Ado、歌い手としてヒット連発 「うっせぇわ」「レディメイド」…ボカロ音楽とJ-POPの架け橋となるか

Ado、ボカロ音楽とJ-POPの架け橋となるか

 ボカロ文化圏における歌い手の革命児、Adoの登場は衝撃的だった。小学生の頃にじんによる『カゲロウプロジェクト』のアニメ版と出会ったことをきっかけにボカロカルチャーと邂逅した彼女は、2002年生まれの18歳。注目されたきっかけは、2019年12月23日に配信されたくじら「金木犀 feat. Ado」への参加だ。同曲は、現在ではYouTubeにて1,200万回再生を突破している。

金木犀 feat.Ado (Official Video)

 さらに、2020年に入り「シカバネーゼ / jon-YAKITORY feat. Ado」もTikTokやストリーミングサービスでのバズをきっかけに、Spotify「バイラルトップ50(日本)」1位にランクイン。もともとボカロ曲として昨年公開された同曲であったが、“やり場のない心情”を描いたダークな世界観が魅力のミクスチャーロックは、Adoという歌声を手に入れたことで優しく寄り添うポップバラードが流行するシーンに一石を投じた。

シカバネーゼ / jon-YAKITORY feat. Ado (Official Video) – Shikabanese / jon-YAKITORY feat. Ado

 こうしてAdoの歌声は、YouTube、SpotifyをはじめとするストリーミングサービスやTikTokなどで広がっていき、LINEミュージックにおけるリアルタイムランキングで人気が可視化。その新たな才能はボカロ文化圏を越えてJ-POP~ロック文化圏にてアンテナを張っているミュージックラバーたちに発見されることとなった。

 その後もAdoの勢いは止まることなく、17歳最後の日である10月23日、メジャーデビュー曲「うっせぇわ」を発表。楽曲を手がけたのは、Adoがカバーしていた「邪魔」、「馬鹿」などでも知られる、2020年最も躍進したボーカロイドプロデューサー・syudou。Adoはハイテンションかつナイフのように尖りまくったボーカリゼーションによって、毒っ気ある低音から耳を突き刺すハイトーンまで歌声を自在に使い分け、鬼気迫る迫力で圧巻の歌唱を聴かせてくれた。意外にもチェッカーズやPsysalia Psysalis Psycheを彷彿とさせる隠れキャラのようなフレーズを忍ばせる言葉遊びの妙。ど頭から内に秘めた思いを叫ぶ〈正しさとは 愚かさとは それが何か見せつけてやる〉というパンチラインが頭から離れない。強烈なインパクトを持ったこの楽曲は、YouTubeにて2000万回再生を突破した(12月24日時点)。

【Ado】うっせぇわ

 なお、「うっせぇわ」は配信から7日弱でYouTube100万回再生を突破。その後、まふまふ、天月 -あまつき-、莉犬、96猫などに“歌ってみた”カバーされている。この継承と尊敬が入り混じった二次創作=CGMモデルでの新たな相互リスペクトによる関係性は、かつてのJ-POPシーンにはなかった作品ありきの拡散という機能性を生み出した。

うっせぇわ/まふまふ【歌ってみた】

 日本語曲でありながら、YouTubeに書き込まれるコメントには日本語のみならず、英語、韓国語、タイ語、 ロシア語など全世界からの書き込みが見られるのもおもしろい。Ado本人は顔出しすることなく、イメージディレクターORIHARAによるインパクト溢れるイラストや、WOOMAやヤスタツによるミュージックビデオの世界観が楽曲における攻撃性、パンキッシュな魅力を体現化している。とはいえ、12月2日には、YouTubeでの「うっせぇわ」1000万回再生を記念して、圧倒的な歌唱力、表現力を実際に披露しているピアノバージョンをプレミア公開。Ado本人の初めての実写映像(絶妙に顔は見えず)は大きな話題となった。

【Ado】 うっせぇわ Piano Ver.

 そして満を持してリリースとなるのが、12月24日に配信する最新曲「レディメイド」だ。本作は「ジャンキーナイトタウンオーケストラ」、「テレキャスタービーボーイ」を手がけたバンドスタイルの作品が人気のボーカロイドプロデューサー・すりぃによるもの。“レディメイド”とは既製品を意味し、反意的に“どこにもない”ことを主張するアンチテーゼなナンバーが仕上がった。昭和レトロなブラスによる耽美なリフが印象的で、Adoの新たな表情が垣間見えるポップナンバーとなっている。

【Ado】レディメイド

 現在もロックフェスやライブの開催がままならない音楽シーンは、インターネットを軸に展開が進められている。大きく分けるとボカロ文化圏、TikTok文化圏、YouTube文化圏という3つの生態系が存在すると言えるだろう。そんなセグメントを飛び越え、あらゆるカルチャーを呑み込み、多くの新規リスナーを台風のごとく巻き込んでいくのがAdoというシンガーの革命的たる所以だ。コロナ禍の混沌が続く世の中だからこそ、あらゆる壁をぶち壊して突き進む、Adoから目が離せそうにない。彼女の歌声、存在そのものが我々に大きなパワーを与えてくれる。

■ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
Yahoo!ニュース、J-WAVE、NHK、Spotify、LINE MUSIC、AWA、ミュージックマガジンなどで書いたり喋ったり選曲したり考えたり。Spotifyで公式プレイリスト『キラキラポップ:ジャパン』を毎週火曜日更新で選曲中。
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Ado「レディメイド」
Ado『レディメイド』

■リリース情報
『レディメイド』
2020年12月24日(木)配信リリース
詳細はこちら

1.レディメイド
2.うっせぇわ Piano Ver.

「うっせぇわ」
2020年10月23日(金)配信リリース
詳細はこちら

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