アルバム『Chameleon』インタビュー
近石涼が追求する、シンガーソングライターとしての生き方 「自分らしさは他人が決めることではない」
EXILE、湘南乃風、バンプ……マネからはじまったボーカルスキル
ーー「ノスタルジークラムジー」は、“思い出のなかには戻れない。でも、だからこそ先に進める”という思いを映し出す楽曲。ボサノバ的なサウンドも気持ちいいなと。
近石:この曲は最初からボサノバっぽくしたくて。ただ、それだけだと飽きそうだったので、2番からドラムを加えて、スピード感を出してるんです。歌詞の焦燥感ともリンクしているし、いいバランスになったのかなと。結構やりたい放題やってますね(笑)。
ーー(笑)。ファルセットを活かしたボーカルも印象的でした。楽曲によって歌の表情もかなり違うし、本当にいろいろな表現を持ったシンガーだなと思います。
近石:最初は好きなアーティストのマネからはじまってるし、今もいろんなところに影響が出てるんですよ。自分で聴くと、「ここはEXILEのATSUSHIさんっぽいな」とか「湘南乃風のHUN-KUNさんの感じが出てるな」みたいなところもあって(笑)。BUMP OF CHICKENの藤原(基央)さんのシャウトを参考にしたフレーズもあるんですよ。たぶん、自分にしかわからないと思いますけどね。
ーー「寂しさは夜のせい」は、女性目線のラブソング。
近石:もともとは、アカペラサークルで一緒に活動していた女性ボーカルに歌ってもらうために書いた曲です。女性目線の歌詞を書いたのはこのときが初めてだったんですけど、すごく新鮮だったし、筆もスルスル進みましたね。この頃はコード進行の理論とかもあまりわかってなかったんですけど、今聴いても「ちゃんと書けてるやん」と思って、収録することになりました。この曲で(音楽コンテスト)『eo Music Try 19/20』の音源審査を通って、決勝のステージで今の事務所に声をかけてもらって。この曲でいろんな人とつながれたし、「『寂しさは夜のせい』を入れないと、アルバムが完成しない」という感じもありました。
ーー「ライブハウスブレイバー」は、葛藤の日々を越え、もう一度〈歌い始めた大学3回の春〉の感情をストレートに放ったアッパーチューン。「この気持ちを歌にしたい」という衝動が剥き出しになってますね。
近石:僕はMOROHAも好きなんですけど、ラップとはまた違って、語りがそのまま歌になっていることに衝撃を受けて。「ライブハウスブレイバー」は「喋りに音楽を与えたらどうなるだろう?」という実験みたいな感じで始まったんです。ギターを弾きながら、喋るような感覚で歌いながら、この形になりました。
ーーなるほど。すごく赤裸々だし、リスナーからの反響も大きかったのでは?
近石:そうですね。冒頭のフレーズ(〈ライブハウスで歌った あれは確か16の頃〉)も印象に残ったみたいだし、MVもいい感じに仕上げていただいて。嬉しいです。
ーーアルバムの最後は、「生まれて死ぬまでの間に」。死生観、人生観が強く刻まれた普遍的な歌だなと。
近石:「曲を作らなくちゃいけない」という感じで制作に取りかかることが多くなってるんですけど、本来は順番が逆というか、こみ上げる思いを曲にするべきだなと思っていて。そんな思いが常にあるわけではないんですが、コロナ禍のなかで、つらいニュースを耳にしたとき、そのときに感じたことを曲にしたいと思ったんです。
その日もライブだったんですけど、移動中に歌詞を書いて、それを見ながら即興で歌って。音楽活動を始めた頃から、そういうことをときどきやっていました。『COMIN’KOBE16』のオーディションのときもそうだったんです。ライブ審査で2曲歌うことになってたんですけど、オリジナル曲が1曲しかなかったから、その場で書き上げた歌詞を即興で歌って。演奏はめちゃくちゃだったんですけど、その粗さも評価してもらえたのかなと。
ーー衝動をそのまま歌にすることも、近石さんの表現の一つなんですね。
近石:そのときにしか書けない曲がありますからね。そういう曲をアルバムに入れることも、自分の名刺になる作品に必要だったのかなと。
ーー「生まれて死ぬまでの間に」を歌うと、曲を書いた瞬間のことを思い出す?
近石:すごく思い出しますね。あと、〈今日あったことと 明日起こることの それだけで僕はできてる〉という歌詞は、表現としていままでで一番遠くに行けた気がして。当然のこと、誰もが思っているけど、誰も言葉にしていないことを歌詞にできたと思います。
ーーアルバムリリース後の2022年1月22日には、ホームグランドである神戸VARIT.で初のワンマンライブが開催されます。
近石:長いこと神戸VARIT.でライブをやらせてもらっていて、スタッフの方からも「ワンマンやる?」って言ってもらったこともあるんですけど、ずっと踏み出せないでいたんです。いろんな方に関わってもらって、満を持してワンマンをやれるのはすごく嬉しいし、“今”でよかったなと思います。「ライブハウスブレイバー」の舞台も神戸VARIT.だし、MVも撮らせてもらって。今までお世話になった地元の人たちにもぜひ見てもらいたいですね。
ーー名刺になるようなアルバム『Chameleon』をリリースして、ワンマンライブも実現。次のビジョンも見えているのでは?
近石:今はワンマンのことに集中していますね。アルバムにはバンドアレンジでは再現できなそうな曲もあるし、「そこをどうするか?」をメンバーとすり合わせているので。この先のことも考えてはいますけど、まずはワンマンで成長した姿を見せたいです。来年はいろんな場所でライブをやりたいですね。YouTubeの活動だったり、『ハモネプリーグ』(フジテレビ系)や『THE☆カラオケバトル』(テレビ東京)などでちょこちょこテレビに出ていたこともあって、「北海道にも来てください」「九州でもライブをやってほしい」みたいな声もいただいて。全国でライブをやって、大切なタイミングでは神戸に戻って、地元の人にも「がんばってるな」と思ってほしくて。
ーー本当に神戸を大事にしてるんですね。
近石:神戸VARIT.には本当によくしてもらってきたので。ライブが終わったあとも、清算して終わりではなくて、スタッフの方と朝まで話し込むこともあって。すごくお世話になったし、とにかくワンマンを成功させたいと思ってます。
■リリース情報
アルバム『Chameleon』
12月8日(水)リリース
■ワンマンライブ情報
近石涼『Chameleon』2022
日程:2022年1月22日(土)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:神戸VARIT.
前売り \2,500 / 当日 \3,000(別途ドリンク代)
購入ページ:https://eplus.jp/sf/detail/3475640001-P0030001
■近石涼 オフィシャルサイト
https://www.chikaishiryo.com/