岡本信彦、石川界人、神谷浩史……今年の夏を冷やす、背筋も凍る“声優×怪談”コンテンツ
7月2日より毎週金曜日深夜に放送されている、男性声優が本当に起きた怪談を語る番組『声優が語る怖い話 第弐幕』(MBS)が話題だ。さらに、声優×本格怪談で人気のボイスドラマCD『西園寺古書堂怪奇譚〜参ノ篇〜』も9月15日に発売される。本稿ではこれら声優と怪談が融合したコンテンツの魅力を探っていく。
怖いだけではない+αの魅力
『声優が語る怖い話』(以下『声怖』)は、豪華男性声優陣と怪談のプロフェッショナルによる映像企画。岡本信彦(漆黒の怪談師)、鈴木達央(露草の怪談師)、斉藤壮馬(藍の怪談師)、石川界人(柚葉の怪談師)、佐藤元(月白の怪談師)、神尾晋一郎(亜麻の怪談師)といった人気声優6名が怪談師となり、実際に起きた怪異な体験談の数々を語るというもの。昨年放送された『第壱幕』から、恐怖がさらにパワーアップしている。
『声怖』は、現在YouTubeで過去に放送された2本が公開されている。冒頭のナレーションを務めているのは、アニメ『地獄少女』(TOKYO MXほか)の主人公・閻魔あいを演じたことで知られる女性声優の能登麻美子。「いっぺん、死んでみる?」の決め台詞でアニメファンを凍り付かせたあの声が聞こえた瞬間から、すでに怪談は始まっている。声優たちは雪駄を引きずりながら、ゆったりと雰囲気たっぷりに登場。彼らが語る怖い話も、それぞれ違った趣がある。
岡本信彦の「猿の夢」は、登場人物のおじいちゃんの愛情に感動すると同時に、罪悪感のようなものが後を引き、恐怖よりもメンタルに響く怪談だ。何より、岡本の猿の声がとてもリアル。声の強弱の付け方が実に巧みで、猿の鳴き声で思わずのけぞってしまった人も多いのではないだろうか。石川界人の「おばあさん」は、何とも言いがたい嫌な後味が残る。主人公が嘔吐しそうになる時の演技は、本当に嘔吐しているような表現で、その見事さから聴いていて気分が悪くなったほどだ。
怪談のプロであり、『怪談ナイト』などのイベントも主催する稲川淳二は、効果的に怖がらせる話術を持っている。声優は怪談のプロではないが、声のプロである。声の演技によって生まれるリアリティは、それを補って余りあるほど。単に怖いだけではない、思わず引き込まれてしまう、+αの魅力にぜひハマってほしい。