風男塾 神那橙摩&偉舞喜雅の“みやとま”が歩んだ青春の日々 笑顔で歌い切った卒業公演をレポート
2度目のMCでは、「RIKISHI-MAN」について賑やかに語る場面もありつつ、メンバーを代表して関汰が“みやとま”への感謝を語り始めると、急にしんみりした雰囲気が漂った。関汰の「一緒に撮った写真を見返すと、10年分くらいの量があって。それくらい、2人過ごした日々は青春だったなと感じています」という言葉を受けて、一番に涙を流したのは凛空。そんな彼に、以前だったら我先に泣いていただろう“ビッグベイビー”こと橙摩が、にこやかに寄り添っている。雅のリクエストに応えて観客とウェーブをしているうちに、いつの間にかみんなが笑顔になっていたのも、きっと彼なりの心遣いだろう。加入当初は末っ子だった2人のお兄さんぶりを実感する瞬間だった。
それから5人は、たくさんの“ありがとう”を込めて丁寧に届けた「Best Wishes」、寂しさを蹴飛ばすように歌ったロックチューン「生きることは尊いに決まってんだろ」といった次世代の風男塾を象徴する楽曲でラストスパート。「雅くん、橙摩くん、大好きでーす!」(関汰)、「俺もー!」(橙摩)という掛け合いから始まった「最高シャウト!」を歌う表情は、じつに清々しい。……と思ったのは途中までで、MCで「泣くのはビジネス」と宣言していたアランの歌声が、明らかに震えている。それもそのはず、短いながらも共に“最高”を更新し続けた5人の青春は、もうすぐ終わりを迎えようとしているのだから。それでも、橙摩の「この時代に、こんな素敵なみなさんと、メンバーと出会えたことが本当に幸せです! 風男塾で過ごした2年間をこの曲に詰め込みます! みなさんの声も聞かせてください! 心で叫べ!」という熱い呼びかけに導かれ、「同じ時代に生まれた若者たち」へ。マイクスタンドを前に、どんな時代もメンバーと風王を繋いできた風男塾の代表曲を歌う5人の顔には、メンバーへの愛情から来る温かい涙や、“最後まで絶対に泣かない”という決意、かけがえのない時間を心から楽しもうとする笑顔など、色とりどりの感情が浮かんでいた。
アンコールは、“みやとま”が加入後に最初に着た『ミュージック』の衣装で登場。2人以外は先輩の衣装を着ているため、高身長のアランはサイズが合わずに窮屈そうだったが、1曲目を飾ったパーティーチューン「LIKE A RAINBOW」では、アランの素晴らしく気合いの入ったMIX(コール)を合図にヒートアップ。雅が「(コロナ禍で活動ができない時期は)この曲にすごく助けられたし、乗り越えられたのはみんながいてくれたからだと思っているので、今日どうしてもやりたかったんです」と語った応援歌「笑う門に明日は来る」に繋ぐ。ある意味、風男塾のピンチを救った曲であり、関汰にとっては“歌うのが緊張する曲”だそうだが、「これからも歌い続けてほしい」という橙摩の願いを受けて、残される3人は力強く頷いた。そして、ラストは2人の“始まりの歌”「ミュージック」。オレンジと紫のメンバーカラーがフロアを埋め尽くす中、“みやとま”は最後まで笑顔を崩さず歌いきった。
「以上、風男塾でした! それでは最後に、ふっばーい!」
全員で肩を並べて挨拶した後、ステージに残った雅と橙摩は、風王への最後のメッセージを語り始めた。
雅は堰を切ったように涙を流しながらも、「ファンのみなさんは家族みたいに思えて、風男塾になるために佐賀から出てきてよかったなって思いました。みんなのことは、俺をここまで育ててくれたお母さんだと思っています。たくさんお世話になりました」「ずっと心の中にいます。スーパーミヤマンみたいに、みんなが困った時は助けに行くので、空に向かって手を振ってください」と、彼らしい独特のワードセンスで感謝を述べる。加入したばかりの頃、「ミュージック」のMV撮影現場で緊張のあまり号泣していたという橙摩は、「1人で立つことすらできないくらい“ビッグベイビー”だった俺が、みんなに支えられて、1人でここに立てるようになりました。言ったことなかったけど、じつは俺は歌が大っ嫌いでした(笑)。でもみなさんが、そんな歌を大好きに変えてくれました」と本音を明かしつつ、涙ながらに「愛してます」の言葉を絞り出した。だが、“みやとま”にはやはり、太陽のようなビッグスマイルがよく似合う。ジェットコースターのような1日の終わりに、しっかりと手を繋いで笑い合った2人は、次なる世界に仲良く飛び出していったのだった。