fhánaが挑んだ“新たな価値”を生み出す場所作り Gothic×Luck、androp迎えた初主催イベント

fhánaが挑んだ“新たな価値”を生み出す場所作り Gothic×Luck、androp迎えた初主催イベント

 fhánaにとって、初の主催・企画を務めたイベント『“Sound of Scene #01” curated by fhána』の第1回目が、7月16日に渋谷・TSUTAYA O-EASTにて開催された。

 このイベントは、以前にリーダーの佐藤純一がブログに「自分たちのタイミングで、リリースなどは関係なくシンプルに自分たちがやりたいからライブをする。そして、curated by fhánaと付く通り、ジャンルやシーン関係なく、好きなアーティストを呼んで、新しい価値を生み出したい」と記していたように、これまでのレーベル主導のものではなく、自分たちがゼロから作り上げていく試みでもあった(参考:fhánaオフィシャルブログ)。

 そんな新たなチャレンジの幕開けを“オープニングアクト”という形で飾ったのは、八木ましろと菅まどかによる声優ユニット・Gothic×Luck。新ユニットオーディションを勝ち抜いてデビューし、佐藤が作編曲(fhána楽曲でおなじみ林英樹が作詞)を手がけたTVアニメ『けものフレンズ2』後期エンディングテーマ「きみは帰る場所」を歌唱した縁で、今回出演することとなったようだ。

 2人のライブは、同アニメの前期エンディングテーマであり、じんが楽曲を手がけた「星をつなげて」からスタート。同期のサウンドに加え、佐藤とandropの前田恭介が生演奏でサポートする編成で届けられた。佐藤が「前田くんはGothic×Luckでもandropでもfhánaでもベースを弾く。前田フェスなんじゃないかっていう」と語ったように、この日の前田は3アーティストすべてのライブに参加した。

 2曲目は佐藤が編曲(RIRIKOが作詞作曲)を手がけたスパニッシュ歌謡「月と太陽」。2人は最初こそ緊張する場面も見られたが、土臭さとお洒落なコード感が同居するこの曲は、振付・歌ともに楽曲の世界観を体現しているようだった。その後、佐藤は「アニメのエンディング(「きみは帰る場所」)と同時にこの曲を作っていて、初めてのレコーディングにも立ち会った2人なので、僕も感無量です」と話す。fhánaでステージに上がったときとは違い、心なしか表情を緩めて”お兄さん”的な振る舞いをする佐藤の姿は新鮮だった。

 さらに佐藤は「(「きみは帰る場所」の)作詞は林くんに依頼して、『この先何が起きるか不確かだけど頑張ろう』という泣けるものにできた。レコーディングのとき、Dメロの部分で八木さんが急に黙り込んで、どうしたんだろうと思ったら『ここの歌詞が……』って感情移入してもらっていたみたいで。聴くとその時のエピソードを思い出んですよ。こうやって気持ちを込めて歌ってくれるアーティストの2人に歌ってもらえて幸せです」と楽曲制作時の裏側を明かし、「きみは帰る場所」を披露。fhána(佐藤)らしさのある構成・転調でありつつ、ハウスを取り入れたリズムアプローチが新鮮なこの曲で、2人はステージを後にした。

 続いてはandrop。先ほどもステージに上がったBassの前田はfhánaのレコーディングや佐藤の作家仕事に参加するなど、デビュー前から付き合いのある盟友といえる存在だ。彼らはイーブンキックとサビのシンガロングで会場を一体にした「Voice」、おなじみのストロボとハンドクラップから始まるキラーチューン「Mirror Dance」でスタートし、そこからアーバンなコードワークとメロディが艶やかな「Blue Nude」「Saturday Night Apollo」と4曲でバンドの持つ二面性を見せ、前半を終えた。

 MCで前田が「やっぱandropって安心感あるね」と話して観客を笑わせると、内澤崇仁は「前田さんが架け橋になってくれたおかげ。音楽が好きでバンドをやって、ここまでこれたからfhánaに出会えて。音楽やっててよかったと思うし、今後も聴く人にとっての心の拠り所、あったかいものになれれば」と語り「Hikari」を披露した。

 また、内澤は「今日は『Sound of Scene』、つまり『SOS』ってことで。ぴったりな曲を用意しました」とソロプレイを交えてグルーヴィーな「SOS!」、「Prism」を演奏。さらに内澤が「新曲を持ってきました」と話し、聞き覚えのあるイントロが演奏された。なんと、fhánaの代表曲でもある「青空のラプソディ」をandropバージョンでカバーするという、観客大熱狂のサプライズだ。その勢いのまま、andropを代表曲する夏ソング「Yeah! Yeah! Yeah!」へ一気に駆け抜けた。

 内澤はこの日のフロアの盛り上がりに「すごいね、ありがとうございます。次はもっと楽しいんだろうなあ」と語り、ラストはストレートなバラード「Koi」を歌い上げて、ラストのfhánaへとバトンを繋いだ。

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