fhána、歌と音と光で創り上げた『Cipher』の世界 感謝の思いを届けた中野サンプラザ公演

fhána『Cipher』ツアー初日レポ

 fhánaの4年ぶりとなるニューアルバム『Cipher』のリリースを記念した『fhána Cipher Live Tour 2022』がスタートし、5月8日に初日公演が中野サンプラザホールにて開催された。

 開演時刻になり、青い光に包まれながらサポートメンバー含む6人がステージに登場。towana(Vo)を半円で囲むフォーメーションでオープニングナンバー「Cipher.」を奏で始める。結成前夜の2010年に制作され、時を越えてアルバム表題曲を飾ることとなったナンバーだ。メロディアスな演奏と清涼感のある歌声を共鳴させ、次の「Hello!My World!!」へ。towanaが「ようこそ!」と歓迎の挨拶。ふぁなみりー(fhánaファンの総称)もクラップを鳴らし、一緒にライブを作り上げていく。青、白、赤と切り替わるライトや佐藤純一(Key/Cho)のキーボードソロ、yuxuki waga(Gt)の爽快なギターなど、視覚でも聴覚でも楽しめる要素が盛りだくさんだ。

 佐藤が来場のお礼と「大きな音と光に身を委ねて最後まで楽しんでください」というメッセージを述べたあとに披露されたのは、「世界を変える夢を見て」。towanaが時計の針を指で表したりバイバイと手を振ったりと、歌詞とリンクさせたパフォーマンスも織り交ぜながら、前向きなメッセージを届けていく。「真っ白」のあとにプレイされた「Unplugged」は、towanaとkevin mitsunaga(PC/Sampler)のラップの掛け合いが見どころのジャジーな1曲だ。ムーディーなピンクの照明に染められた空間の中で鳴らされる、抜けの良いベースも心地よかった。ふぁなみりーもフラッグを大きく振りながら、ゆったりとしたテンポに身体を預ける。創作の煌めきについて歌った曲と前振りがあった「星をあつめて」では、頭上のミラーボールが会場全体を星空のように照らし、ポップできらきらとした楽曲をさらに壮大に彩っていたのも印象的だった。

 一瞬の暗転後、再びステージに明かりが付くと、ハイスツールに腰かけたtowanaの姿が。次なるセクションは、ポエトリー「Logos」で開幕。フィクションだがどこか今の時代ともリンクする物語を切実に読むtowanaの姿には、誰もが見入ってしまう求心力がある。朗読の裏で奏でられる音楽も神秘的で、より一層物語の世界観に引き込まれた。〈人が言葉を持つ限り、消滅することのない、Pathos/また今日も、悲しくない話をしよう。〉という言葉で締めると、そのまま「Pathos」「願い事」「where you are」へと繋げていく。towanaが圧倒的な歌唱力を発揮しつつ、座ったり左手を大きく動かしたりと、全身を使ってパフォーマンス。演奏陣も時にドラマチック、時にしっとりとした音を奏で、fhánaの世界観にリスナーを引き込んでいった。

 5月5日に結成11周年を迎えた報告のMCを挟み、ライブは盛り上がるアッパーシーンへ突入。アニメ『小林さんちのメイドラゴンS』(TOKYO MXほか)キャラクターソングのセルフカバー「GIVE ME LOVE (fhána Rainy Flow Ver.)」でボルテージを上げると、そのまま「愛のシュプリーム!」へ。towanaとkevinがステージの端から端まで動き回りコミュニケーションを図り、ふぁなみりーも手を挙げて応えていく。ハッピーでキュートな楽曲と、言葉を交わさずとも意思疎通できているかのような両者の関係性により、会場にはこれ以上ない幸福感に満ちた空間が出来上がっていた。towana作詞による「Air」の後には、救済をテーマにした全編英語詞の「Relief」をドロップ。怒涛に展開される佐藤のシンセやふぁなみりーのクラップにより、楽曲がエネルギッシュに彩られていく流れは圧巻だった。

 ラストのMCでは、towanaが今年1月のビルボードツアーを経て歌詞を書き、ふぁなみりーのことを思って歌った「Air」で泣きそうになったことを告白。ニューアルバム『Cipher』は、変わりすぎてしまった世界の中にある嬉しいことも苦しいことも詰め込んだ作品になったと語る。そして、「みんなの前で歌う時間がどうしても必要で、本当に大好きな時間」だと切実に伝え、改めて感謝の思いを述べた。

 終盤には、「作品を作るクリエイターと作品を愛してくれるみなさん全てに捧げます」(佐藤)として「僕を見つけて」を披露。その後は、ダイナミックなキーボードとコーラスが印象的な「Ethos」、本編ラストのナンバーには今の世の中を反映させた「Zero」を歌い上げる。〈何度も何度も闇に火を灯す〉と歌詞にもあるように、fhánaとふぁなみりーがこれまで火を灯し続けたからこそ、今日という日が実現したのだと思うと胸が熱くなった。



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