TAKU INOUE×DECO*27、VTuberシーンの音楽はどう発展する？　星街すいせい＆Mori Calliopeとの制作で実感したポテンシャル

「音楽ランキングにチャートインする未来が見える」（DECO*27）

ーーホロライブEnglishのVTuberの楽曲ということで、何か海外の音楽シーンやビートの流行などは、意識したり取り入れたりしますか？

TAKU INOUE：僕は普段からですけど、流行っている音は入れちゃいます。向こうの動向を常にチェックしますし、いい距離感を図れるように意識しています。それを全面的に取り入れるかどうかは、また別の話ですけど。

DECO*27：「CapSule」は向こうのファンを意識して、向こうでトレンドのものを取り入れて作りました。日本のファン向けには星街さんがいたので、逆に海外寄りにしてみることで面白いんじゃないかと。

TAKU INOUE：ちょっとトラップっぽい感じのところとかありますよね。

DECO*27：そうなんです。逆に「Q」は、ぐらさんとカリオペさんという、お二人ともホロライブEnglishの方だったので、DECO*27っぽいボカロ曲という考え方で提供させていただきました。

ーー星街すいせいさんやMori CalliopeさんなどVTuberアイドル／アーティストの存在というのは、今後の音楽シーンを牽引して行く存在になりそうですか？

DECO*27：VTuberのシンガーさんが、メインストリームの音楽ランキングにチャートインする未来が見えますね（笑）。SpotifyとかApple Musicで音楽を聴いている人が、曲名とアーティスト名だけで聴いて気に入って、音楽が入り口でファンが増えて行ったらうれしい。誰だろうと思って調べたらVTuberだったみたいな現象が、今後は増えるんじゃないかという気がしています。

TAKU INOUE：「3時12分」は、割とそんな感じになったらいいなと思って作ったんです。だからMVにも一瞬星街さんが映るけど、あえて彼女を全面に出すことはしなかった。

DECO*27：ボーカロイドも今は普通にチャートインしているけど、昔はそういう感じで見られていなかったですからね。

TAKU INOUE：それが10年で一つの文化としてしっかり定着した。VTuberのシーンもどういう風に発展していくか楽しみです。

DECO*27：個人的にはVTuberの音楽シーンがめちゃくちゃ盛り上がって、音楽ジャンルの1つに“VTuber”というものがなったら、すごく幸せだと思う。

DECO*27＆TAKU INOUEが次に共作したいユニットはミコメット？

ーーこういう機会なので、お互いに聞きたいことはありますか？

TAKU INOUE：ずっと聞きたかったんですけど、DECO*27さんは誰推しですか？

DECO*27：誰と言うのは難しいんですけど、たまたまライブ配信のタイミングが合うのでよく見ているのは さくらみこさん、沙花叉クロヱさん、猫又おかゆさんですかね。

TAKU INOUE：ああ、そうなんだ（笑）。

DECO*27：聞きたいことがあるって、音楽のことじゃないんだもんな（笑）。そういうTAKUさんは誰推しですか？

TAKU INOUE：それはやっぱり、すいせい星街でしょ！

DECO*27：なるほどね。

TAKU INOUE：ただ、僕もさくらみこさんの配信は、よく観てます（笑）。さっきも話した深夜ラジオ的な面白さがめちゃくちゃあって、コメント力のすごさをヒシヒシと感じます。

DECO*27：エンターテイナーだなって思いますよね。これをやったら面白いと意図的な部分もあるかもしれないけど、それよりも笑いの神が付いていて偶発的にそれを起こすという、運的なものも持っていて。

ーー曲のことで何か聞きたいことはないですか？

DECO*27：TAKUさんは曲を作る時、どこから始めるか知りたいのと、曲の着想がどこからくるのか聞いてみたいです。

TAKU INOUE：作り始める時は、サビメロからです。一番良いところを作って、「この曲、勝てる！」って思えないと、最後まで作りきる気力が湧かなくて。

DECO*27：じゃあ、とんでもないAメロができちゃった時はどうするんですか？

TAKU INOUE：経験はないけど、抜群のAメロができたら、単純に最高じゃんって思う（笑）。でも、そうしたらAメロ以上のサビを作らないといけないから、逆に大変かもな。

DECO*27：着想は？

TAKU INOUE：作り始める前にテーマを3つ立てます。例えば星街さんが歌うならそれも1つで、「3時12分」ならR&Bっぽい雰囲気を入れ、間奏は変態っぽいビートを入れる。迷った時にすぐぶれちゃうほうなので、原点に戻れるように、必ず3つくらいは立てるようにしています。

ーーちなみに「Stellar Stellar」は、どういう3つだったんですか？

TAKU INOUE：星街さんが歌うというのが1つあって、2つめはとにかく声の良さを全部出し切ってもらおうと思いました。彼女が一番輝くキーと構成で、いろんな彼女の表情を楽しんでもらおうと思って、声を生かそうと。それと、もともと彼女側からのリクエストで、アルバムの表題曲にしたいということと、ライブで本編の最後に歌いたいということを言われていたので、それが3つめです。そこからじゃあアカペラから始めようとか、いろいろアイデアを膨らませていった感じ。で、僕がDECOさんに聞きたいのは歌詞の話で、何かネタ帳みたいなのはあったりするんですか？　こんなに引っかかるワードがポンポン出てくるなんて、半端ないなっていつも思うので。

DECO*27：歌詞の内容はないけど、曲のタイトルとして「このワードがいい」というものはメモってます。例えばYouTubeでサムネイルが並んだ時に、自分だったら気になって開いちゃうなというワードをメモることはしますね。歌詞は、書き始めてから考えます。

TAKU INOUE：出てくるんですね。すごいな。「CapSule」もカリオペの“C”とすいせいの“S”が大文字になっているから、2人の曲だとすぐ分かるし、そういうところが巧みだなって。

DECO*27：着想みたいなところでは、人がしゃべってる言葉からヒントを得たりするんです。しゃべり言葉って、はっきりとした音階はないけどなんとなくイントネーションで、メロディっぽく聞こえたりすることがあって。そのワードが頭から離れなくて、ある時ポッと歌詞の中に出てくることがあって。ニュースを見ていたり、人と話していたりして、言葉が音として入ってくるものからヒントを得ることが多いです。だから本とかマンガとか、文字からインスピレーションを受けることはほとんどありません。

TAKU INOUE：音として面白い韻だったり、引っかかりのあった言葉は覚えていると。勉強になるな～。

DECO*27：だからVTuberの方は、しゃべってるアーカイブの宝庫なので、歌詞を書くのはすごく楽しいです。こういうことをしゃべっていたから、それを歌の中に入れたら親和性が高くなるとか、普段はこういう言葉を使わないけど歌の中に入れたら新鮮に聞こえるとか、そういうことを探るのが面白いですね。

ーー曲作りの話と歌詞の話が出て、お二人が合わさったら相当いい曲ができそうですね。

TAKU INOUE：一緒に作りたいですね。つい最近、ケチャップさんというアーティストの楽曲を2人で作らせてもらいましたけど。

DECO*27：TAKUさんの楽曲を聴いて作詞をするのは、自分の中ですごく楽しかったし、いい感じに身が引き締まりながら書けました。ケチャップさんのおかげもあるけど、普段自分の中からは出てこないワードが結構たくさん出てきたので、TAKUさんとはぜひまたご一緒したいです。

TAKU INOUE：じゃあミコメット（星街すいせい、さくらみこ によるユニット）かな（笑）。

ーーTAKUさんは、星街さんとユニットMidnight Grand Orchestraが始動。7月27日に1stミニアルバム『Overture』がリリースされます。

TAKU INOUE：このユニットでは、ちょっとだけ難解なポップスをやろうと思って（笑）。星街さんの声が好きで、一緒にやりませんかとお声がけさせていただいたんですけど、どうせならシーンの拡大の手助けができたらいいなと思っています。

DECO*27：『Overture』ってことは、続くことが決定してるじゃないですか。

TAKU INOUE：そういうつもりで、今後もいろいろ考えています。

DECO*27：VTuberはまだ自分のフィールドで表現しているのが主流だけど、外でユニットを組むというのはすごく音楽的だし、めちゃくちゃいいですよね。正直、「やられた〜！」と思いました（笑）。

TAKU INOUE：ありがとうございます。VTuberのことを知らないミュージックラバーに向けても面白いものになると思うし、VTuber好きの人にも新鮮に聴いてもらえたらうれしいし。攻めて行けたらいいですね。

ーーカリオペさんのアルバム『SHINIGAMI NOTE』も7月20日にリリースされます。これにはDECO*27さんの曲が。

DECO*27：はい。「CapSule」が収録されます。これ以外にも、まだ言えないですけど、今後も何かしらあるので楽しみにしていてほしいです。それに「こういうのが合うんじゃね？」みたいな感じで、僕の音楽面を拡張するための楽曲を相手にぶつけるみたいな、そういう感じの楽曲提供をやってみたい気持ちもちょっとあります。きっとTAKUさんと思ってることは近いのかな。音楽のほうにガッと寄せて、そこで興味を持ってもらうみたいなことができたらいいなと。これからもホロライブのためにがんばります！

■リリース情報
・Midnight Grand Orchestra
1st MINI ALBUM 『Overture』
2022年7月27日（水）リリース

完全生産限定盤（hmng Ver.）
[CD / Tシャツ付（illustration: hmng）]
¥5,500（税込）

完全生産限定盤（にゃもふぇVer.）
[CD / Tシャツ付（illustration: にゃもふぇ）]
¥5,500（税込）

通常盤 [CD]
¥1,980（税込）

[収録楽曲]
01. Never Ending Midnights
02. SOS
03. Allegro
04. Rat A Tat
05. Tuning （Interlude）
06. 流星群
07. Highway

Overture特設サイト
https://midnight-grand-orchestra.com/

・Mori Calliope
1st EP 『SHINIGAMI NOTE』
2022年7月20日（水）リリース
CD：https://lnk.to/mcsnph

【収録楽曲】
Mori Calliope × 星街すいせい「CapSule」 含め新曲6曲収録
※CD収録内容は全形態共通

初回生産限定LPサイズ盤 [CD +DVD +GOODS]
￥6,600（税込）
・LPサイズ仕様
・Mori Calliope behind the scenes interview DVD （30分予定）
・PROOF of DEAD BEATS（紋章バッジ）
・クリエイター書き下ろしジャケット５種

通常盤 [CD]
￥2,750（税込）

■ライブ情報
Mori Calliope major debut Concert「New Underworld Order」
会場：豊洲PIT
日程：2022年7月21日（木）
詳細は後日発表

■Midnight Grand Orchestra 関連リンク
Twitter： https://twitter.com/m_g_orchestra
Instagram：https://instagram.com/midnight_grand_orchestra
YouTube：https://www.youtube.com/channel/UCnVbtCwr-5LXxUlGxsgD7sQ

■Mori Calliope 関連リンク
YouTube：https://www.youtube.com/channel/UCL_qhgtOy0dy1Agp8vkySQg
Twitter：https://twitter.com/moricalliope
Staff Twitter：https://twitter.com/calliope_info