Wienners・玉屋2060%が音楽作家としての“顔”を語る 「普通のことをやって、個性をどれだけ出せるか試したかった」

Wienners・玉屋、音楽作家としての顔

 音楽を創る全ての人を応援したいという思いから生まれた、音楽作家・クリエイターのための音楽総合プラットフォーム『Music Factory Tokyo』が、西荻第二世代のパンクに渋谷系とポップスを織り交ぜた4人組バンド・Wiennersのフロントマン・玉屋2060%のインタビュー記事を公開した。

 同サイトは、ニュースやインタビュー、コラムなどを配信し、知識や技術を広げる一助をするほか、クリエイター同士の交流の場を提供したり、セミナーやイベント、ライブの開催など様々なプロジェクトを提案して、未来のクリエイターたちをバックアップする目的で作られたもの。コンテンツの編集には、リアルサウンド編集部のある株式会社blueprintが携わっている。リアルサウンドでは、今回公開されたインタビューの前編を掲載。でんぱ組.incやベイビーレイズJAPANへの楽曲提供のほか、ゆずやゆるめるモ!の編曲なども行う、音楽作家としての顔も持ち合わせている彼が、バンド結成の経緯、そして楽曲提供を行うまでのきっかけ、作家として初めてぶつかった壁などについて、じっくり話を聞いた。

「全国のみんなが同じようなバンドの音楽にハマっていると勘違いしていた」

――玉屋さんが音楽に初めて触れたのはいつでしょうか。

玉屋2060%(以下、玉屋):中学生の時ですね。小学生のころはちょうどJリーグの創世記で、僕自身もサッカーをやっていたのですが、競技場に足を運んで、12番ゲートにいるウルトラス・ニッポンという熱狂的なサポーター集団と一緒に応援しているうちに、自分はサッカーではなくあの12番ゲートの熱狂が好きなんだということに気付いたんです。で、中学生になったときにDragon Ashをテレビで初めて見て「この人たちはもしかしたら何か違うのかもしれない」と感じてから、Hi-STANDERDやGOING STEADYなどを聴くようになり、次第にパンク・ハードコア・パンクシーンへと没入していきました。そして、GOING STEADYもライブをやっていた、自宅近くにある西荻窪のWATTSというライブハウスに足を運んだのですが、もう世界がそこだけしかないみたいな衝撃を受けて。そこからは毎週WATTSに通って、小学生の時にスタジアムで感じた熱狂を思い出すようになりました。

――WATTSとサッカースタジアムの熱狂を同じように感じたというのが面白いですね。

玉屋:WATTSにあった熱狂は、ポップスじゃなくてパンクやハードコアであり、テレビじゃなくて小汚いライブハウスの現場のものでした。“事件性のある熱狂”というか。

――玉屋さんがその熱狂にリスナーとして身を投じたのは、パンクスの第二世代といわれているところですか?

玉屋:そうです。WATTSに通い出したころは、ユアソン(YOUR SONG IS GOOD)の前進バンドであるFRUITYやSCHOOL JACKETSや、その流れを引き継いだ西荻第二世代のDASHBOARDやSNOTTYが好きでした。それがシーンの片隅にある局地的な盛り上がりとは知らず、僕はそこが世界のすべてだと思っていて、全国のみんなが同じようなバンドの音楽にハマっていると勘違いしていたんです。でも、よく考えると100人、200人の世界で起こってる出来事なんですよね(笑)。

――実際に楽器を持ったのもこのあたりですか。

玉屋:まさにそのあたりで、中学3年生くらいの時にGOING STEADYの1stシングルを聴いて、「これなら俺にもできる!」と思ったのがきっかけです。最初はコピーをやっていたのですが、次第に「自分で作った方が早い」と考えるようになって、家にあるクラシックギターでパワーコードを弾いていました(笑)。ピックもなかったから、代わりに10円玉を使ったりして…。

――パンクですね(笑)。

玉屋:もちろんレコーダーも無いので録音なんて出来ないと思っていたのですが、カセットテープのレコーダーがたまたま家にあったので、これにドラムを入れたいと思い、段ボールを叩いた音をカセットに録音し、それをコンポで流しながら今度はベースを録っていました。そこからギター、歌と順番に録音したのですが、完成するころにはドラムがめちゃくちゃ後ろの方に鳴っていて(笑)。そんな真似ごとを高校生の最初くらいまではやっていました。周りのミュージシャンも同じような録音をしていると思っていたから、CD音源を聴いて「なんでこんな綺麗に録音できるんだろう」と純粋に疑問でしたね…。

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