オレンジスパイニクラブ、Spotifyバイラルチャートトップ3へと上昇 リスナーを刺激する「キンモクセイ」の表現力

参考:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest

 Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(9月3日公開:8月27日~9月2日集計分)のTOP10は以下の通り。

1位:川崎鷹也「魔法の絨毯」
2位:もさを。「ぎゅっと。」
3位:オレンジスパイニクラブ「キンモクセイ」
4位:米津玄師「感電」
5位:KANARIA「KING」
6位:Sui「エピソード」
7位:Tani Yuuki「Myra」
8位:Vaundy「不可幸力」
9位:mei「クリームソーダとシャンデリア」
10位:NiziU「Make you happy」

オレンジスパイニクラブ『イラつくときはいつだって』

  今週は、オレンジスパイニクラブを取り上げたい。数カ月前から、バイラルチャートの常連となった「キンモクセイ」。ビッグアーティストのリリースやサブスク解禁に左右されることなく、バイラルチャートに根強く、長い間留まり続けた。何度か10位以内にランクインしたこともあったが、トップ3には今ひとつ手が届かなかったなかで、8月後半に再びチャートを上昇。9月になって初めてバイラルチャート3位に入ってきた。いわゆる、ロングヒット。このじわじわさーーチャートを行ったり来たりして、思わぬタイミングで3位に食い込んでくる感じは、20年前で言うなら有線から火が付いたとか、全国のラジオからヒットが生まれた……という現象と似ているように思う。前者も後者も“リクエスト”というユーザーのアクションが、ダイレクトに反映されるチャートである。CDの購入や配信のダウンロードもユーザーのアクションありきではあるが、そのアクションは、まず大抵がアーティストの知名度ありき。「キンモクセイ」は、そことは異なり、先に曲が認知され、SNSや動画サイトなどを通じて広がり、そこから“オレンジスパイニクラブ”というバンド名が知られるようになった顕著な例である。Spotifyでオレンジスパイニクラブを検索すると「キンモクセイ」の再生数は420万回を越えている。2位の曲の再生数は10万回と、じつに2桁も違う。これは、前述したように、楽曲が先行して世の中に浸透した結果と言えるだろう。最近では、瑛人やりりあ。などもそこに入る。

 つまり、Spotifyを始めとするサブスクリプション音楽サービスは、キャラクター(=アーティスト名)先行型ではなく楽曲先行型のヒット曲を産み出す、ある意味、ミュージシャンにとって理想の媒体に成長してきていると言えるのではなかろうか。

オレンジスパイニクラブ『キンモクセイ』Music Video

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