Lucky Kilimanjaro、WurtS、にしな……リアルサウンド編集部が選ぶ、2022年さらなる活躍を期待したいアーティスト
■Van de Shop
ボカロP・蜂屋ななしでの活動を終え、名を改めてシンガーソングライターの道を歩み始めた栗山夕璃。彼がボーカルとギターを務め、端倉鑛(Manipulator/DJ)、仁井伯(Piano/Key)と共により新しい音楽の可能性を求めて結成したのがVan de Shopだ。配信中の「レセプション」は、妖しいピアノの旋律とジャジーなギターストロークが終始絡み合い、そこに物悲しさ漂う栗山の歌が重ね合わさることでデビューシングルながら安易に近づけない危うさを孕んでいる。レセプション=受付と冠しているが、誰もがその受付を通過できるわけではない。定められた最低限のルールをわきまえた者が優先的にその音楽の楽しさを許容できる、そんなバンドからの宣誓がデビュー曲となっているのだ。受付を済ませた後に待つのは一体どんな場所か、次の案内を楽しみに待つ。(小田)
■スー・ルイチー
日本・韓国・中国から99人が参加したオーディション番組『Girls Planet 999 : 少女祭典』。最終審査まで残り惜しくもデビューを逃したものの、日本を中心に大きな人気を集めたのが中国から参加したスー・ルイチー(苏芮琪/Sury Su)だ。過去、中国でもオーディション番組に参加したり、グループとしてデビューした経験を持つなど、ダンス・歌ともに高い実力を備えたメンバー。番組でもチームを牽引することが多く、フー・ヤーニン、シェン・シャオティンらとともに活躍し、中国メンバーの層の厚さを感じさせた。筆者含め、番組初期からパフォーマンス中のクールさに魅了された視聴者も多かったはず。同時に、ステージ以外では明るく気さくな表情も見せていたのが印象的だった(インスタライブも必見!)。そんな彼女が本格的にソロ活動をスタート。すでに配信されている「燎(The Phoenix)」は、力強いラップと落ち着いた歌声を楽しめる一曲。アーティストとしてここから前に進むという決意も感じられる。ちなみに彼女のYouTubeチャンネルでは番組中に披露してきた楽曲のカバーダンス動画も公開されている。まずは難しい楽曲を見事に表現してみせた「Fate」、これぞガールクラッシュという雰囲気の「The Eve」をぜひチェックしてほしい。(村上)
■シトナユイ
ビリー・アイリッシュの登場以降、低音域も歌いこなすスモーキーな声質のシンガーがポップミュージックにおいて存在感を強めており、国内でもDoulやchilldspotなど新たな才能が芽吹き始めている。そんななか紹介したいのが、シトナユイだ。現在大阪音楽大学に在籍中、歌唱以外に作詞作曲・アレンジも自ら行うマルチプレイヤーの彼女。90年代にSugar Soulとしても活躍したDJ/トラックメイカー・DJ HASEBEがその歌声に惚れ込み、自身の楽曲の客演に迎えたというニュースも話題を集めた。〈何も見えない何も知らない 何も気にしないのが1番で〉と歌うオルタナR&Bの1stシングル「morning moon」は、悩み多き時代を生きる上でお守りになるような楽観的なメッセージが清々しい。全編英語詞の2曲はダンスミュージック好きには「You make my feeling foggy」、ロック好きには「LOVE AS HELL」がおすすめ。劇伴制作からダンスまで様々なことに興味を持っているようで、ここから先どのようなアーティスト像を確立していくのかとても楽しみだ。(久蔵)
■もーりーしゅーと
11人組ダンス&ボーカルグループ・BUDDiiSのメンバーでもある、もーりー(MORRIE)としゅーと(SHOOT)による兄弟ユニット・もーりーしゅーと。TikTokやYouTubeを中心に人気を集めていた二人が昨年、au秋CM『つながる歌』篇の楽曲「ずっともっと」を担当した。その可愛らしいネーミングとは裏腹に歌唱力は抜群、兄弟ならではの一つに重なり合うハーモニーが爽快だ。また、マイペースな兄もーりーと、しっかり者の弟しゅーとのキャラクターバランスもよく、二人のやりとりを見ていると平和な気持ちになること間違いなし。日本のポップミュージックではこれまでにも美しいハーモニーを聴かせる男性デュオが数々の名曲を残してきた。令和の時代に活躍する二人組として、もーりーしゅーとにはぜひ今年もオリジナル曲にチャレンジしてほしい。(久蔵)
■fishbowl
「しずおかアイドルプロジェクト」から2021年に誕生した6人組アイドルグループ fishbowl。大白桃子、福田安優子、澤口葵、新間いずみ、久松由依、木村日音と、それぞれ静岡県内の異なる地域出身メンバーが集まり、ローカルアイドルとして活動している。ヤマモトショウがサウンドプロデュースを務め、昨年12月24日に1stアルバム『主演』、同作収録曲にゲストボーカルを招いた『客演』をリリースしたばかりだ。アルバムは統一性のある良質なエレクトロポップが揃っているが、とりわけデビュー曲「深海」は素晴らしい。fishbowl=金魚鉢というグループ名に通じる瑞々しさ、少し切なさを孕んだエレクトロサウンドとボーカルは、一聴しただけでこのグループに対する期待値が上がる。デビューから間もないが早耳なリスナーからの注目度は高く、2022年は地元から全国へより知名度を高めていくことだろう。(泉)