モノンクル、カバー曲から新曲まで披露したリリースパーティー 心からいいと思える音楽を届けていく姿勢
ポルノグラフィティの「アポロ」をメロウな歌い口と自在なテンポで披露すると、またしても新曲「GAME」へ。ファルセットと地声を流動的に行き来しながら、サビではリズム隊と共に裏拍にアクセントをつけながらパワフルに歌い上げていく。さらに終盤に転調すると、楽曲の妖しさが強調され、より味わいを増した。
「みなさんアニメ好きですか? いいアニメありますよ」と角田が『ヴァニタスの手記』の魅力を挙げるという前振りののち、「本日のメインディッシュでございます」と「salvation」へ。しっとりとしたAメロを経てサビに向けて盛り上がるBメロ後半、そしてサビではベースがリズムを牽引しながら吉田がリズミックなボーカルを披露する。張り上げるわけでもない歌声が滲ませるのはしたたかな生命力。ここまでも、ジャンルに縛られない曲調やサウンドメイクで表情豊かなライブを展開していたが、そんな中でも「salvation」は強い存在感を纏う。「salvation」の続きに似合うとの理由でカップリングに選んだという「GOODBYE」に繋がると、しっとりと染みわたらせるように、切なくも甘く、太さのある歌声でメロディラインを響かせた。
「ワンマンライブが決まっても直前まで開催できるかわからなくて、そういうのもあって最近は約束するのって難しいんだなって思ったんです。それは時代的なものなのか、私が大人になったからなのかわかんないんですけど、約束するってすごいことなんだなって」と吉田。「でも言葉の力を信じたい。皆さんに対して何を言葉にできるのかと考えたときに、これだけはと確信を持てたのは、“いい音楽を作る”ということ。それに限ります」と宣言する。「みんなが聴いてくれて、ライブに来てくれることで歌えます。信じてくれてありがとう」と感謝を口にすると、「嘘偽りのない、心からいいと思う音楽を、どんなに形が変わっていっても届けていきたいと心から思っています」と気持ちを伝えた。
そして手拍子を求めながら「渦」へ。〈どこへ流されていこうと構わない〉と歌うモノンクルの根底には、変化を受け入れる積極的な気持ちがあるのだろう。変化を恐れない姿勢はおおらかさとなって、ゆったりとリズムを紡ぐバンドの音色や吉田のボーカルに滲み出ているように思えた。本編を締める楽曲は「ここにしかないって言って」。迫力に満ちたハイトーンボイスを披露する吉田の歌声は自然体で、なによりも演奏することを楽しんでいるようだった。アンコールでは、この日初となる2人編成で「魔法がとけたなら」を披露。優しく滑らかな声と、柔らかいベースの音色が混ざる。サポートバンドが再登場し演奏したこの日の最後のナンバーは「優しさを重ねること」。〈あなたが生まれてきて 本当によかった〉という詞を圧巻のロングトーンで、オーディエンスに手を伸ばしながら前のめりに伝える。今を受け止めながら、変化を恐れずに進んでいくモノンクルのスタンスが反映されたステージであった。
■ライブ情報
『モノンクル "salvation" RELEASE PARTY』
アーカイブ配信:https://live.au.com/live/154/
<販売期間>
2022年2月23日(水)0:00 ~ 2022年3月17日(木)22:00
<視聴期間>
2022年3月11日(金)0:00 ~ 2022年3月17日(木)23:59