King Gnu、Original Love、眩暈SIREN、reGretGirl……12月29日リリースの新譜4作をレビュー

眩暈SIREN『不可逆的な命の肖像/蒼彩』

　福岡発の5人組ロックバンドによる両A面シングル。「不可逆的な命の肖像」はTVアニメ『ビルディバイド -#000000-』（TOKYO MXほか）のエンディングテーマとして書き下ろされた楽曲。「大衆の共通認識、常識などに焦点を当て、願いの為に戦う主人公達と王によって統治された世界の対峙を表現しました」（※1）とのバンドコメントのとおり、理不尽な世界でもがくキャラクターの叫びを研ぎ澄まされたサウンドの中に表現した。一方「蒼彩」は、印象的なピアノのフレーズに誘われるように展開するメロディアスな1曲。どちらも、ボーカル・京寺の手がける不穏な詞世界が、ハイトーンボイスと轟音ギターによって彩られ、不思議とすがすがしさを感じる仕上がり。本作と同日に発売となるメジャー移籍後初となるフルアルバム『喪失』もあわせてチェックしたい。（渡部）

reGretGirl『生活e.p.』

　10代の若者から多くの支持を集めるスリーピースロックバンド・reGretGirlが、1st EPを発売。作詞作曲を手掛けるボーカル／ギターの平部雅洋の地元・大阪和泉府中の商店街を舞台に夜の記憶を歌った「ロードイン」にはじまり、恋人同士の濃密な空気をシャンプーの残り香に託した「シャンプー」、同じ部屋に暮らしていながらすれ違っていく日々を赤裸々に描く「LDK」、そして別れの直後の長い夜を振り返る「オールディーズ」と、今回も失恋をテーマにした4曲が収録されている。“恋愛＝生活”をキーワードとしただけあって、聴いているとそれぞれの曲にリアルな生活の情景が浮かび、誰かの恋の終わりを追体験しているような感覚に。その分、サウンド面はシンプルでキャッチーなメロディを主体とし、失恋の痛みをポップソングへと昇華している。（渡部）

※1：https://anime.build-divide.com/music/detail/ed.html