乃木坂46 星野みなみはグループらしさの一端を担ったメンバーだったーー有終の美を飾った“アイドル”ラストステージを観て
乃木坂46結成時からのメンバー、星野みなみのラストステージとなる『乃木坂46 星野みなみ 卒業セレモニー』が2月12日、東京国際フォーラム ホールAにて開催された。デビュー曲「ぐるぐるカーテン」では生駒里奈、生田絵梨花とともにフロントに立ち、その愛らしいルックスから“可愛いの天才”などと称されてきた一方で、一時は選抜から外れてアンダーとしても活躍した期間もあり、この10年間は決して順風満帆ではなかった。そんな彼女が、この日の卒業セレモニーをもってグループを離れるだけではなく、芸能界からも引退することに。アイドル人生最後のステージでどんなステージを見せてくれるのか、そして言葉を残すのか。会場に駆けつけた者だけではなく、ネット配信を通じても大勢のファンが彼女の一挙手一投足を見届けた。
和田まあや、遠藤さくら、筒井あやめの影アナに続いて、この日のイベントは10年前の2月22日にリリースされたデビュー曲「ぐるぐるカーテン」からスタート。昨年3月の1期生ライブで着用した衣装を身にまとった1期生5人がまずステージに現れ、続いて2期生、3期生、4期生がステージ両サイドに散っていく。センターに立つ星野の表情は非常に晴れやかで、アイドルとして最後の舞台を存分に楽しもうという姿勢が伝わる。
1曲終えMCパートに移ると、キャプテンの秋元真夏が「とうとうみなみの卒業セレモニー、乃木坂46として最後の日になりました。最後までちゃんと見届けて、見送りたいと思います」と挨拶をするが、すでに涙混じりの状態。そんな秋元を、星野は笑顔で慰める。また、同期の樋口日奈も「まだ泣かないって決めていたんだけど、ステージに出た瞬間に私の目の前の女の子が泣いていて……」と涙を見せる。秋元が「みなみがいつもどおり振る舞っているから、余計にね」と続けるも、星野は「あんまり(卒業の)実感がなくて、不思議な気分です」とマイペースぶりを見せた。
2日前に同会場で行われた2期生 新内眞衣の卒業セレモニー同様、この日の星野みなみ卒業セレモニーもトークパートとライブパートを織り交ぜた演出で進行。ここからは3期生の久保史緒里、4期生の矢久保美緒が星野とともに進行を務め、「期別対抗!クイズ星野みなみ」が行なわれる。星野に関するクイズを出していき、正解数の多いチーム(期生)には星野が選んだ「みなみの大好きなクマのグッズの詰め合わせ」がプレゼントされることに。これを受けて、同期の齋藤飛鳥は「(10年の付き合いで)ツーカーなので!(笑)」、グループ加入前から星野のファンだった3期生の向井葉月は「私も10年の仲というか、アレなので(笑)」、2期生の北野日奈子は「プライベートで一番会うメンバーはみなみちゃんなので」、そして4期生の遠藤は「いっぱい答えられるよう頑張りますし、クマのクッズも欲しいので」と各々意気込みを口にした。
出題された問題は「星野が今朝起きて最初にしたことは?」や「最近歳かな?と感じたことは?」など難題も多かったが、珍回答を交えながらもメンバーは次々と正解を出していく。そして、「『指望遠鏡』のもっとも好きな振り付けは?」というクイズを経て、ライブパートは「指望遠鏡」で再開。1期生5人で歌われるその光景に改めて寂しさを覚えるが、ステージ上をわちゃわちゃと動き回る様子を前に自然と笑みも浮かぶ。しかし、続く「失いたくないから」では感傷的な曲調と相まって、涙を浮かべるメンバーの姿も見受けられた。
再びクイズパートに戻ると、ここまで1問も正解できていなかった3期生が最終問題で逆転勝利。しかも、その正解を向井が捻り出すというミラクルを生み出す。そんな和やかな空気の中、ここからは星野が後輩メンバーとともにパフォーマンスを繰り広げる。星野は4期生と「シャキイズム」を、3期生とは「ロマンティックいか焼き」で共演し、乃木坂46としての矜持を示していく。さらに、ほぼ同期のような存在の2期生とは可愛らしい曲調の「Am I Loving?」でコラボ。ここでは星野から2期生3人へのメッセージがスクリーンを通じて届けられる、粋な演出も用意された。
星野が卒業セレモニー当日の様子を想像するVTRパートへ。ここでの「卒業するときは、葉月と一緒に何かしようと決めていて。この曲のオリメンも私が最後。せっかく最後だからやりたいな」という彼女の発言から、星野&向井による「無口なライオン」へとつなぐエモーショナルな構成や、2人が着用しているのが“額縁衣装”と称される黒地に金をあしらった衣装という演出含め、観る者の涙腺を刺激する展開に。曲中、向井は涙をこらえながら一生懸命笑顔を見せようと頑張るが、エンディングでは感情を抑えきれずに泣きながら星野に抱きつく。そんな向井に対し、星野は「泣きすぎ(笑)」と声をかける一幕もあった。
その後、VTRでの「最後に絶対披露したい曲。ライブで披露するときは毎回楽しいし」という言葉に続いて、星野、齋藤、山下美月の3人で「Threefold choice」を、星野&齋藤の2人で「制服を脱いでサヨナラを…」を披露。後者では曲中、2人が涙をこらえきれず今の思いをぶつける場面もあり、齋藤が「ちっちゃい頃さ、私がもっと頑張らないとなって奮い立たされたのも、もうちょっと頑張ろうかなと粘れたのも、いろんな形の優しさを受け入れられるようになったのも、たぶんみなみのおかげだと思う。だから、本当にありがとう」と口にすると、続けて「でも、もうちょっと2人で頑張れるのかなと思った。“あしゅみな”でもう一個ぐらい何かやると思ってた」と本音を吐露。それに対し、星野は「ごめんね、頑張れなくて」と謝るが、齋藤は「でも、みなみは今日もみんなに気を遣ってくれて。みんなが負担ないようにって、いつも周りに気を遣ってくれていたから、明日からはみなみが一番みなみのことを可愛がってあげてください」と労いの言葉をかける。1期生の年少メンバーで歳も近く、比較されることも多かった2人だからこそのやりとりに、胸を打たれたファンも少なくないはずだ。