オレンジスパイニクラブ、音楽の中心にある日常の風景 全曲新曲で臨んだメジャーアルバム『アンメジャラブル』の手応え

オレスパ、音楽の中心にある“日常の風景”

「ガマズミ」のスタートは“クズ気味の男目線の曲”

オレンジスパイニクラブ「パインvo.10」LIVEダイジェスト映像

ーー4月から制作に入ったとのことですが、スケジュール的にはどのように動いていたんですか?

ナオト:4~5カ月くらいで全部の曲を作ったんですよ。俺たち追い詰められないと曲を作れないので、自分で自分をめちゃくちゃ追い詰めて(笑)。

ユウスケ:(頷く)

ナオト:完成した新曲を2~3曲レコーディングしながら、次の2~3曲を作って……という感じだったので、めちゃくちゃ忙しかったですね。

ーー全12曲ということで、今までよりも曲数が多いですからね。みなさんが仰る通り、音楽性が抜本的に変わったわけではありませんが、全体的に、質が上がり幅も広がったような印象を受けました。この進化はどこから来ているものだと思いますか?

ユウスケ:心のどこかで「メジャーレーベルから出すアルバムなんだ」という気持ちがあったからなのかもしれないです。

ナオト:前だったら、例えば細かいミスをしたとしても「このままでいこう」「こういうのも味だから」とそのまま残すこともあったんですよ。だけど今回は妥協せず、何回も録り直していて。すごく丁寧に作りました。

ーーベース、ドラムのアプローチもかなり広がりましたよね。

ゆっきー:僕個人の話で言うと、コロナもあって家にいる時間が増えたので、コード進行とベースの絡みの理論みたいなものを少し勉強したんです。あと、宅録が簡単にできる環境を整えたのも大きい気がしますね。今まではレコーディングするまで自分の音を客観的に聴くことがなかったんですけど、それがいつでもできるようになったので。

ゆりと:僕は元々練習嫌いだったんですけど、ちょっと時間が空いたらスタジオに入って練習しようというくらいに意識が変わって。

ーー「メジャーデビューすることだし」みたいな?

ゆりと:そうです。レコーディングの前に「改善点ないかな」と思って隠れて練習したりして。努力しているところを見られるのがちょっと嫌なんですよ。僕、嵐の大野(智)くんが好きなので。大野くんは努力しても周りの人には絶対に言わないらしいんです。僕も大野くんみたいになりたいから、確かに言わないカッコよさってあるよなと思いながら、あまり口に出さないようにしていて。

ユウスケ:まあバレてるけどね。

ゆっきー:というか、それならインタビューでも言っちゃダメでしょ(笑)。

ゆりと:確かに(笑)。

ーーリード曲の「ガマズミ」はいつ頃どのように生まれた曲なんですか?

ナオト:書き始めたのは春で、歌詞含め、細かく作り直しながら時間をかけて書いていきました。そしたらこんなに長くなっちゃったんですけど。

ゆっきー:確かにナオトにしては長い曲を作ってきた印象はありました。

ナオト:多分、最初は何かしらの意図があって書いていたと思うんですけど、何を書きたかったのか自分でも分からないみたいな感覚にどんどんなっていって。「部屋の中」とか「クズ気味の男目線の曲」とかイメージみたいなものはあったんですけど、そもそもこの歌詞はどういう意味なんだっけ? と自分でも思います。だからこそ、聴いた人がどういう解釈をしてくれるのかが楽しみですね。タイトルの「ガマズミ」は歌詞ができたあとにつけたもので……春の曲なので、確か春の花を調べていたんだと思います。ガマズミという花にはいくつかの花言葉があるんですけど、そのうちのどれをとっても歌詞とマッチするなと思ってつけました。

ーーこういう曲の場合、楽器隊のアプローチとしては、何か技巧的なことをするというよりも、歌をどう聴かせるかという方向性になっていきますよね。

ゆりと:まさにそうですね。それが逆に難しくて、シンプルな分、めちゃくちゃ苦戦しました。

ユウスケ:ボーカルは、力強く歌う曲ではないと思ったんですけど、抜きすぎると弱々しくなっちゃうので、力加減が難しかったですね。ナオトから「こういうふうに歌って」と言われるんですけど、「いや、それができなくて困ってるんだから」「お前やってみろよ」って思いながら歌ってました(笑)。

ナオト:(笑)。特に〈染み付いた生活の匂い〉から始まるブロックと〈暖かく柔らかい場所で〉から始まるブロックは、演奏もボーカルも何回も録り直しました。なので、僕はそこをあんまり聴きたくないんですよね……。

ユウスケ:ああ、レコーディングを思い出すからってことね(笑)。

ゆっきー:一番いいところなのに(笑)。

ラブソングに聴こえるけど、そうじゃない

横浜ベイホール公演(写真=冨田味我)

ーー(笑)。そんな「ガマズミ」のあとに「退屈かも知れない」を配置しているのもポイントで。

ナオト:はい。そこはギャップを見せたかったです。

ーーこの2曲もそうですが、オレンジスパイニクラブには、恋愛や他者との関係性が描いた曲が多いと思うように感じます。歌詞を書くナオトさん、ユウスケさんのお二人には、そういうものに惹かれてしまう、どうしても曲にしてしまうという性質があるのでしょうか?

ナオト:逆に言うと、応援ソングとかは全然書けません。書けない曲を省いていって、書きやすい曲を書いていったら、結局残ったのがこういう曲だったという感じですね。ただ、ラブソングを書こうと思って書いているわけでもないんですよ。そう聴こえるかもしれないけど、そうじゃないという曲もあったりして。

ーーちなみに、歌詞に出てくる人たちのキャラクターはお二人ご自身と近いものなんでしょうか?

ユウスケ:俺の場合はそうですね。身の回りのことを結構書いちゃうタイプなので、例えば、実家に住んでいるときに書いた曲と一人暮らしをしてから書いた曲では全然ニュアンスが違います。一人暮らしを始めてから2年くらい経つんですけど、それからは、一人暮らしをテーマにした曲を書くことがメインになってきていて。それは自分へのエールだったりもするので、僕はだいたい自分の曲を書いていますね。

ナオト:僕は逆で、全部想像で書いちゃいます。

ーーということは、「ガマズミ」に出てくる「クズ気味の男」はナオトさん自身ではないということになりますよね。こういう人物像はどこから来ているんですか? 

ナオト:これは……俺なのかもしれないですね。

ゆっきー:俺から見た印象だと、自分のことではないけど、見えている世界はナオトと一緒な気がするというか。

ナオト:そうそう。

ゆっきー:多分、ナオトに見えている景色を違う人に当てはめて書いているんだと思います……っていう説明で大丈夫ですか?

ナオト:最高だと思う。

ーー自分に見えるものを自分目線のまま書かないのはなぜでしょう。他の人の目線を借りた方が書いていて楽しい、みたいな?

ナオト:それもあるんですけど、自分のことを書いた曲だったら、自分の話しかできなくなるじゃないですか。そこに架空の誰かの目線を挟むと、もう少し書きやすくなるというか。

ーー書ける範囲が広がるということですか?

ナオト:そうですね。

ーーなるほど。それにしても、2人で曲を書いているのに、ちゃんと統一感があって、オレンジスパイニクラブの曲だと思えるような作風に仕上がっているのが不思議ですよね。

ユウスケ:多分感覚が似ているんだと思います……DNAですかね?

ナオト:口に出して確認し合っているわけではないけど、「こういうワードはダサいよな」というのが共通の認識としてあるというか。

ユウスケ:ナオトは俺より前から曲を作っていたし、俺はずっとそれを見てきたので、影響を受けている部分はあると思いますね。

ーーなるほど。では最後に、メジャーデビューを機に叶えたい目標や夢があれば教えてください。

ナオト:俺は曲作ることだけを考えようかなと思います。曲をたくさんストックしたいです。

ゆっきー:俺は自分でMVを撮ることがあるんですけど、好きな映像ディレクターさんがたくさんいるので、そういう人たちにMVの制作をお願いして、自分のバンドの曲がどういう映像になるのか、見てみたいです。

ユウスケ:俺はギターを練習して、いつかソロを弾きたい。あと、ピアノも弾けるようになりたいですね。ライブでピンスポ浴びながら弾くのってカッコいいじゃないですか(笑)。それに、ピアノを自分で弾けるようになったら、ピアノベースで曲を作ってみたいです。

ゆりと:僕は、アニメの主題歌をやってみたいですね。

ユウスケ:いいねー。

■リリース情報
『アンメジャラブル』
発売日:2021年10月20日(水)

「ガマズミ」先行配信 Linkfire
https://orangespinycrab.lnk.to/gamazumi

・〔初回限定盤〕(CD+DVD) WPZL-31900/01 定価:¥5,280 (税込)

・〔通常盤〕(CD) WPCL-13328 定価:¥ 3,300 (税込)

収録内容:

【CD】
1. ガマズミ
2. 退屈かも知れない
3. ハクビシンのユメ
4. 日和見の暮
5. バカのしりぬぐい
6. アイヘイトマイバースデー
7. イヤーワーム
8. ringo
9. Worst of myself
10. Cho ru ryo
11. 睫毛
12. 理由

【DVD収録内容】
1. みょーじ
2. 駅、南口にて
3. パープリン
4. 急ショック死寸前
5. 37.5℃
6. 眠気
7. コーヒーとコート
8. タルパ
9. キンモクセイ
10.モザイク
11.東京の空
12.スリーカウント
13.ドロップ
14.リンス
15.たられば
16.敏感少女
17 .イージーゴーイング

・先着購入者特典
オレンジスパイニクラブ1st Full Album「アンメジャラブル」を各対象店舗にてお買い上げの方に先着購入者特典プレゼント!!

【対象チェーン】
●TOWER RECORDS全店(オンライン含む/一部店舗除く):オリジナルステッカー(TOWER RECORDS ver.)

●HMV全店(HMV&BOOKS online含む/一部店舗除く):オリジナルステッカー(HMV ver.)

●楽天ブックス:オリジナルステッカー(楽天ブックス ver.)

●セブンネットショッピング:オリジナルステッカー(セブンネットショッピング ver.)

●その他サポート店:オリジナルステッカー(サポート店 ver.)

●Amazon.co.jp:メガジャケ

※特典はなくなり次第終了となります。あらかじめご了承ください。

※特典の有無は店舗にご確認ください。

※その他サポート店対象店舗は後日ご案内いたします。

■アルバム購入リンク
https://orangespinycrab.lnk.to/unmeasurable 

■ライブ情報
1st Full Album Release LIVE TOUR『アンメジャラブル』

10月26日(火)札幌BESSIE HALL
10月28日(木)青森Quarter
10月29日(金)仙台CLUB JUNK BOX
11月5日(金)高崎club FLEEZ
11月6日(土)郡山HIPSHOT JAPAN
11月12日(金)水戸LIGHT HOUSE
11月19日(金)高松DIME
11月21日(日)福岡BEAT STATION
11月24日(水)岡山YEBISU YA PRO
11月25日(木)神戸VARIT.
12月5日(日)金沢Eight Hall
12月7日(火)大阪UMEDA CLUB QUATTRO
12月8日(水)名古屋NAGOYA CLUB QUATTRO
12月12日(日)新潟GOLDEN PIGS RED
12月16日(木)恵比寿LIQUIDROOM

チケット料金:¥4,000(税込/D別)

オフィシャル先行受付
9月1日(水)12:00〜9月5日(日)23:59まで
https://w.pia.jp/t/orangespinycrab-tour/

■関連リンク
・オレンジスパイニクラブ Official Site:https://orangespinycrab.com/
・オレンジスパイニクラブ Twitter:https://twitter.com/orangespinycrab
・オレンジスパイニクラブ Instagram:https://www.instagram.com/orangespinycrab.jp/
・オレンジスパイニクラブ YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCs9lmOFYQ4eZdx2TpXXbhzg

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