YUKI、不思議な世界広がる『Terminal G』ツアー完走 初のシアトリカルなステージで届けた新たなライブの楽しみ方

YUKI

 緊迫感のある映像を挟んで場面が変わると、ステージの最上段に小さな箱型のステージが現れる。中にはグランドピアノとYUKIが姿を見せ「泣かない女はいない」を披露。黒のマントの中にミントグリーンが映える衣装にセミロングのストレートヘアでシックな印象だ。続く「プリズム」はピアノの印象的なイントロから大胆にアレンジし、異なる生命が曲に宿った。ドラムにスポットが当たると始まったのは「JOY」。YUKIが「私たちをつなぐ呪文は何? そう、歓びの歌。知っていたら一緒に踊って」と呼びかけると会場はダンスホールと化す。

 華麗な舞いを披露しながら熱唱した「STARMANN」を終えると、空港らしき場所へと舞台が移る。セキュリティゲートのブザーが鳴り、なかなか先に進めないYUKI。またしても電話が鳴る。何かを謝っている「そっちの世界にいる誰か」にYUKIは「自分でもどこに行くかはわからない。でもここじゃないどこかへ行くの」と告げると、セキュリティゲートを通過し「ご・く・ら・く terminal」の歌唱へ。ガールクラッシュ的な雰囲気を放つ同曲を歌い終えるとステージ最上段のはしごをのぼり姿を消した。

 大小様々な大きさのYUKIが登場する不可思議な映像を挟み、ステージにある部屋に戻ってきたYUKIはピンクのリボンモチーフのミニドレス姿にチェンジ。「Sunday Service」はドラムの簡易セットを叩きながら曲の祝祭感を際立たせる。「チューインガム」ではタンバリンを片手に、ベストヒットを紹介する番組さながら様々なテイストの音楽に乗せてバンドメンバーを紹介。YUKIの紹介では「ワイ・ユー・ケー・アイ」コールで観客を盛り上げ、突き抜けるハイトーンボイスを披露、タンバリンキャッチも見事成功させた。80’sテイストのデジタルドラムのビートから始まる「ベイビーベイビー」、イントロから大きな拍手が沸き起こった「ランデヴー」とヒートアップすると、誰かの笑顔を見るために自らの中にある情熱の灯を消さないと歌う「灯」を魂こめた歌声で聴かせた。

YUKI

 最後、YUKIから「そっちの世界にいる誰か」に電話をかける。いろいろな景色をともに見てきたと語りかけながら「もう謝らないで。私は大丈夫。さよならは言わないから」と告げ、アルバム『Terminal』のラストを飾る「はらはらと」へ。銀の紙吹雪が舞う中、2時間弱の公演の幕が閉じた。

 緞帳が再び開き、一列に並んだYUKIとバンドメンバー。一度はステージから去ったものの舞台やミュージカルのカーテンコールさながら、再びステージに戻り深々と頭を下げた。最後にはYUKIだけがステージに残り「『YUKI concert tour “Terminal G” 2021』、ここまで24公演無事完走することができました。私は幸せ者です。こんなにたくさんの方に来ていただいて本当にありがとうございました!」と、マイクを通さずに精一杯の声で挨拶した。

 YUKIにとって初の試みとなるシアトリカルな演出が取り入れられた今回のツアー。ともに歌い踊るだけがライブではなく、ステージ上で起こることに集中し、それぞれが目にしたこと・耳にしたことの意味を考え、何かを受け取るという新たな楽しみ方が示された。YUKIが対話していたのは誰だったのか、私達が目撃した世界は何だったのか。また一つYUKIの最高傑作が更新されたツアーだったことは間違いない。

■セットリスト
『YUKI concert tour “Terminal G” 2021』
10月10日(日)東京ガーデンシアター

1.My lovely ghost
2.good girl
3.NEW!!!
4.うれしくって抱きあうよ
5.2人のストーリー
6.ロックンロールスター
7.聞き間違い
8.Baby, it’s you
9.泣かない女はいない
10.プリズム
11.JOY
12.STARMANN
13.ご・く・ら・く terminal
14.Sunday Service
15.チューインガム
16.ベイビーベイビー
17.ランデヴー
18.灯
19.はらはらと

YUKI Official Website:http://www.yukiweb.net/
YUKI Official Instagram:https://www.instagram.com/yukiweb.net_official/

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