VaundyとSaucy Dog、若者から支持を集める2組 リスナーに響くポイントを考察

 Vaundyの楽曲に関しては、“このような傾向がある”と言い表すのが難しい。むしろリスナーは、傾向が見えないからこそ「次の新曲はどんな曲だろう?」とワクワクしながら楽しんでいるようだし、一方で、Vaundyが作りVaundyが歌えば確かにVaundyの音楽になるという現象も確かにあるような気がする。また、Vaundyはタイアップ曲も多く、つまりファン以外のリスナーが生活のふとした時にVaundyの楽曲に触れる機会も多い。そのままでは通り過ぎていってしまう人を振り向かせ、興味を持たせたいという時に効果的に働くのが、需要と供給の満たし方やニーズの汲み取り方――つまりヒット曲を作ることに自覚的な制作姿勢であり(※4)、実際にそれができてしまうクリエイターとしての手腕だ。

怪獣の花唄 / Vaundy : MUSIC VIDEO
花占い / Vaundy:MUSIC VIDEO
踊り子 / Vaundy:MUSIC VIDEO

 今回の「恋風邪にのせて」もこれまでになかった曲調で、今っぽいというよりかは、トレンディドラマの主題歌だとしても違和感がなさそうな感じだ。そのレトロさは1980~90年代に青春時代を過ごしていた人にとっては懐かしいものであり、ティーンにとっては新鮮なもの。胸がざわつく感覚は共通で、それが“甘酸っぱい”という印象に繋がる。また、Vaundyといえば映画のように濃密なMVも魅力的で、丸山健志が監督を務めた「恋風邪にのせて」のMVには成田凌と蒔田彩珠が出演。楽曲はもちろんMVも含め、言語化できずつい“エモい”と言い表してしまう雰囲気、匂い、湿度を作品として具現化しているのが若者にとってのVaundyという存在なのかもしれない。

恋風邪にのせて / Vaundy:MUSIC VIDEO

 なお、今回言及したのはSaucy Dog、Vaundyの一部の楽曲、そして一つの側面についてのみである。これを機に他の楽曲にも触れ、多面的に彼らを捉えながら、あなたなりに理解を深めてみてほしい。

(※1)https://www.instagram.com/p/CXgN2iqFJ6W/
(※2)https://note.linemusic.jp/n/n9229edda7f1e
(※3)https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/109109/2
(※4)https://www.lmaga.jp/news/2021/08/303256/

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