「ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER」(杉山清貴&オメガトライブ)、「DOWN TOWN」(EPO)などの80年代ヒットのほか、「う、ふ、ふ、ふ、」(コトリンゴ/原曲:EPO)、「真夜中のドア〜Stay With Me〜」(市川藍/原曲:松原みき)などのカバー曲も収録。古き良き時代の音楽というだけではなく、現代のアーティストに引き継がれ、今のポップスとして再構築されていることが感じられるのも本作の聴きどころだろう。

 部屋で架空のリゾートを思い描くもよし、通勤・通学の時間を少しでも楽しくするアイテムにしてもよし、ドライブしながらかつて経験した恋愛を思い出すもよし。それぞれのシチュエーションを彩るBGMとして、そして、この国のポップミュージックの豊かさを体験できる1枚として自由に楽しんでほしいと思う。

■リリース情報
『FM STATION 8090 ~CITYPOP & J-POP~ by Kamasami Kong』
発売日:2022年7月20日(水)
商品形態 / 価格:
・CD【通常仕様】 / ¥2,990(税込)
・CD【LPジャケットサイズ仕様】 / ¥3,990(税込)
・カセットテープ / ¥3,520(税込)
〈収録内容〉
1,BLUE LAGOON / 高中正義
2,君は1000% / 1986 OMEGA TRIBE
3,悲しみのJODY / Beverly
4,ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER / 杉山清貴&オメガトライブ
5,悲しみがとまらない I CAN’T STOP THE LONELINESS / 杏里
6,元気を出して / May J.
7,う、ふ、ふ、ふ / コトリンゴ
8,MONKEY MAGIC / MONKEY MAJIK
9,思い出のビーチクラブ / 稲垣潤一
10,DOWN TOWN / EPO
11,東京は夜の七時 / ピチカート・ファイヴ
12,MOON CHILD / ICE
13,been so long / m-flo
14,Dancin’ With Your Lies / SING LIKE TALKING
15,Coffee Scotch Mermaid / m.c.A・T
16,恋とマシンガン / チャラン・ポ・ランタン
17,恋の嵐 / THREE1989
18,真夜中のドア~Stay With Me~ / 市川藍

■関連URL
青春J-POP Project~Memories&Melodies~ オフィシャルサイト
https://seishun-jpop.com/news/detail.php?id=1099917

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