Wienners、妄想と現実入り交じるライブエンターテインメントの凄み フロアの熱気に感じたライブハウスらしい光景

Wienners、ライブエンターテインメントの凄み

 一旦、メンバーが捌けたと思ったら、アサミサエが白いブラウスにつばの広い帽子という夏の少女的ないでたちで登場し、思いっきりアイドル歌謡調の「片瀬江ノ島」を熱唱。その後のMCによると、飽くまでもそのシンガーは別人で“松田サエ子”というらしい。玉屋が「夏休みは終わっちゃったけど、今の曲で夏休みが蘇ってきた。その先に大海原があるから一緒に大航海に出ましょうよ!」と、「DEAR MY OCEAN」を披露。サビでのヒーロー感が際立つ。このブロックでは和テイストの歌メロや、J-POPの王道的なエレピのアレンジが印象的なレア選曲の「姫」も披露した。

 歓喜を素直に爆発させるフロアを見渡して、玉屋が「皆さんの顔を見たら思い出せる。僕たちはどこへだって行ける、誰にだって会える。音楽が見せてくれる景色に付いて来てください!」とエキゾチックなメロやアレンジを高速ビートに乗せる「十五夜サテライト」や、ギターとキーボードが絶妙なシンコペーションを展開する「雪国」などで、文字通り異世界へ誘導。熱量を増す玉屋の感情はMCでも素直な言葉となって発され、「生きてるってなんでしょうね? 現実と空想を行ったり来たりして感じること。だからエンターテインメントが、音楽が、ライブハウスが必要なんです!」と叫ぶ。そこからの人間讃歌3連発と言える「LIFE IS MY LANGUAGE」、「LOVE ME TENDER」、「LIFE IS BEAUTIFUL」のポジティビティはリアルだったし、しかも虚実ないまぜに構成したこのライブを痛快な現実世界に導いてフィニッシュすることに成功していた。

 アンコールではコロナ禍の中、ホームグラウンドである吉祥寺WARPの救済企画として作ったライブハウス讃歌「GOD SAVE THE MUSIC」をプレイ。当初の意図がリスナーによって拡張され、新たにライブハウスが居場所になった人のことも想像できた。情報過多な音楽性とパンクな精神性を持ついい意味でニッチなバンドだったWiennersが、コロナ禍に直面したことで素直な言葉を吐露したこと。さらにポップスを書ける玉屋2060%の才能と、それを具現できるメンバーの表現力の強化で結果的に理解されやすい存在になりつつあるーーそんな兆しを存分に感じた2時間だった。

■ライブ情報
『Wienners 感謝祭2021 ~年末特番!! 2時間SP~』
2021年12月27日(月)下北沢SHELTER
18:30/19:00
スペシャルゲスト:脳みそ夫

※Official HP先行
応募期間:2021年11月12日(金)21:00~11月23日(火・祝)23:59
《受付URL》https://w.pia.jp/s/wienners21ofs/

■リリース情報
Wienners
10月20日配信リリース
New Single 「FACTION」
(作詞・作曲:玉屋2060%)
※フジテレビ系TVアニメ「デジモンゴーストゲーム」オープニング主題歌
楽曲配信:lnk.to/faction
MUSIC VIDEO:https://youtu.be/7W8Vvvjpci8

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