花譜×佐倉綾音×カンザキイオリ 特別鼎談 三者三様の思いで投げかける“価値観の肯定”

花譜×佐倉綾音×カンザキイオリ鼎談

 花譜のデビュー3周年を記念したコラボ企画『組曲』の第三弾として、佐倉綾音とのコラボ曲「あさひ」がリリースされた。今回の楽曲が、花譜にとってはリアルな存在との初めてのデュエット曲となる。

【組曲】花譜×佐倉綾音 #92.5「あさひ」【オリジナルMV】

 同曲は、女性同士の恋愛をモチーフに、花譜のメインコンポーザーであるカンザキイオリが制作。自身の価値観が社会に認められない苦しさ、その運命に抗う人間の美しさや不朽の愛が、花譜と佐倉綾音の豊かなボーカルで表現されている。

 リアルサウンドでは、花譜、佐倉綾音、カンザキイオリの鼎談を企画。「あさひ」の制作スタートからレコーディング、MV撮影といった制作秘話をはじめ、音楽が繋いだ3人の交流について話を聞いた。(編集部)

特集企画:花譜、ジャンルレスなコラボが生む“バーチャル×リアル“を越境した音楽

気が付いたらファンになっていました(佐倉)

ーー花譜さんのデビュー3周年記念としてスタートしたコラボ企画『組曲』の第三弾として、佐倉綾音さんとのデュエット曲「あさひ」がリリースされました。もともと松井諒祐さんがデザイナーをつとめるアパレルブランド“ha | za | ma”のコンセプトソングとして制作され、2020年に公開された同ブランドのPVにてショートバージョンを聴くことができました。まずは、それぞれがお互いの存在を知ったきっかけを伺いたいのですが、佐倉さんはいかがでしょうか?

佐倉綾音(以下、佐倉):花譜ちゃんのことを知ったのは、“ha | za | ma”でのコラボがきっかけでした。なので、最初は仕事の勉強のつもりで聴いていたのですが、いつの間にかずっと花譜ちゃんの曲を聴くようになっていて。私が研究家気質というか、一度興味を持つと徹底的に深掘りしたくなってしまうタイプで、花譜ちゃんのTwitterを遡ってみたり、どんなパーソナルを持っている方なんだろうとすごく調べました。プロデューサーのPIEDPIPERさんにも「花譜ちゃんってどういう子ですか?」と聞きまくったり(笑)。どんどん好きになっていって、気が付いたらファンになっていましたね。だから、今もお話できているのが信じられないです(笑)。

花譜:(照れ笑いしながら)光栄です……私は『僕のヒーローアカデミア』で佐倉さんのことを知りました! (麗日)お茶子ちゃんがめちゃくちゃ好きで。誰が声をやっているんだろうと調べたのがきっかけです。その時は『神椿市建設中。』のナレーターを佐倉さんが担当することを知らなかったので、どんなご縁があってコラボをさせていただけるんだろうと思ったし、KAMITSUBAKI(STUDIO)の仲間以外と一緒にオリジナル曲を歌うのが初めてだったので、どんな感じになるんだろうとずっと楽しみでした。

カンザキイオリ(以下、カンザキ):僕も今回のコラボのお話をPIEDPIPERさんからいただいて、その時に佐倉さんってどんな声をしている方なんだろうとすぐに調べました。誰しもが知っているようなキャラクターの声も担当されていて、すごい方とご一緒できるんだと改めて緊張しました。

ーー佐倉さんは、バーチャルアーティストであったり、VTuberに馴染みはありますか?

佐倉:私、時代について行けていなくて、最初はバーチャルアーティストやVTuberというカルチャーについても全然理解できていなかったんです。キャラクターの中でお話しているのは人間なの? AIなの? みたいな感じで、実態を出さずにインターネット上で活動する方々のことを自分の中で全然咀嚼できていなくて。だから花譜ちゃんのことを知った時も覆面アーティスト的なものなのかな、でもピンクの髪をした可愛い女の子もいるし、本当に不思議な気持ちで見ていたんです。それから、私自身も作品の中で心音淡雪というVTuberの女の子のキャラクターを演じさせていただく機会があって。

花譜:あ、私それ見てました!

佐倉:見ていたんですか!? 恥ずかしい(笑)。いざVTuberのキャラクターを演じるとなったときに、花譜ちゃんの存在に助けられたというか。バーチャルの存在に興味を持つきっかけになったのが花譜ちゃんだったので、すごく感謝の気持ちがあるんです。そういうお仕事を経て、もしかしたら花譜ちゃんとのコラボは自分が思っているよりもすごいことなのではないかと実感して、同時にじわじわ湧いてきた緊張感に今だに包まれているような状態です(笑)。

ーー花譜さんが佐倉さんをバーチャルの世界に導いたと言えますね。

佐倉:そうですね。初めて好きになったバーチャルの人が花譜ちゃんで、今でも最推しです!

花譜:えぇー! すごい嬉しいです。その言葉を糧に、これからも生きていきます……!

佐倉&カンザキ:(笑)

本当にお二人とも素晴らしい歌声(カンザキ)

ーー異なる文化圏の人が一緒になって理解を深めていくのはコラボの醍醐味ですね。では、カンザキさんは「あさひ」を作る上でどんなことをイメージしましたか?

カンザキ:今回の曲がファッションブランドのコンセプトソングだったので、PIEDPIPERさんとも相談しつつ、ランウェイでも使っていただけるような普段より長めの曲がいいのではないかと考えました。まさか7分超えになるとは思ってはいなかったですが(苦笑)。「あさひ」というテーマもPIEDPIPERさんと相談しながら決めていったのですが、最終的に女の子同士の恋愛をテーマにしようと思い立ったんです。すごくざっくりですが、女の子二人が一緒に夜を過ごして、ベランダから朝日を迎えるような風景をもとに書き進めていきました。

 そこから、佐倉さんの声優としての持ち味を活かしつつ、花譜ちゃんは感情が乗った歌声が素敵なので、その二つの魅力を出せるように歌詞やメロディを考えていきました。まるでミュージカルみたいな、素敵な曲がお二人のおかげで完成したと思っていますが、7分の曲をどんな風にみなさんが聴いてくれるのか、すごく緊張します。

ーーお二人の声の魅力はどのように分析されましたか?

カンザキ:花譜ちゃんとはずっと一緒に楽曲制作をやらせていただいている中で、感情が歌に乗ったときの震えるような歌声が個人的にすごく好きで。ちょっと言語化するのは難しいのですが、花譜ちゃんは聴き手の心に訴えかけるような、感情をストレートに届けられる歌声を持っていると思うんです。佐倉さんは、今回初めてコラボさせていただいて、少女のような幼さの中にある優しい雰囲気が印象的で。でも、強く歌う時には、発声の力強さもあるんです。そのギャップというか、強弱の付け方はさすがだなと思いましたし、普段声優さんとしてたくさんの役を演じる中で培われた、他の方にはない秘められた魅力なのかなと。本来、私が語るべきことではないと思いつつ、本当にお二人とも素晴らしい歌声です。

ーー今のカンザキさんのお話を聞いてお二人はいかがですか。

佐倉:すごく嬉しいです。声優として、性別や年齢、時には人間ではないキャラクターなど様々な役を演じさせていただく中で、人の中にある色々な感情や、それに紐づく声色が欲しいとずっと思っていて。これまでもたくさん人間観察をしたり、色んな人の人生を自分の体の中にしまい込んできた感覚があるんです。それが声優という職業だと思いますし、いろんな経験をしないと成立しない仕事だと私は思っていて。でも、たまに一つの役や、一つの物事を極めて、結果を残している人がすごく羨ましい気持ちになったり、私の人生はなんでも中途半端になっていないかなと不安になることもあるんです。でも、カンザキさんがおっしゃっていたように、私という一人の人間の中に多様性を感じてもらえるような解釈をしていただけると、救われた気持ちになります。

花譜:私もすごく嬉しいです。私は、表に出せない感情や言葉をしまい込んでしまうことがたくさんあって。それが歌なら言えるような感覚もあるんです。そういう部分をカンザキさんはいつもレコーディングで褒めてくださるんですね。きっと、すべての感情や言葉を普段の生活の中でそのまま出せるようなタイプだったら、こんな風に歌えていなかったと思うし、今こうして歌で出せることは幸せだなと思います。もっともっと、いい歌声で歌えるようになりたいです!

ーーカンザキさんと花譜さんの関係性はすごく素敵です。お互いが支え合っているというか、足りない部分を補い合っているというか。

カンザキ:(花譜に向かって)握手しましょうか(笑)。

花譜:(笑)

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