THE COLLECTORS、二度目の武道館公演 35周年の節目に目撃した現体制最高のステージ

THE COLLECTORS、二度目の武道館公演

 「NICK! NICK! NICK!」を終えたところで、「これがロックだよ」と言って大拍手を浴びた加藤は、「こうやってロックンロールをさ、こんな広い会場で……今日、俺が一番気持ちいいと思うんだ。俺を気持ちよくさせてくれたのは、今日集まってくれたみんな。ほんとにありがとう」とお礼を言い、また大拍手を浴びる。

 そして、スクーターを走らせた東京モッズや、八木橋百貨店、スタッフらにもお礼を述べた末に、「……歌おうか」と言うや否や、古市コータロー(Gt)に「歌ってください、歌手なんだから」と促され、「35年ずっと同じギター弾いてくれるよね」と言ったところ、「いや全然よくなってるよ」「俺もあの頃よりもパワフルに歌っちゃうよ」「俺ら、あの頃よりも元気いいよね」という掛け合いになる。

 「今はいいよ? 明日がダメだと思う」と加藤がオチをつけて笑いをとったが、「NICK! NICK! NICK!」だけじゃなくて、「扉をたたいて」や「ロボット工場」、アンコールで歌われた「僕はコレクター」や「僕の時間機械」に関しても、みんな同じことを感じたのではないか。これがロックだよ。あの頃よりもパワフルで、元気いいよ、確かに、と。

 「大会場でするべきMCとはどういうものなのか研究しようと、いろんなバンドのライブ映像を観たんだけど……」と、(バンド名は言わないがどのバンドかが分かる形で)話そうとする加藤を、「DVDになる時カットされる話はいいから」とコータローが制したり、お互いのステージドリンク(コータローはオロポで加藤はティーカップのハーブティー)をいじり合ったり、加藤がこの武道館に初めて来たのは1981年のThe Policeで、コータローは1977年のピンク・レディーだったことに触れたりする、ポッドキャストでもライブハウスでも武道館でも変わらない、このふたりならではのトークも、ふんだんにあったのは言うまでもない。オーディエンスもニヤニヤしっぱなしである。

 中盤で、「ちょっとまじめな話だけど」と前置きして、1年前にこの武道館を決めなくてはならず、コロナの状況がどうなっているかわからず、メンバーもスタッフもすごく悩んだこと。発表してからもそうだ、でも思った、やらなかったら後悔する、と話す加藤。そして、「結局、やりたいことはわかるよね? やりたいことは、全部! やりたいことは全部! やりたいことは、全部、全部、全部やれ!」という叫びで、「全部やれ!」に突入。次の「ノビシロマックス」まで一気に歌いきった。そして、「武道館、楽しい! エリック・クラプトンとか永ちゃんとか、普通にできるんだよね? そうなりたいよなあ」と口にする。

 その言葉が、前回の武道館の時の第一声、「やっと身の丈に合うところでやれたぜ」と同じような言葉に、僕は思えた。だからこそ、「これ、またここで観れるな」と確信した。少なくとも、「二回目もやれた」だけでなく、「コロナ禍でもやれた」という実績も、作ったわけで。そしてそこでも、いつもと変わらない、最高のTHE COLLECTORSを見せてくれたのだから。

 最後にあともうふたつだけ。

 ひとつめ。アンコールで「世界を止めて」をやる前に、加藤以外の3人が先に出て来て、突然Deep Purpleの「Burn」を途中までやったのはなんだったんだろう。コータローがアドリブで弾いて、それにふたりがパッと合わせたってこと?

 ふたつめ。「NICK! NICK! NICK!」の時の照明が、青と黄だった。ウクライナの国旗の色。「俺たちの歌は、一見普通のポップソングかもしれないけど、政治的なメッセージ性を必ず持ってる」と言うのが加藤ひさしであって、最新作にも、コロナ禍の心情を描いた「お願いマーシー」だけでなく、「チェンジ」や「香港の雨傘」のような曲も入っているので、偶然ではないと思う。

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※1:https://realsound.jp/2018/11/post-274598.html
※2:https://realsound.jp/2021/11/post-910180.html

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