SHE’S、結成10周年で再び立った日比谷野音のステージ 選りすぐりのオールタイムベストを披露
9年前の日比谷野音は大学生で普通に就活をして就職するつもりだった19歳の4人が「もしかしてバンドでやっていけるのかも」とうっすら自信を持った『閃光ライオット』ファイナルで立ったステージである。井上は「初めて大阪以外で届いた気がした。目の前の3000人にSHE’Sの曲好きです! って言われた気がして、舐めとったら9年かかった」と笑う。「いい夜風やな、ってとこから「追い風」やるのイタいな(笑)。向かい風もビュンビュン吹いてたけど、この4人とスタッフと何よりかけがえのないみんなのおかげで、向かい風も追い風に変えて10年来ました」と、彼らしい照れの混じった感謝の言葉から「追い風」は文字通り上昇していく展開を野外ならではの空気感で堪能。久々のライブでの披露となった「C.K.C.S.」の踊れるレパートリーの楽しさ、いつかまたストリングスを入れたライブが見たいと思いながら、常に歌始まりのそのメロディでどこまでも気持ちが解放される「The Everglow」。様々なジャンル感に枝葉を広げてもSHE’Sの音楽性を語る上で軸にある楽曲なのは相違ない。
本編ラストは「みんなの力を借りてちょっとやりたいことがあって」と、井上が2018年に行ったストリングスライブでオーディエンスがスマホのバックライトで灯りを作ったことを告げると、野音のあたり一面が少し荘厳なムードに。祈りを綴るような「aru hikari」の演出として、これ以上ないエンディングを迎えた。
アンコールではすでにアナウンスされているようにニューアルバム『Amulet』の10月リリースに加え、2022年2月24日、初の日本武道館公演の開催を発表。バンドのストーリーを見てきたからでも、10周年だからでもなく、このタイミングはSHE’Sにとってごく自然に感じる。このバンドがこの時代に存在する意味は確実に今、広いフィールドに届いているのだから。
■セットリスト
『SHE’S 10th Anniversary「Back In Blue」』
2021年6月26日(土)日比谷公園野外大音楽堂
1.Morning Glow
2.Freedom
3.Dance With Me
4.Masquerade
5.Back To Kid
6.Higher
7.Ugly
8.Your Song
9.ミッドナイトワゴン
10.White
11.Letter
12.Ghost
13.Spell On Me
14.追い風
15.The World Lost You
16.C.K.C.S.
17.The Everglow
18.aru hikari
En1.遠くまで
En2.Curtain Call