V6がジャニーズにもたらした数々の革新 デビュー日にして“グループ最後の日”に寄せて

 V6の革新性といえば、その時代毎の音楽トレンドを巧みに取り入れてきたこと、そして歌とダンスそれぞれで6人が個性を磨いてきたことが挙げられる。デビュー曲「MUSIC FOR THE PEOPLE」、2ndシングル「MADE IN JAPAN」のようにユーロビートを取り入れたジャニーズ楽曲は、当時としては新鮮だった。その後もHIPHOPやレゲエを親しみやすさを保ちながら取り入れ、R&B、EDMといったジャンルにも挑戦。ダンスについては、ジャニーズの十八番でもある様々なアクロバットでファンを魅了してきた。力強さ、繊細さ、しなやかさなどを歌とダンスで表現してきたV6は、今日に至るまでメンバー全員が進化し続けている。

V6 / MUSIC FOR THE PEOPLE(YouTube Ver.)

 さらに、V6はクリエイティブ面においても大きな変化をもたらす。三宅がグループの転機になったと語る12枚目のアルバム『Oh! My! Goodness!』の制作について、井ノ原とともに好きなアーティストたちに楽曲をオファーするところから始めたという。「自分が愛を感じられないものを、人に提供してお金を出して買ってもらうべきではない」(※1)と三宅。このスタンスこそが、その後のV6としての音楽活動のターニングポイントの1つになったと言えるだろう。

V6 / kEEP oN.(YouTube Ver.)

 2014年、『第65回NHK紅白歌合戦』に初出場したV6。大河ドラマ『軍師官兵衛』で主演を務めた岡田、『あさイチ』でMCを担当してきた井ノ原、『みんなの手話』(全てNHK総合)のナビゲーターとして活躍する三宅などメンバー個々の安定した活動が、『紅白』というステージへグループを導いたのだ。

 26年間、グループとして歩みを止めることなく、同時にソロとしても挑戦を続けてきたーーV6としての活動を充実させながら、個人個人の幸せも犠牲にしない、そんな地に足ついた部分も彼らの魅力である。V6が見せる継続力は、他のジャニーズグループはもちろん、ファンにとっても今後の人生の支えとなるのではないだろうか。

 全国ツアー『LIVE TOUR V6 groove』最終日となる本日11月1日、同公演の模様はオンラインで生配信される。“終わり”ではなく“始まり”の11月1日、26年分の思いを込めて、V6を最後まで見届けたい。

V6 / 僕らは まだ

※1」『日経エンタテインメント!』2021年11月号より

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