オレンジスパイニクラブ、音楽の中心にある日常の風景 全曲新曲で臨んだメジャーアルバム『アンメジャラブル』の手応え

オレスパ、音楽の中心にある“日常の風景”

 スズキユウスケ(Vo/Gt)、スズキナオト(Gt/Cho)と、ゆっきー(Ba/Cho)、ゆりと(Dr)からなるオレンジスパイニクラブが、メジャー1stフルアルバム『アンメジャラブル』を10月20日にリリースする。「キンモクセイ」のスマッシュヒットで認知度を高め、そのイメージへの反骨精神から生まれたミニアルバム『非日常』を経て生み出された今作。2020年から目一杯に助走をつけてきたオレンジスパイニクラブが、新しいフィールドへと飛躍するに相応しい作品となった。

「ガマズミ」MV

 『アンメジャラブル』は全収録曲が新曲という気合いの入りっぷりだが、9月1日には先行シングル「ガマズミ」の配信がスタート。本インタビューでは、転機を迎えた2020年から現在までの足取りを振り返りつつ、「ガマズミ」、そして『アンメジャラブル』へと至るバンドの今を語ってもらった。なぜ恋愛の曲を歌うのか、等身大の歌詞が生まれる源やメジャーデビュー以降の展望について。『アンメジャラブル』発売まで残り約1カ月、本記事を通してアルバムへの期待を高めてもらいたい。(編集部)

自分で恥ずかしくなるようなことは書かない

オレンジスパイニクラブ(横浜ベイホール公演/写真=冨田味我)

ーー10月20日にメジャー1stフルアルバム『アンメジャラブル』をリリースします。メジャーデビューに至る直近の大きな出来事として、やはり「キンモクセイ」のヒットが挙げられると思いますが、同曲が世間に広まっていく様を見て、みなさんは当時どのように感じていましたか?

スズキユウスケ(以下、ユウスケ):当時バイトをしていたんですけど、バイト先の人から「TikTokで知ったけど、あれユウスケだったんだ」「オレンジスパイニクラブの人だったんですね」と言われて。「今さら!?」と思ったんですけど、それから応援してくれるようになりました。でも、そういうことがあったくらいですかね。自分たちの身近にいる人が聴いてくれるようになったというか。

スズキナオト(以下、ナオト):そうだね。当時はTikTokのアプリもインストールしていなかったので、広まっている実感をなかなか持てなくて。実感がないまま、時間が過ぎていった感じでした。

ユウスケ:TikTokを見ていると、今でもたまに「キンモクセイ」が流れてくる時があるんですけど、コメントを見ると「去年の自粛期間を思い出す」みたいなことが書いてあって。

ゆっきー:だから懐メロみたいになってるよね。

ユウスケ:そうなんだよね。すでに懐メロみたいになってる。

ーー「キンモクセイ」は〈グッときた心臓パンっと割れる〉など、話し言葉的な歌詞の言葉選びも印象的でした。

ナオト:書いていて自分で恥ずかしくなるようなことは書かないようにしているので、日常的に使っている言葉の方が歌詞になりやすいかもしれないです。

ユウスケ:僕も、難しい言葉を並べるよりも、分かりやすい言葉を並べた、日常会話のような歌詞の方が好きですね。自分が歌詞を書く時もそういう言葉を選ぶことが多くて、それは、聴く人にあんまり気を遣われたくないという気持ちがあるからだと思います。

ーーそう考えると、「リンス」(2020年11月にリリースのミニアルバム『非日常』のリード曲)はそれ以前の曲とは少し肌感が違ったのでは?

ナオト:そうですね。「リンス」はもっと繊細というか、言葉遊びを楽しみながら書いた曲で、リード曲にしたのは当時の僕らにとって賭けでもありました。

ゆっきー:ちょうど「キンモクセイ」が盛り上がっている時期に『非日常』のレコーディングをしていたんですけど、俺らとしては、「キンモクセイ」に引っ張られすぎず、自分たちのやり方でしっかりと曲を作っていこうという意識があって。

ユウスケ:「キンモクセイ」のイメージを上手く払拭できるといいなあ、新しい顔を見せたいなということで、1曲目を「リンス」にしたんですけど、ちょっとエロすぎたのかなあと(笑)。俺たちはスゲーいい曲だなと思ってたんですけど……うん、難しかったですね。

ナオト:何を以て成功としていいのかも分からない感じではありましたけど、自信があった分、悔しさは少し残りました。

ーー『非日常』をリリースした頃には、有観客でのライブ活動も再開していましたよね。

ゆっきー:はい。ツアーをまわったんですけど、3月に追加公演が終わって、4月ぐらいから今回のアルバムの制作に入りました。

ゆりと:確かツアーの後半に入ったぐらいの時期に、事務所からレコード会社から声がかかっていると聞いて。インディーズ最後のツアーになるのかなと思いつつ、今までとはちょっと違う気合いの入れ方をしながら、ツアーをまわっていましたね。

ーー今まさにメジャーデビューですが。

ゆりと:まず、「メジャーデビュー」っていう言葉がいいですよね(笑)。

ユウスケ:それはある。右も左も分からないですけど、不安よりも、「ここからどうなるのかな?」という楽しみの方が大きいです。

歌詞ができなくて半泣きした楽曲制作

横浜ベイホール公演(写真=冨田味我)

ーー『アンメジャラブル』はタイトルが絶妙ですよね。unmeasurable=計り知れないという、バンドのこれからを想像させる言葉です。

ナオト:みんなで機材車に乗って移動している時に見つけた言葉だったんですけど、どうやって見つけたんだったけな? 「アンメジャラブル」って口に出しても何を言っているのかちょっと分からないような感じがあるじゃないですか。それが面白いなと思ってつけたタイトルだったので、意外と「計り知れない」という意味でつけたわけではないんですよね。

ーーそうだったんですね。一方、「メジャー」という単語に、否定・反転を意味する接頭辞「un」をつけているようにも見えます。

ユウスケ:そこ、1回引っかかったんですよ。「どうする? 大丈夫かな?」って。

ーーでもオレンジスパイニクラブらしさが出ていて、いいタイトルだと思いますよ。

ユウスケ:そうですね。曲の内容やジャケットともいい感じにマッチしているなと思います。

ーー記念すべきメジャー1stアルバム、みなさんとしてはどんな手応えを感じていますか?

ゆりと:今回はやっぱりすごいんじゃないですかね。初回限定盤にはライブDVDがついているんですけど、僕らのような下北沢のライブハウスで活動しているバンドでも、初っ端からこんなにボリューミーなパッケージで出させてもらえるんだと思って(笑)。曲は毎度のことながら全部いいです。

ナオト:バンド4人で鳴らせる音だけを使いながら、あんまり背伸びし過ぎず、今のバンドの音をパッケージングすることを意識しました。その考え方は前から変わらないので、環境が変わっても、自分たちのやり方や曲の持ち味はそのままというか。

ゆっきー:いつも通り、自分たちの好きなようにやらせてもらいましたけど、音はアップグレードしているので、メジャー1stアルバムらしい作品がしっかりできたかなと思っています。

ナオト:あと、今までのアルバムは既存の曲が3~4曲入っていたんですけど、今回は全部新曲なんですよ。

ユウスケ:そうそう。それが僕らからしたら新鮮で。通して聴きながら「おお、カッケー!」と思いましたもん。歌詞が全然できなくて、半泣きになりながら書いていたなということをちょっと思い出したりしながら。

ゆっきー:何の曲?

ユウスケ:それはちょっと恥ずかしいから言えないよ(笑)。で、ゆりとも言っていたように、初回限定盤にはDVDも入っているので、合計29曲聴けるという。

ゆっきー:だからベスト盤みたいですね。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる