『高校サッカー』、熱戦支える応援歌の歴史を紐解く 上白石萌音×森山直太朗「懐かしい未来」も
未来に向かって頑張る人たちの姿を歌った、上白石萌音と森山直太朗の応援歌
第90回大会(2011年度)は、ナオト・インティライミの「Message」が応援歌、川口春奈が応援マネージャーをつとめた。色々な人の背中を押すような、ナオトらしい力強さにあふれた同楽曲。東日本大震災により多くの人が苦しんだ時期であり、〈10年後の僕に伝えたい「本気で走っていて」〉という歌詞は社会全体に対するエールとしても受け取れる。
第93回大会(2014年度)では応援歌を大原櫻子の「瞳」、応援マネージャーを広瀬すずが担当。大原は日本レコード大賞 新人賞を受賞したばかり、広瀬すずも前年に本格的な女優デビューを果たすなど、未知の可能性に賭けるようなマッチングだった。2014年といえば、ヒロインがありのままの自分を追って世界へ飛び出すディズニー映画作品『アナと雪の女王』が大ヒット。新たな一歩を踏み出すことの大切さを感じさせたが、”高校サッカー”における大原櫻子×広瀬すずもまさにそんなイメージだった。
第97回大会(2018年度)では応援マネージャーに清原果耶が選ばれた。NHK連続テレビ小説『あさが来た』(2015年)などで脚光を浴び、映画『3月のライオン』(2017年)では、泣きの演技が絶賛された。昨今では連続テレビ小説『おかえりモネ』(2021年)でのヒロイン・百音役や映画『護られなかった者たちへ』での好演が記憶に新しいが、若手実力派俳優として注目される一方、歌手活動も高く評価されている。そして応援歌には、Mrs. GREEN APPLEの「僕のこと」。こちらも1日、1日の歩みの大切さを歌った楽曲だ。この年は平昌オリンピック冬季競技大会で日本選手勢が多くのメダルを獲得。だがスポーツの世界は、どんなに努力しても結果はどうなるか分からない。それでも、そこに至るまでの過程は認められるべきもの。「僕のこと」はそういったスポーツの世界の現実を反映しているようだった。
現在開催中の第100回大会(2021年度)では、応援歌を上白石萌音が担当。楽曲「懐かしい未来」の作詞作曲を森山直太朗が手がけたことでも話題を集めている。コロナ禍により、さまざまな制約がある現在の暮らし。同曲は、それでも未来に向かって頑張る人たちの姿が想起できる内容だ。そして応援マネージャーの茅島みずきも、『おかえりモネ』に出演し、この先を嘱望される若手俳優。2022年の現在もまだかつてのような生活を取り戻せそうにはないが、今回の上白石萌音、森山直太朗、茅島みずきの組み合わせは、今を乗り越えて、これからの世の中にバトンを繋いでいこうという意思を感じさせる。
『第100回全国高校サッカー選手権大会』は間もなくファイナルを迎える。白熱する試合とともに、イメージソング、応援マネージャーの存在に注目してほしい。