NGT48が乗り越えていくべき大きな存在とは? コロナ禍以降の活動から見えるグループが目指すもの

 6月29日に1stアルバム『未完成の未来』をリリースする、NGT48。2015年8月のお披露目以来、念願のアルバム発売とあって、発表があった5月11日にはキャプテンの藤崎未夢もTwitterで「いつも応援してくださるファンの皆さんや、支えてくださる皆様のおかげです。本当にありがとうございます!メンバー全員で盛り上げていきます!」と気合十分のコメントを投稿。ファンも喜びの声を多数上げるなど、お祝いムードにつつまれた。

 そんな同アルバムのアートワークは、雄大な自然のなかにメンバーが立っているという、インパクトが強いものとなった。グループが拠点とする新潟県の佐渡島で撮影が行われ、彼女たちの背景には名所で知られる巨岩・大野亀がそびえたっている。自分たちより何倍も大きなものに、今まさに挑もうかという強い意志をうかがわせるアートワークだ。これが非常に暗示的であり、いろいろと考察がふくらんでいく。

 では、NGT48にとって「乗り越えていくべき大きな存在」とはいったいどんなものなのか。

NGT48は「中井りか」を超えられるのか

 まず着目したいのは、リード曲「しそうでしないキス」で中井りか、小越春花がダブルセンターをつとめるという点だ。

 中井はデビューシングル曲「青春時計」(2017年)でセンターを担当した、言わずと知れたグループの看板メンバー。一方の小越は2018年加入の二期生で、「Awesome」(2021年)、「ポンコツな君が好きだ」(2021年)の2作連続でシングル表題曲のセンターに抜てきされたニュースターである。記念すべき初アルバムとあって、この二人がセンターをつとめることは大いに頷ける。ただ、それだけで話を終わらせてはならないようにも思える。

 グループがたどってきた道のりをあらわすような初アルバムのなかで中井が真ん中に立つということは、大きな意味を持つ。「乗り越えていくべき大きな存在」という観点で考えると、後輩たちにとって乗り越えるべきはずばり「中井りか」である。初代センターという誰も侵すことができない絶対的な標榜。さらに、バラエティ番組など全国的なメディアにおける求心力。グループのなかで一般的によく知られている現役メンバーといえば、やはり中井の名前が挙がるだろう。そんな彼女に続いてヒットを飛ばすようなメンバーは、一体誰になるのか。それが現在のNGT48の課題であり、また楽しみな部分でもある。

 中井は初代センターに選ばれた当時、雑誌『BUBKA』2017年7月号(白夜書房)のインタビューで「いつかはセンターに立ってみたいと思っていたけど、実際にやってみるとまだ未熟だったのかなって。センターに立ってみて、本当はアイドルに向いてないんじゃないかって思ったぐらい」「センターという看板は、いまの私にはやっぱり重すぎて」などその重圧について口にし、さらに「センターの脇になっている感じが理想的なのかな」とまで言っていた。さまざまな葛藤を経験しながら、今回、センターに戻ってきた中井。その姿を後輩たちはどのように見るのか。そして、NGT48のレジェンドに数えられるであろう「中井りか」という大きな山をどのように乗り越えていくのか。その展開が非常に楽しみだ。

NGT48「しそうでしないキス」MUSIC VIDEOダンスver.(1stアルバム『未完成の未来』リード曲)/ NGT48[公式]

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