新譜連載「本日、フラゲ日!」
Creepy Nuts、ジェニーハイ、yama、A.B.C-Z、UVERworld……9月1日リリースより新譜5作をレビュー
毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は9月1日リリース作品より、Creepy Nuts『Case』、ジェニーハイ『ジェニースター』、yama『the meaning of life』、A.B.C-Z『夏と君のうた』、UVERworld『来鳥江/SOUL』の5作品をピックアップした。(編集部)
DJ松永が東京オリンピックの閉会式に出演するなど、音楽ファンのみならず、全国的な知名度を得たCreepy Nuts。ニューアルバム『Case』には「顔役」(inspired by 髙橋ヒロシ『クローズ』(秋田書店))、「Who am I」(映画『バイプレイヤーズ〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜』主題歌)などのタイアップ曲も多いが、映画、CM、ラジオ、ゲームなど幅広いジャンルを行き来しながらも、決してセルアウトせず、自分たちが置かれた現状、そこで感じたことや得たことを楽曲に結びつけることで、まるでドキュメントような作品に昇華している。 〈俺らまだのびしろしかないわ〉(「のびしろ」)というラインが示す通り、このユニットはまだまだ進化の途中にあるようだ。(森)
配信シングル「コクーンさん」「華奢なリップ(feat.ちゃんみな)」を含む2ndフルアルバム『ジェニースター』。緻密に構築されたスリリングなバンドサウンドと“飲食店のバイトリーダー”を描いた歌詞が共存する「バイトリーダー典子」、エレクトロニカ的なトラックのなかで“それでいい、無理しなくていい、きっと幸せになれる”というメッセージを込めたラップが響く「良いんだって」、R&B的なエッセンスを交えたクリスマスソング「クリスとマス」などを収めた本作によってジェニーハイは、バンドとしての個性を完全に確立させた。軸にあるのは、高度なアンサンブルと意味を逸脱したような歌詞、そして、メンバー5人のキャラを活かしたエンタメ性。企画モノの枠を超え、さらなる進化を期待したい。(森)
yamaが届ける自身初アルバム『the meaning of life』には、ボーナストラック3曲を含む全14曲を収録。うち3曲は、〈然るべき〉というステレオタイプを示す言葉がフックに、若者のにっちもさっちも行かないフラストレーションを代弁したロックチューン「ランニングアウト」や、ピアノが牽引する軽快なトラックに対して、メロディを捲り上げるように早回しなフロウを時折に絡める「希望論」といった新曲に。前述したボーナストラックは、YouTube上の人気チャンネル『THE FIRST TAKE』での一発撮り音源で、yamaの歌声にこめられた情感が、リアレンジしたトラックの上でますます際立つ仕上がりとなっている。yamaの人気が急加速しているこのタイミングでのアルバムリリースは、その勢いを象徴するかのようだ。(一条)