歌い手シーンに突如現れたシンガー Raon、世界中の音楽ファンを夢中にさせる歌声の魅力とは?

Raonの歌声の魅力に迫る

Giga & TeddyLoidによるサウンドメイクとRaonの歌声の相性の良さ

 今回リリースされた「キツネノマド(Queen Fox)」は、そんな彼女に最適なサウンドメイクである。歌詞は「呪文を3回唱えてから指で窓を作って覗くと、人間に化けた妖怪を見抜ける」という日本の説話(古くから語り伝えられた話)をベースに作られた。

 サビ前の印象的なフレーズ〈けしやうのものか、ましやうのものか、正体あらはせ〉(化生の者か、魔性の者か、正体を現せ)が、その呪文だ。和風なテーマではあるものの、楽曲制作にボカロPとして有名なGigaと、トラックメイカーのTeddyLoidを起用し、今最も旬なサウンド且つ、近未来的な面もつけ加えることに成功している。また、Raonの持つ歌声のニュアンスによって無国籍なムードも漂っているところもポイントだ。

 Giga & TeddyLoidは、洋楽のトレンドを意識した音の組み立て方が特徴でもあるが、このペアで以前発表されたAdo「踊」(2021年)を聴けばわかる通り、最近はワールドワイドに流行っているトライバルな香りのサウンドを取り入れている。「キツネノマド(Queen Fox)」もその延長線上に位置していながら、それがRaonの持つ歌声とかけ合わさることで、さらに強力な個性を放っている。和風な題材と世界の音楽のトレンドが融合したものを、韓国出身の実力派シンガー・Raonが歌う――。それによって唯一無二かつ無国籍感漂う“歌”が完成した、と言えるのではないか。

 なお、「キツネノマド(Queen Fox)」は、日本の怪談や都市伝説をモチーフにした「百鬼夜行」シリーズの第1弾で、妖怪たちと一緒に冒険を始めるRaonの世界観のプロローグになるそうだ。同曲のミュージックビデオのコメント欄は英語や韓国語など様々な言語のコメントがあり、説話についても、海外からは「カッコいい!」「その話を曲にするとこのような最高傑作になるのか!」「ブラジルにも似た伝説があるから面白い」などの感想が並び、日本語でも「クセになって何度もリピートしてしまう」「音のリズム、歌唱力、イラストのMV、すべてマッチしていて見てて楽しい」といった好意的な意見が多く寄せられている。

Raon 라온 | ‘キツネノマド(Queen Fox) (TAK Remix)’ Lyrics Video

 日本的な題材を用いながら、日本的ではないものを追求したポップス「キツネノマド(Queen Fox)」。斬新なサウンドメイクの影響もあり、国境を越え多くの支持を集めているわけだが、Raonが発信するこの歌の世界観が、今後も世界の音楽シーンにどのような影響を与えていくのか、興味深いところである。特に日本の文化と共通する点がある韓国において、これまでにない形で活動を行うRaonの存在はどう受け取られていくのか。K-POPの進化系もしくは既存の枠に囚われない新たな潮流になるのではないかと個人的に期待している。いずれにしても、間もなくリリースされるであろう「百鬼夜行」シリーズの新作に期待したいところだ。

■リリース情報
Raon
「キツネノマド (Queen Fox)」 
2022年2月9日(水)デジタルリリース

「キツネノマド(Queen Fox)(TAK Remix)」
2022年3月16日(水)デジタルリリース

Listen & Download:https://lnk.to/QueenFox
Music Video:https://youtu.be/xDetLrpVHrg
Special Cover Video:https://www.youtube.com/watch?v=YkSHj-sUSMA
Making Video:https://www.youtube.com/watch?v=KVCxdqzOwf0

■関連リンク
Raon公式サイト:https://www.universal-music.co.jp/raon/
Raon公式YouTube:https://www.youtube.com/c/RaonLee
Raon 公式Twitter:https://twitter.com/raon_leee

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