花譜、LEX、chilldspot……多彩なアウトプットで躍進する10代アーティストたち

多彩なアウトプットで躍進する10代アーティスト

 歌い手Aru.として知られるミテイノハナシはドラマチックな楽曲に呼応するアニメーションMVが話題だ。物心ついた頃から“ネット発の音楽”が定着していたZ世代ゆえの表現アプローチだろう。メジャーデビュー曲「夜を越える足音」でもその持ち味は発揮された。

ミテイノハナシ「夜を越える足音」

 あぶらこぶはiPhoneのアプリという最小限な制作体制からは想像もつかないフレキシブルでジャンルレスなポップソングを量産中。「Think over」はなめらかなメロディとユニセックスな歌声が絶妙にマッチした1曲だ。

あぶらこぶ「Think over」

 バーチャルシンガーという異質なスタイルで活動するのは花譜。声のイメージを拡張するCGキャラクターのビジュアルを獲得し、様々な世界観と融和する未来志向のシンガーだ。顔を出さないということも一つの個性となる時代の象徴たる存在だろう。最新楽曲「海に化ける」ではその弾け飛ぶようなボーカルワークを堪能できる。

花譜「海に化ける」

 ソロアーティストだけでなくバンド形態で活動する10代も数多い。chilldspotはソウル~R&Bに根差したグルーヴが心地よいバンドだ。最新曲「未定」は歌の流麗さに加えて、ミニマルなリズムと中盤から存在感を増すギターなど、豊かなアンサンブルを聴かせる。

chilldspot「未定」

 ハク。はゼロ年代~テン年代のオルタナティブロックの成分をたっぷりと含んだ瑞々しい楽曲を発表し続けている女性4人組バンド。10月6日にリリースした「ふたり基地」では不思議な浮遊感とキャッチーなメロディが抜群の相性で噛みあっている。

ハク。 「ふたり基地」

 練馬発の4ピースバンド南無阿部陀仏は青春パンクを令和に蘇らせたかのような汗臭い衝動に溢れている。器用さが際立つアーティストが数多い世代ゆえ、彼らのような無骨な全力投球もまた美しい。夏の終わりにドロップされた「想いを乗せて」に迸るエネルギーはきっと多くの人に届くはず。

南無阿部陀仏「想いを乗せて」

 好きなことを好きなやり方で発信しながらも、時代をひっくり返す予感に満ちた10代アーティストの楽曲たち。末永く、シーンを賑わせていって欲しい。

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【特集】10代アーティストのリアル ~Teenage Dream~

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