吉乃、菅原圭、sekai、ミテイノハナシ……Adoやyamaに続く、2021年下半期 注目の歌い手たち
2021年上半期、ポップシーンに風穴を開けたAdoやyama。ボカロシーンがメインストリームを切り拓き、日本の音楽シーンの記録を更新した。
yamaのブレイクへつながったスタートラインは、ボカロP・くじらが2019年11月2日、YouTubeに投稿した「ねむるまち feat.yama」。同様にAdoも2019年12月16日、ボーカリストとして迎えられたくじらの「金木犀 feat.Ado」で、SNSを中心にその歌声を瞬く間に広く浸透させることに結実。このように新世代ボカロPが1曲1曲のカラーに合うボーカリストを、歌声合成ソフトから歌い手へと、選択の幅を広げてきたことは、新たな才能を発掘する近道を作ったのに等しい。
いまや見つかるべくして見つかる才能を発掘するベースができ上がりつつあるボカロシーンから、2021年下半期に数多の耳を賑わせるかもしれない4人の次世代ブレイク株を予測したい。
吉乃
まず紹介したいのはフェイクの冴えている吉乃。さっそく、既成概念を破壊する要素に満ちているボカロP・獅子志司「喰らいながら」のカバーをチェックしよう。エッジボイス、がなり声、ビブラートの効いた美妙な歌声など、聴衆をここかしこへと振り回してくれる表情で、一層の高揚感に導く。その歌唱力はボカロシーンですでに評価されており、ボカロP・れいらむる「ステルス feat. 吉乃」、ボカロP・RuLu「ツミツクリ feat.吉乃」ではボーカリストとしても参加。パワフルな歌唱力は、選曲のジャンルを狭めることもなく、次々と限界突破が可能だ。
菅原圭
語尾にかけて、ソーダの炭酸が抜ける音のような菅原圭の歌声の余韻は、まさに天性と呼べる。そして特筆したいのは、シックな言葉選びとソングライティングの妙。自身作詞作曲の「シーサイド」をはじめ、丁寧な息遣いの配置、地声と裏声がスムーズに行き交う様子、シンプルでスローテンポな曲調などから読み取ることができるのは、菅原圭が自ら書き下ろすことで、自身の歌声の持ち味を存分に引き出せていること。ボカロP・吐息の「ありふれて花束 feat.菅原圭」に続いて、2021年7月28日には、Ado、yamaとともに話題沸騰中のボカロP・くじらが書き下ろしたシックな「ブランケット」でもメロウな菅原圭ワールドがはっきり表れているのも聴きどころだ。