imase、TikTokでの大ヒット曲がバイラルチャート急上昇 言葉のループが生み出す心地よいグルーヴと奥深さ
つぶやくように歌うレイドバックした雰囲気が特徴的なimaseのボーカル。「Have a nice day」では、imaseらしい落ち着いたスタイルをしっかり見せながら、切なげな高音域が琴線を刺激する楽曲に仕上がっている。イントロから提示されるピアノのループを基調に、往年のリズムマシン風のビートがローファイな温もりを演出する本楽曲は、ミニマルでありながら音色やボーカルの質感の変化で遊び心のある工夫が凝らされているようだ。そして、歌詞を見てもこの楽曲のシンプルでありながら奥深い魅力が垣間見える。〈戻れないね 離れないで〉〈喜びも驚きもないままで〉〈喜びも驚きもない中で〉というフレーズが幾度となく登場するのだが、楽曲の構造とあいまってフレーズのループからもグルーヴが生まれているだけでなく、同じ歌詞の繰り返しにも関わらず楽曲が展開していくに伴って歌詞の解釈が徐々に変化していくように感じられるのだ。imaseのボーカル、楽曲、歌詞。どれをとっても、3分に満たない楽曲に詰め込まれたクリエイティビティは、溢れんばかりである。
メジャーデビューに際して「良い意味で現実味がない」(※1)とコメントするimase。それほど瞬く間にチャートを席巻したimaseの才能は、これからより急速に多くのリスナーの耳を魅了していくだろう。
※1:https://www.universal-music.co.jp/imase/news/2021-12-04/