2022.03.20 12:00

中島美嘉、ラブソングに表れる生き方　「雪の華」「STARS」などへの解釈や、恋愛観の変化についても明かす

文・取材＝森朋之

「せっかく出会って一緒にいるなら、はっきり言える方がいい」

ーーデビュー曲「STARS」について聞かせてください。作詞は秋元康さんですが、〈悲しい別れの後も／1人で歩き出すこと／教えてくれる〉というフレーズは、中島美嘉さんのイメージに直結している気がします。

中島：その歌詞、私も大好きです。

ーー抉るような楽曲を歌いこなせる中島さんの佇まいや生き方が、こういうフレーズを呼び込んでいるのかもしれないなとも思うんですけど、どうですか。

中島：自分ではそこまで考えたことはないですけど、作詞家の方に歌詞を書いていただいたときは、切なさとか辛さみたいな、共感できる部分を探して、そこを意識しながら歌うことが多いです。でも言われてみれば、暗い気持ちを強い言葉で歌うことにもあまり抵抗感がないですし、普通に「いいな」って思うので、そういう歌詞をいただけることが多いのかもしれませんね。自分で書く場合は、願望も込めているんですよ。実は根暗で、なかなか行動に移せないこともいっぱいあるので、歌詞のなかでは強い女性を描いて、自分に言い聞かせているところもありますね。

中島美嘉『STARS』Music Video

ーーでは、プライベートだと自分の意思をはっきり伝えられないこともあるのでしょうか。

中島：いや、逆にそういうときは言います。せっかく出会って一緒にいるなら、はっきり言った方がいいんじゃない？　と思うので。みんなが思ってるような強い言い方はしないですけど（笑）、引きずっているのが気持ち悪いから、その場でちゃんと言って解決するのが好きかな。

ーー恋人に相談することはあまりない？

中島：楽しいことだったらすぐ言いますけど、悩んでいる過程を誰かに言うのは好きじゃないかも。結論を出し終わってから「こういうことがあったんだよね」って話すことの方が多いです。あと、自分が誰かを支えたり、守る方が好きなんですよ。ずっと守られたまま生きるのは苦手……というか、だんだん申し訳ない気持ちになってくるので、誰かに頼り切ることはできなくて。まあ、“お互い様”がいいですよね（笑）。

ーー恋愛が音楽活動に与える影響もありますか？

中島：「女性は仕事と恋愛の比重が同じ」なんてよく言われたりするけど、仕事が忙しいとどうしても恋愛はおろそかになりがちですね。それが嫌だから、どっちも全力で頑張りすぎて、「大丈夫？」と心配されたこともあります。家に帰った瞬間、床にスライディングしたまま寝そうになることもあって、母親に「もう少し力を抜きなさい」って注意されたりとか。本当に力を抜くのが下手なので……でも結局それも好きでやってるし、自分のためでもあるんですけどね。

ーーキツいときや疲れたとき、ラブソングを聴いて泣いたりしますか？

中島：それはあまりないかも（笑）。映画やドラマを観ているとすぐ泣きますけどね。韓国の時代劇をよく観るんですけど、「はい、ここで泣いて！」みたいなわかりやすさがあって、大好きです。

ーーそれが創作のパワーにつながることも？

中島：直接ヒントになることはないですね。私、遊ぶときは思いっきり遊んでしまうタイプなので（笑）。でも元気はもらっていますよ。「昔の人もこんなに頑張っていたんだ」とか「今はこんなに恵まれた時代なんだから、弱音なんて吐いてちゃダメだな。明日も頑張ろう」って。ラブソングと全然関係ないですけど（笑）。

ーーお話を聞いていると、中島さんの歌にはラブソングと言われる曲も多いですけど、必ずしも恋愛だけではなくて、もっと深く、普遍的な愛を歌うことが増えているのかもしれませんね。

中島：そうかもしれないです。確かにラブソングに聴こえる曲が多いけど、私としてはもっと大きく捉えているというか、家族や親友など、いろいろな対象を思い浮かべられるようにしたいと思っていて。聴く人がそれぞれの経験に当てはめながら、自由に受け取ってくれるのが一番いいだろうなと。それが結果的に、皆さんのエネルギーや希望になってくれたら嬉しいなと思っています。