斉藤壮馬×石川界人、森久保祥太郎×浪川大輔、西山宏太朗×梅原裕一郎……2人だから面白い男性声優ラジオ
声優はラジオから始まった。
このように書き出すと、面食らう声優ファンがいるかもしれない。1925年にNHKの前身である社団法人東京放送局がラジオ放送を開始、その直後からラジオドラマの上映が始まっており、演劇などで活動していた舞台役者が登場人物として演じていた。
同年にラジオドラマ制作を目的とした「ラヂオドラマ研究会」が設立され、演者の育成を目的に彼らが先頭となってラジオドラマ研究生の募集をかけ、結果12名が合格した。つまり、ラジオというメディアがなければ、自らの声を用いた声優という職能は見つからなかったかもしれない。
現在では深夜ラジオよろしく、バラエティ色の強い声優ラジオやアニラジ(アニメ作品に関連したラジオ)が制作されており、声優ファンにとっても馴染み深いコンテンツとなっている。今回は数ある声優ラジオのなかでも、現在話題となっている男性声優コンビによる番組をピックアップしてみよう。
まずは、2018年4月から続く石川界人と斉藤壮馬による『斉藤壮馬・石川界人のダメじゃないラジオ』(文化放送、以下『ダメラジ』)だ。
もともとはTVアニメ『ダメプリ ANIME CARAVAN』(TOKYO MXほか)の関連ラジオとしてスタートした『斉藤壮馬・石川界人のダメプリRADIO』があり、通常ならアニメ作品の放送終了と同タイミングで終了する関連ラジオを、キャラクターとしてでなく声優2人のラジオとして装い新たにしてスタートさせたのが『ダメラジ』だ。
筋トレを趣味にしている石川と、アーティスト活動に力を入れる斉藤、声色も相まってか対照的にも見えそうな2人だが、プライベートでも仲が良く、斉藤のフワフワとした返しに石川がキレキレにツッコみを入れるシーンが何度となく訪れる。まさに2人のフレンドリーなムードが軸となったラジオと言えよう。公開イベントは3回、DJCDも4作、今年4月にはエイプリルフール企画としてYouTubeに動画配信するなど多方面で人気だ。
文化放送と並び、大阪・関西圏のアニラジ番組を引っ張ってきたラジオ大阪の1314 V-STATION枠において、同枠15周年を記念して立ち上がった番組が『森久保祥太郎×浪川大輔 つまみは塩だけ』だ。
2013年からスタートしたこのラジオ番組、20年近いキャリアを誇る森久保と浪川にとって、レギュラーパーソナリティとして活躍しているラジオ番組は、2021年6月現在この番組のみだ。
番組がテーマ(おつまみ)を1つあげ、それをおつまみに30分間しゃべり続けるというスタイルで、コーナーなどは全くない、トークオンリーで突っ切るラジオ番組となっている。アニラジを牽引し続けてきたラジオ大阪らしい、非常にシンプルなトークセッションとなっている。
高いトーンの声が特徴的な森久保、『うたわれるものらじお』での扱われ方を始め、漢字が苦手なためイジられることの多い浪川、同業者や声優ファンからもイジられる愛されキャラな2人がコミカルにトークをしていく。
これまでに数多くのアニラジを経験した彼ら、トークテーマに合わせてナチュラルなトークを展開しつつ、ボケもツッコミもスッと織り交ぜていく流れは、王道・正統派なラジオ番組だと言える。10年近く経過しても楽しまれているのは、彼らのが積み重ねてきた経験やトーク力があるからこそだ。