SHE’Sが10年間育み続けたバンドの核心 日本武道館公演を見据えた10周年ライブツアーを観て

SHE'S、10周年ツアーレポ

 全国10都市を訪れたSHE’Sのライブハウスツアー『SHE’S 10th Anniversary Tour「So Close, So Far」』が、12月5日の大阪公演でファイナルを迎えた。ツアー終了を受け、本稿では、10月10日にKT ZeppYokohamaで行われた初日公演を振り返りたい。

SHE’S

 ツアータイトルにもあるように、バンド結成10周年のアニバーサリーイヤーを邁進するしているSHE’S。これまで培ってきた音楽性を1曲に凝縮させたような、10年の象徴というべき曲「追い風」でライブはスタートした。その演奏を聴いた率直な感想は“ツアー初日でこんなに完成度が高いの?”といった感じ。木村雅人(Dr)と広瀬臣吾(Ba)によるリズム隊の音は線が太く、輪郭が濃く、土台がしっかりしているからこそ服部栞汰(Gt)の奏でるフレーズが活かされ、どこまでも雄大に響いていく。井上竜馬(Vo/Key)のボーカルは力強く、感情が乗った時特有の、裏返る手前ギリギリを攻める声を自身のコントロール下で出せている感じもある。総じて、バンドがまた逞しくなった印象を受けた。

 筆者はSHE’Sのツアー初日公演を観るのが初めてだったため、“初日でこんなに完成度が高いの?”という感想になったわけだが、過去のツアーファイナルを思い返しながら、そこから逆算をして考えてみても、初日でこれだけ高い地点に到達できているのは今回が初めてだったのではないかと思う。6・7月には東京・大阪での野外ワンマン『SHE’S 10th Anniversary「Back In Blue」』を行ったSHE’S。そこからわずか2~3カ月の間でバンドの内側で意識改革が起こったのか、シンプルにたくさん練習をしたということなのかは分からないが、ともかく、進化を感じさせられたのは確かだ。だからこそ1カ月前に行われたライブのレポートではバンドの現状を正確に捉えることはできないかもしれないが、彼らの成長速度がそうさせているということでご了承いただきたい。

 また、5thアルバム『Amulet』のリリースから4日後にツアーが始まるというスケジュールも相まって、新曲をライブでやれる喜びが前面に出ていたのもよかった。幅広い音楽性を見せた最新アルバム『Amulet』の中でも、とりわけ新鮮味のある「Delete/Enter」のような曲を、演奏するメンバーの楽しそうなこと。主人公というよりもヴィランっぽい、ダークな雰囲気の曲だが、高揚感が漏れ出てしまっている感じが微笑ましく、好奇心ともに音楽で冒険するバンドのアティチュードを改めて実感させられた場面でもあった。

 さらに、いくつかの楽曲では『Sinfonia “Chronicle”』(弦・管楽器とともに演奏するホールワンマンシリーズ)にも参加していた永田こーせー(Sax)が登場。永田とともに演奏したのは「Do You Want?」、「If」のような音源でもサックスが入っている曲に限らず、「Ugly」、「月は美しく」、「Blowing in the Wind」、「Over You」も今ツアーならではのアレンジを聴かせてくれた。例えば「Ugly」は、バンドの演奏に対してサックスのフレーズがオブリガート的に絡んでくる構成。歌メロをアレンジしたりスキャットを加えたりしていた井上を筆頭に、メンバーも自由度の高いプレイをしていて、永田との相互作用を楽しんでいる様子だった。



インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる