Hi Cheers!、4人のハーモニーが豊かに描く物語 フラチナリズム、ゴホウビ迎えた幸福感たっぷりの夜

Hi Cheers!、笑顔溢れる対バンイベントレポ

 メンバー4人全員がボーカルをとり、ポップな曲をカラフルに色付ける新世代バンド Hi Cheers!が初の対バンライブ『素敵なバンドをお招きしまShow!!』を開催した。大阪公演ではMAINAMINDとMANAKOを、本稿でレポートする5月15日の東京公演@代官山UNITではゴホウビとフラチナリズムを迎えてのステージは、初顔合わせでありながら互いの“ライブ”を存分にぶつけ合ってポップなケミストリーを起こす一夜となった。

 まずこの日を盛り上げたのは、陽性の音楽とキャラクターで各地のライブハウスで“KAN&PAI”の祝杯を上げてきた4人組、フラチナリズム。「なんてファンタスティック」で早速フロアに手拍子を巻き起こすと、モリナオフミ(Vo/ENTERTAINER)が「今日みたいなことを歌います」と粋な曲紹介をして「いきなりステキ」のグルーヴィなサウンドでダンスさせる。モリが「今日は30分で6曲やるからーー」と倍速でMCをすれば、「MCを短くする気はないんだね」とタケウチカズヒロ(Ba)が突っ込むなど、曲もトークもテンポがよく、怒涛のMC後にしっとりとしたラブバラードを聴かせるギャップも見せて、これでもかと繰り出されるライブバンドの技にフロアはいつの間にかなすがままだ。「ここからが本性」とさらにギアを上げて「単純にイエイ」ではコール&レスポンスを起こし、親指と小指を立てた“KAN&PAIポーズ”を掲げて踊る「KAN&PAI -THE WORLD-」で3バンドのファンが入り混じる会場を盛大に盛り上げていくパワーは、あっぱれの一言だった。

 続いて登場したゴホウビは、Hi Cheers!と同様に男女混声バンド。会うのはこの日が初めてだったそうだが、親近感があって同じステージに立てるのが嬉しいとスージー(Vo/Key)は言う。ジャズやソウルのエッセンスを小粋に織り込んだポップサウンドを、スージーとcody(Vo/Gt)の男女ボーカルのハーモニーがチアフルかつメロウに彩るゴホウビのステージは、「ゴキゲンなLOVER」そして「ラムネ」と爽やかな曲でスタートした。切れ味のいいビートに切なさが混じり、それでいてキュートなスージーのハイトーンボーカルが冴える。中盤では、Codyのボーカルで温かな余韻を持って響かせる「ターミナル」や、ノスタルジックなギターのフレーズとグッドメロディで紡ぐ「twi / ight」でフロアを甘い時間で満たした。9月には、2年前にコロナ禍で中止になったライブのリベンジとなるワンマンを行うというゴホウビ。メンバーが脱退する困難もあったけれど、やっと辿り着いた大切なワンマンだと告げると、この日最後に選んだのは最新曲「NO RAIN, NO RAINBOW」。空に勢いよく虹をかけるようなアンサンブルに、会場の温度も上がった。

 体も心も解きほぐした2バンドからバトンを受けて登場したこの日のホスト、Hi Cheers!。揃いのツナギでステージへと飛び出した上野正明(Vo/Gt)、高村風太(Vo/Key)、Chie(Vo/Gt)、月川玲(Vo/Ba)は、メンバー全員がメインでボーカルをとる。男女ボーカルによるハーモニー、それぞれの声をリズミカルに繋いでいく心地よさや、景色が変わるようなスピード感が曲を鮮やかにしていく。1曲目の「愛じゃない!?」から、そのHi Cheers!の旨味が炸裂。晴れやかでグルーヴィなドラム&ベースが冴えるポップなサウンドを、4人のボーカルやコーラスが軽やかに弾ませる。高村が「こんばんは。楽しんでいってください」と観客に挨拶をしてスタートした「恋はケ・セラ・セラ」では、その高村が中性的で柔らかなボーカルで引っ張っていく。そこにChie、月川のボーカルが爽やかな風を巻き起こし、逆にギターフレーズとメロディアスなベースラインは熱波を送ってサウンドの温度を上げる。洒脱な80’sポップスの香りを漂わせながら、互いに顔を見合わせ楽しそうにプレイするエネルギッシュなアンサンブルが、フロアのジャンプを誘う。

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