UVERworld、歌の強度が増した『30』チャート好調 ロックサウンドの解体によって見えるバンドの核とは?

 言葉/物語によって共感を呼ぶのがJ-POPの必要条件なら、UVERworldって決して不特定多数向けではないのですね。〈自分のドラマの主人公であればそれで良い〉〈ちゃんと愛してくれない人からは離れる強さを〉と叫ぶ1曲目「EN」が象徴的で、基本は自分の話、自分の今、自分の感じ方がすべて。この我の強さは、なるほどロックバンドそのものでしょう。マジョリティの意見は関係ない、お前はお前の人生を生きろ。そんな言葉にリスナーは痺れるのです。

UVERworld × ドラマ「アバランチ」『EN』Special Movie

 また、ワンボックスカーから始まったバンドの物語を綴る「OUR ALWAYS」には〈ごめん俺 このメンバーでずっとやってゆくこと 一度も嫌だと思ったことがない〉なんて照れ臭い告白も。こういう身内話をも吐露することで熱量を獲得できるのがバンドの強さ。複数名で共有してきた歴史、メンバーにだけ伝わる符号。そういうものがあればあるほど、理解を深めたファンの間にファナティックな愛情が生まれていく。これはシンガーソングライターやDJにはなかなか生み出せないバンド特有のマジックですよね。

UVERworld「OUR ALWAYS」

 つまり、古典的なロックバンドサウンドから離れることで、むしろUVERworldは自らの消えない歌謡性、消えないバンドらしさを露わにしている。これを聴いて「バンドっぽくない」と思う人、きっといないんじゃないですかね。

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