Sexy Zone、激動の10年から飛躍の10年へ 和気藹々としたラジオトークを聞いて

 そんな息の合ったトークを見せるSexy Zoneだが、10年前のデビューは「まさか」と誰もが驚いていたのを思い出す。中島、菊池の2人はきっと同世代グループのセンターを目指していたはずで、佐藤、松島、マリウスはジャニーズJr.としてまだまだ経験を積んでから、その晴れの日を迎えるものだと思っていたことだろう。しかし運命は急展開を迎え、10代の彼らはその大きな波に思い切り心をかき乱されていたように感じた。それでも、彼らは一つひとつもがきながら乗り越えていく姿を見せてくれた。それは、Sexy Zoneの5人でなければ紡ぐことのできない、壮大なドキュメンタリーのような日々だった。

 突然センターに立つこととなった佐藤の重圧は計り知れない。しかし、彼は徐々に自らの弱さを見せていくことを学んでいった。生の椎茸と干し椎茸の差がわからなかったり、水中では驚くほどカナヅチだったりと、パブリックイメージとは裏腹にかなり不器用なタイプの佐藤。しかし、それをまっすぐに伝えられると、こちらとしても応援せずにはいられないのだ。しかもやると決めたからにはとことん追求する性格のため、ステーキのエスカルゴバターソースが得意料理になったり、ダイビングができるまでになったりと、急成長する姿を私たちは何度も見てきた。最初は難しいと悩んでいた演技についても、今ではその魂から絞り出すような切ない表情で多くの人を圧倒させる。その可能性の広がりこそが、佐藤の大きな魅力だ。

 そして、最年長の中島と、シンメトリーで歩んできた菊池は、自らの魅力を確立しながらもグループを引っ張っていくという難しさに必死に向き合ってきた。“キラキラ”と“オラオラ”とも例えられる正反対なキャラが際立ったのも、同じように負けず嫌いで向上心がある、まるで鏡とも言えるお互いがいればこそ。“ライバルは強いほうが面白い”と言われるように、Sexy Zoneの物語において、中島と菊池のヒリヒリとさせながらも、互いの個性を尊敬し認め合える特別な関係性というのは、狙っても決して作り出せるものではない。そうして最高のライバル同士がガッチリと手を組んだとき、どこまで行くことができるのか。その先のストーリーにワクワクせずにはいられない。

 一方、松島とマリウスのコンビもまた、中島と菊池とは異なる唯一無二の物語を見せてくれる。デビュー当時、まだ幼く無垢な魅力を放っていた2人。無邪気で人懐っこい松島と、天真爛漫で浮世離れしたマリウスは、小動物や天使のような可愛さでファンを魅了していった。だが、その後の2人はジャニーズ史上、類を見ないほど厳しい道を歩むことになる。経験値を積むために夢者修行のごとく、年上3人とは別の動きをしなければならない日々もあった。それでも2人は肩を寄せ合うように健気に取り組み、その純粋さは彼らの凛々しく端正な顔つきにも表れているようだ。そんな屈折することを知らない真っ直ぐさがゆえに、心と体のバランスを保つのは難しいのかもしれない。だが、松島が元気に復活してくれたように、マリウスもまた笑顔で戻ってきてくれると信じている。

 10周年という節目のタイミングで、改めて変わらぬ良さと共に大きな成長を見せてくれたSexy Zone。その足取りは年々力強く、そしてこの先を見据える視線も頼もしい。これまでの激動の10年があったからこそ、これからは飛躍の10年となるに違いない。彼らの底知れぬ強さと、眩しいほど正直で殊勝なスタンスで、どこまでも走り抜けてほしい。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる