King & Prince、ゆず、吉田拓郎、FANTASTICS、NGT48……6月29日リリースの新譜5作をレビュー

 毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は6月29日リリースのKing & Prince『Made in』、ゆず『SEES』、吉田拓郎『ah-面白かった』、FANTASTICS from EXILE TRIBE『Escape』、NGT48『未完成の未来』の5作品をピックアップした。(編集部)

King & Prince『Made in』

 シングル表題曲「恋降る月夜に君想ふ」「Lovin’ you」「踊るように人生を。」を含む4thアルバム『Made in』。攻撃的なトラップ系ビートに和の要素を加えたトラック、“自らの手で状況を打開し、絶対にトップを取るんだ”という強い意思を込めたリリックが突き刺さるリード曲「ichiban」(作詞作曲:KREVA)、執事(メンバー)とお嬢様(ファン)の関係をコミカルに描いたポップチューン「バトル・オブ・バトラー!」(作詞作曲:前山田健一)まで、メンバー5人の音楽的な志向(やりたいこと)と楽しいエンタメ性(やるべきこと)をバランスよく共存させた作品だ。作詞作曲:King & Princeによる「Dream in」に刻まれた“最後の1秒まで君を大事にしたい”という思いにもグッとくる。(森)

King & Prince 4th Album『Made in』全曲クロスフェード

ゆず『SEES』

 小説家 宮下奈都(『羊と鋼の森』など)を作詞家として迎えた配信シングル「明日の君と」、藤原聡(Official髭男dism)、蔦谷好位置、北川悠仁のコライトによる「RAKUEN」など斬新な制作スタイルを取り入れた楽曲を含む17thアルバム。今年3月に発表された前作『PEOPLE』と対をなす作品だが、閉塞した時代を突き抜け、新たな未来を掴もうとする姿勢に心打たれる。アルバムの軸は、1曲目の「君を想う」。80‘s的なきらびやかなサウンドとともに放たれる〈光と暗闇が交錯する明日へ〉というラインに背中を押されるリスナーも多いはず。また、地元の風景と行き交う人々、そのなかで生まれるノスタルジックな心情を映し出す「イセザキ」における北川、岩沢厚治の生々しいボーカル/ハーモニーも本作の大きなポイントだろう。(森)

ゆず『君を想う』MUSIC VIDEO

吉田拓郎『ah-面白かった』

 アルバム『元気です。』(1972年)の大ヒットをきっかけにブレイクし、70年代フォークの象徴となった吉田拓郎。その後も過去の成功に留まることなく、果敢な表現活動を続けてきた彼がついに音楽活動にピリオドを打つ。ラストアルバムと銘打った本作『ah-面白かった』は軽快なロックンロールナンバー「ショルダーバッグの秘密」からスタート。アレンジ/ギターで堂本剛が参加した「ひとりgo to」では、ファンクの要素を取り入れたサウンドのなかで孤高の人生を明るく歌い上げ、小田和正がコーラスを担当した「雪さよなら」(1stアルバム『青春の詩』収録曲「雪」の完結編)では、エキゾチックな郷愁を滲ませる。別れのときをテーマにした表題曲「ah-面白かった」のルーツバック的なサウンドを含め、最後の最後まで“今やりたいこと”を貫く矜持こそが、このアルバムの凄さだろう。(森)

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