センチミリメンタル、情感豊かな楽曲が生み出す“想いを伝える力” 初のツアー締めくくったファイナル公演をレポート

センチミリメンタル、想いを伝える力

 センチミリメンタルの自身初となるライブツアー『センチミリメンタル 1st LIVE TOUR 2021』の最終公演が7月16日夜、渋谷クラブクアトロにて開催された。東名阪を巡った今回のツアーは、もともと5~6月に予定されていたものの振替公演で、最終日となる本公演はネットで同時生配信も行われた。

 まず1曲目は「星のあいだ」からスタート。温詞がギターを抱えながら勢いよく歌い出す。自身初となるツアーの締めくくりというだけあって、この日を気持ち良く始めたいというような、力強い意気込みを歌声に感じた。

 続いて披露したのは、インディーズ時代のシングル曲「トワイライト・ナイト」。何と言ってもこの日は、バンドメンバーとのコンビネーションが素晴らしい。今回のメンバーは、それぞれがバンドで活動していた頃に対バンした経験のある面々だという。サポートながらも互いにその実力を信頼し合っているという関係性が、全体の演奏にも良い影響を与えていたように思う。ステージ上から強い一体感が感じられた。

 3曲目は「死んでしまいたい、」。温詞はここでピアノの前に座りピアノボーカルへとチェンジ。この曲は、〈死んでしまいたい、〉と何度も繰り返すが、最後には〈でも、死ねないのは〉と“絶望の中にある希望”を歌った1曲。彼の紡ぐ世界観に観客もどんどんと引き込まれていくような印象を受けた。

 そしてそのまま「対落」へ。繊細なピアノのタッチと情感豊かなボーカルが見事に融合し、これぞセンチミリメンタルというようなエモーショナルな世界観が広がる。彼の熱い思いに呼応するようにギターソロが高鳴った。

 一旦バンドメンバーがステージから捌け、ここからは温詞一人による弾き語りコーナーへ。アニメ『ギヴン』(フジテレビ系)に提供した「まるつけ」と「冬のはなし」をセルフカバーした。温詞は、一つひとつのフレーズをはっきり歌う丁寧さと、寸分も音程が狂わない高い歌唱力を備えている。“想いを伝える力”が圧倒的だ。彼の考えていること、悩んでいること、伝えたいこと、それらが聴き手の心にストレートに響いてくる。弾き語りというシンプルなスタイルによって、彼のボーカル表現はより一層際立っていた。

 ここでバンドメンバーが合流し、バラード曲の「リリィ」と「wear」を披露。弾き語りでクールダウンした会場を、ずっしりとしたドラムのキックが再び加熱する。温詞のボーカルにも一段と熱が帯びてきた。

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