King & Prince、ゆず、吉田拓郎、FANTASTICS、NGT48……6月29日リリースの新譜5作をレビュー

FANTASTICS from EXILE TRIBE『Escape』

　ドラマ『花嫁未満エスケープ』（テレビ東京系）のエンディングテーマとなった表題曲「Escape」は、グループの数ある楽曲の中でも随一の王道ラブバラードである。とても深い恋情を、凛とした歌心にのせて届ける八木勇征・中島颯太のボーカルの掛け合いが非常に美しい。FANTASTICSは、当初はパフォーマー集団として結成されたのちに、グループとしてさらなる飛躍を実現するため、後からボーカルメンバーを迎え入れたという経緯を持つ。極めてポップな浸透力を誇る今回の新曲は、まさに、そうした想いに真正面から応えるような、グループのポテンシャルを広く世に伝えていく楽曲になっていると思う。また、一途で切実な恋心に、ダンスを通して確かな輪郭を与えていくパフォーマーたちのダンスも必見で、今後ライブにおける重要なハイライトを担っていくはずだ。上質でレトロなトラックの上で、クールなダンスフィールが光るカップリング曲「BABY ROSE」も素晴らしい。（松本）

NGT48『未完成の未来』

　これまでの活動における一つの集大成となる初のフルアルバムには、約7年にわたるグループの歴史を彩ってきた数々の代表曲が収録されている。初のオリジナル曲「Maxとき315号」や、デビュー曲「青春時計」、また、昨年末リリースされた最新シングル曲「ポンコツな君が好きだ」をはじめ、NGT48の楽曲には青春の風を吹かせるような、清廉なアイドルポップスが非常に多い。リード曲「しそうでしないキス」も、そうした系譜に連なる直球ナンバーで、今作を通して、彼女たちの“アイドルの王道をゆく”という果てしない気概を改めて感じることができる。なお、同曲において、長年にわたりグループを牽引し続ける中井りかと共にWセンターを務めるのは、昨年2作連続でシングル表題曲のセンターを務めた二期生の小越春花だ。さらに加入したばかりのドラフト三期生楽曲「どうしようもないこと」も収録されている。新しいメンバーたちと共に描いていく『未完成の未来』には、いったいどのような景色が広がっているのか。今後の活動への期待が高まる。（松本）