ENHYPEN、1stアルバムが大差でチャート首位に バラエティ豊かな構成で描く新たな物語の始まり

 特に「Blockbuster feat. YEONJUN of TOMORROW X TOGETHER」と「Attention, please!」でのロック的なサウンドの意匠(歪んだギター、突っ走るようなエイトビートのフィーリング)の使い方は絶妙で、ポップパンクがヒップホップやEDM的なプロダクションと合流しながら再評価・再解釈されている時代の感覚ともがっつり噛み合っている。「Blockbuster」の、バースがドラムンベースで、メロディアスなブリッジを挟んでサビがトラップのビートになる流れも何かクセになる。ある一定の世代には“デジロック”的なノリを想起させるかもしれない。

 フルアルバムと謳ってはいるものの、アルバムとしての尺は22分程度でかなりコンパクト。そんななかに豊かなバラエティと構成を作ってあるパッケージングの手堅さが頼もしい。しかし、ラストがアウトロではなくインタールード(「Interlude: Question」)だという構成から見ても、ここから続くさらなる物語が予告されている。淡くメロウなヒップホップのビートがハードなドラムンベースに早変わりするインタールードに再び心躍らせる一方で、さまざまな葛藤を描きながら走り続ける物語の行く末に、K-POPアーティストというハードな職業についたENHYPENメンバーたちの姿も重なって、刹那的なものを覚えてどこか怖くもなる。いずれにせよ、今後も破竹の活躍を見せるだろうENHYPENに注目していきたい。

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