『逃げ恥』森山みくりに日本中が恋をするーー歌手活動でも発揮されていた新垣結衣の“清らかさ”

ガッキーに日本中が恋をする

新垣結衣(森山みくり)

 大ヒット中のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の森山みくりさんに、もう完全に恋しています。

 テレビドラマの画面の中にしか存在しない人なので、永遠の片想いです。

 このドラマそのものの魅力は、みくりさんを演じるガッキーこと新垣結衣さんの可愛さだけに留まらず、若年層の就職難/晩婚化と少子化/セクシャルマイノリティの存在など、現代日本が抱える問題の数々が詰め込まれている上に、それらの社会問題が重苦しくなく軽やかに描かれていることにあります。しかしそれは、あくまでも後から冷静になって思い返した時に気づくことです。申し訳ないですが、ドラマを見ている間はもうずっと、みくりさんのことしか心にありません。

 みくりさんのお相手・津崎平匡を演じる星野源が歌う「恋」にのせて、PerfumeやBABYMETALのダンスでお馴染みのMIKIKO先生振付のダンスをドラマの主要登場人物が踊るエンディングでは、ガッキーがとてつもない愛しさを爆発させています。

 「恋愛感情を介しない契約結婚」という突飛な設定にリアリティを与えているのは、主役二人の安定した演技力は勿論のこと、ガッキーの類稀なる「清潔感」の力も大きいのではないでしょうか。その浮世離れした清らかさによって、一歩間違えば打算的な行為に見えてしまいかねない「契約結婚」が、真面目で一生懸命に生きているけれど世間からズレてしまう不器用さと、他人を傷つける事が怖くて自分を曝け出せずにいる臆病な心の行き着いた、最良の場所だったという説得力がもたらされています。

 ガッキーの清潔感は、一朝一夕に作られたものではなく、デビュー時から持っていた素質が年月を経て磨かれ、年齢を重ねたことによって強度を増しています。

 『Heavenly Days』発売時にテレビの音楽番組に出演したガッキーは、ぶっきらぼうに見えてしまうほど固く緊張し、震える手でマイクを握っていました。その場所に立っていることへの違和感でいっぱいで、間違って人間の世界に迷い込んでしまい困惑する妖精が一歩踏み出した瞬間、息をひそめて見守っていたくなる姿でした。けれどもその歌声は、風に揺れる花の頼りない儚さと、大地に根を張り決して吹き飛ばされる事のない強い意志の、両方を併せ持っていました。

 「逃げ恥」で、毎週火曜日がみくりと津崎さんの「ハグの日」というルールが決められましたが、ガッキーが「ハグ」と口に出す度、2ndアルバムの『hug』を連想してしまいます。いしわたり淳治、岸田繁、CHARAなどが楽曲提供した豪華な製作陣のアルバムでした。

 デビューしたての頃は誰でも当たり前にフレッシュですが、そのフレッシュさを保ち続けている存在は滅多にいません。現在は歌手活動をされていませんが、大人の女性になっても不思議なほど清らかさを失わないガッキーの歌声を、今こそ聴いてみたいです。

■松村早希子
1982年東京生まれ東京育ち。この世のすべての美女が大好き。
ブログにて、アイドルのライブやイベントなどの感想を絵と文で書いています。
雑誌『TRASH-UP!!』にて「東京アイドル標本箱」連載中。
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